(12)コスプレに使ったチャイナ服に染み
検察官「あなたが1年遅れで撮った彩香ちゃんの七五三の写真だが。写真をCDに焼き付けている。その一方で、写真館の人の証言では、彩香ちゃんの体や髪の毛が汚かったと。それ、覚えてる?」
鈴香被告「いいえ」
検察官「(彩香ちゃんを)きれいにしていたつもり?」
鈴香被告「はい」
検察官「では、写真館の人がうそをついたのか?」
鈴香被告「はい」
検察官「撮影中、外に出たりしなかったか?」
鈴香被告「してません」
検事、弁護側が提出した証拠の七五三写真をみせる。
検察官「3枚目の写真。後ろにピンクの飾りがついている服。これがあなたのいうピンクの服なのか?」
鈴香被告「はい」
検察官「(鈴香被告の)チャイナドレスを彩香ちゃん用に作り直したことがあるよね?」
鈴香被告「はい」
検察官「(恋人だった)○○さん(実名)はコスプレに使っていたというが、違うのか?」
鈴香被告「違います」
検察官「それもうそなのか?」
鈴香被告「はい」
検察官「チャイナ服、仕立て屋に取りに行ってないよね?」
鈴香被告「っていうか、店の人に『仕立てられない』と言われて…」
検察官「(苦笑しながら)そんなこと、店の人言ってないよ」
鈴香被告「店の人に電話で『新しいものを買ったほうがいいですよ』と言われ、取りに行っていない」
検察官「(彩香ちゃんに)新しいもの(チャイナドレス)を買ってあげたのか?」
鈴香被告「いいえ」
検察官「店の人の話だと、チャイナドレスには染みがついていた」
鈴香被告「覚えていない」
検察官「実家に行くときも外面が良かったのか?」
鈴香被告「(鼻で笑いながら)実家に行くのに外面を良くする必要はないと思うけど」
検察官「あなたの通っていた精神科のカルテによると、事件の1年ほど前、(鈴香被告の)母親や弟とケンカするようになったとあるが?」
鈴香被告「はい」
検察官「母親から食事代…」
鈴香被告「(間髪いれず)灯油代です!」
検察官「母親から灯油代を出すように言われたよね?」
鈴香被告「はい」
検察官「それで(家族と)距離を置こうとしたのか?」
鈴香被告「距離というか、自立してみようと心がけた」
検察官「父親の介護についても、家族に頼られうれしかったといっているが本当か?」
鈴香被告「はい」
検察官「でも、精神科では家族から『(鈴香被告が)家に来ても役に立たない』などと言われたとあるが?」
鈴香被告「それは、体調が悪くて、(実家の)通路にしゃがみこんでいた時に、そう言われたことはあるけど…」
検察官「(病院の)カルテに『12月に弟と大ゲンカし、距離を置くようになった』とあるが?」
鈴香被告「違います」
検察官「信頼していた医者には本当の話をしたのではないのか?」
鈴香被告「普通、親子でも兄弟でもケンカはする」
裁判長が質問する。
裁判長「医師には『(家族と)距離を置く』と話したのか?」
鈴香被告「してます」
裁判長「なぜ『距離』という言葉なのか?」
鈴香被告「『距離』という言葉は『自立しよう』という…」
裁判長「そういう意味?」
鈴香被告「はい」
検察官「取調べの中でも、『父親の介護で疲れきっていた』と言っている?」
鈴香被告「それは(取調官に)『父親の介護で疲れきっていたんじゃないのか』と言われたから…。(疲れきっていた)そういう時もあった」
検察官「捜査段階では、『介護に疲れて追い詰められた』と自分で(調書に)付け加えるように言ったのでは?」
鈴香被告「記憶にない」
検察官「話は変わって、東京の親友の○○さん(実名)とのメール。子供の交通事故の件だけど」
鈴香被告「はい」
検察官「登校中の子供に車が突っ込み子供が死んで、『その中に彩香がいれば良かった』という趣旨のメールでいいか?」
鈴香被告「違います」
検察官「『人生が変わっていたかも、と考えた自分はダメな人間だ』と書いた?」
鈴香被告「はい」
検察官「○○さんは証言で違うことを言ってなかったか?」
鈴香被告「泣きじゃくっていたので覚えていない」
検察官「(○○さんは)『その中に彩香がいれば良かったという趣旨だった』と言っていた。それで泣いたのでは?」
鈴香被告「違います」
検察官「ではなぜ泣いたのか?」
鈴香被告「…言いたくない」
検察官「○○さんがあなたに不利な証言をしたから泣いたのではないのか?」
鈴香被告「いいえ」