(28)「たまたま」「警察に動いてもらいたいから」…検察官「ウソつけ!」

検察官「(彩香ちゃんの友達の)○○ちゃん(実名)の家は、藤里の家からも、実家からも遠い。普通なら(○○ちゃんを)呼び出すのではなくて、自分が遺品を届けに行くのでは?」
鈴香被告「(○○ちゃんに声をかけた)その日は、特に考えもなく、藤里の家に行ってすぐに(実家に)戻ったから」
検察官「それで遺品を(○○ちゃんに)あげるのを忘れたのか?」
鈴香被告「そうです」
検察官「(彩香ちゃんの)他の友達に遺品をあげようとは考えなかったのか?」
鈴香被告「はい」
検察官「5月17日、豪憲君に遺品をあげようと思ったのはなぜ?」
鈴香被告「豪憲君と彩香はゲームを2人でするのが好きで、カードゲームとか、ゲームボーイとか、豪憲君が彩香によく教えていたので、それで(遺品を)あげようと」
検察官「何を?」
鈴香被告「ポケモンカード」
検察官「じゃあなぜ、(玄関で殺害せず)彩香ちゃんの部屋まで豪憲君を連れて行かなかったのか?」
鈴香被告「すぐ(カード)を取って来られると思って」
検察官「じゃあ、どこで豪憲君を殺害しようと思ったのか?」
鈴香被告「玄関」
検察官「へえー! あっ、そう!! カードを取りに彩香ちゃんの部屋に行ったのではないのですか?」
鈴香被告「いえ…。その時はもう、殺害しようと」
検察官「カードは彩香ちゃんの部屋のどこにあったのか?」
鈴香被告「彩香の机の中」
検察官「いつ豪憲君に(カードを)あげようと?」
鈴香被告「彩香の部屋で、座ってボーっとしている時に豪憲君の姿が見え、呼び止めようと」
検察官「前日も豪憲君は(鈴香被告宅前を)通りかかっているが?」
鈴香被告「その時は話すのに夢中で」
検察官「(豪憲君殺害の)当日、誘拐しようと子供を捜してるよね?」
鈴香被告「1度くらい、学校の近くを回った」
検察官「1人の子供もいなかった?」
鈴香被告「下校時間じゃなかったので、誰もいなかった」
検察官「それで豪憲君を呼び入れようとしたのでは?」
鈴香被告「違います」
検察官「5月15日、あなたは自宅近くで○○ちゃんをみた。それで『憎らしく思った』と?」
鈴香被告「はい」
検察官「こういう気持ちに、豪憲君を見たときもなったのでは?」
鈴香被告「違います」
検察官「では、たまたまだったと?」
鈴香被告「本当は近所の子供に手を出そうとは思っていなかった」
検察官「○○ちゃんが(鈴香被告宅に)来たら、○○ちゃんを殺したのか?」
鈴香被告「分かりません」
検察官「(豪憲君のように)帰宅してくる子供を待つために、(誘拐目的で子供を捜すのを切り上げて)早く自宅に戻ったのではないのか?」
鈴香被告「子供が学校にいなかったから」
検察官「以前は『携帯電話を忘れたから早く戻った』と言っていたはずだが?」
鈴香被告「そう話した記憶はない」
検察官「(凶器の)腰ひもを準備したのはゴールデンウイーク前。○○ちゃんに声をかけたのは5月3日。警察で暴れたのと同じ日?」
鈴香被告「そう」
検察官「彩香ちゃん殺害の犯人といううわさをあなたが聞いた直後だよね?」
鈴香被告「いいえ」
検察官「4月末にうわさを聞いている。これは(声かけの)直前ではないのか?」
鈴香被告「わからない。意識したことはない」
検察官「5月16、17日に子供を誘拐しようとした。豪憲君を殺したのは、(彩香ちゃんの死について)警察に動いてほしかったからだと?」
鈴香被告「それだけではない。切ない、苦しい、張り裂けそうな気持ち」
検察官「○○ちゃんに抱いたのと同じ『憎らしさ』はあったのか?」
鈴香被告「いいえ」
検察官「少なくとも、警察が動かないことについて不満はあったのか?」
鈴香被告「はい」
検察官「それで事件を起こそうと?」
鈴香被告「はい」
検察官「誘拐も(同じ動機か)?」
鈴香被告「はい」
ここで検察官は、法廷に響き渡る大きな声で言い始めた。
検察官「5月16日の(鈴香被告の友人の)○○さんへ出したメールに、『(藤里)町に警察が泊り込み、私服(刑事)がいる。警察が動いているようだ。少し楽になった』とあるが?」
鈴香被告「はい」
検察官「警察が(彩香ちゃん捜査で)動いていると知ったのに、なぜ誘拐しようと思ったのか?」
鈴香被告「本当に(警察が)動いているかはわからない」
検察官「逆でしょ! 自分が犯人といううわさを聞いた。警察も動いている。そう思ったからこそ(自分から警察の目をそらすため)無関係な豪憲君を殺そうと思ったのでは?」
鈴香被告「たまたまです」
裁判長が検事に質問する。
裁判長「証明予定と違うストーリーを立証しようとしているのか?」
検察官「本人の攻撃性が事件の本質だが、(付随的には)動機が今のような話と考えている。精神鑑定人の言っているように、本人の攻撃性が事件の本質だ。(初めは)子供の誘拐事件を起こそうとした?」
鈴香被告「はい」
検察官「顔見知りの豪憲君を選ぶのはおかしい。(豪憲君を標的にした理由は)とっさのことだったのか」
鈴香被告「はい」
検察官「なぜ首を絞めた?」
鈴香被告「刃物は怖かったから」
検察官「(首を絞めていて)豪憲君の苦しそうな様子は分からなかったのか?」
鈴香被告「目をつぶっていたので(分からない)」
検察官「手の感触などで分かるのでは?」
鈴香被告「はい」
検察官「途中で止めようとは思わなかったのか?」
鈴香被告「一瞬止めようと思った」
検察官「でも、豪憲君が(一度首を絞められ倒れた後で)ゲボッとした後、さらに首を絞め、とどめを刺しているのではないか?」
鈴香被告「ここまでやった以上、最後までしなければ、という気持ちで続けた」
検察官「供述では首を絞めた時間は当初の10分間から5分間に変わっている。なぜか?」
鈴香被告「中腰の体勢を10分間も続けられないと思ったから。…どこから(首を絞めた時間が)10分間と出たのか?」
検察官「あなたが言ったのでしょう?」
鈴香被告「(調書を取った)○○刑事(実名)がそういったので」
検察官「訂正すればいいでしょう?」
鈴香被告「(豪憲君殺害を)やってしまったことはやってしまったので、申し訳なくて(訂正できなかった)」