(11)彩香ちゃん、吹雪に家を追い出され…弁護側は「誤導だ!」
午後1時半から再び開廷。検察側が被告人質問を続けた。
検察官「あなたの交際相手の○○さん(実名)が来ると、彩香ちゃんを家の外に出していたというが、彩香ちゃんが気を使って(自ら)出ていったのか?」
鈴香被告「はい」
検察官「○○さんと部屋の中に2人でいるとき、部屋に入ってきた彩香ちゃんを追い払ったことはあるか?」
鈴香被告「ない」
検察官「○○さんは『シッシッと追い払った』と証言したがうそなのか?」
鈴香被告「追い払ったことはない」
検察官「では、うそなのか?」
鈴香被告「…(長い沈黙)。はい」
検察官「○○さんは彩香ちゃんをほとんど見ていないと言っている。では、○○さんと彩香ちゃんは(実際は)一緒にいたのではないか」
鈴香被告「ないです」
検察官「近所の住民の証言では、○○さんの車が来ると、彩香ちゃんは家に鍵をかけられ、外に出されていたというが」
鈴香被告「鍵がかかっていた…ですか?」
検察官「うん」
鈴香被告「冬に?」
検察官「夏も冬も。思い当たることは?」
鈴香被告「ない」
ここで裁判長が質問した。
裁判長「あなたが外出中、家の鍵はどうだったのか?」
鈴香被告「『彩香が帰ってくるかも』と思い、鍵は開けていた」
検察官「近所の人は、彩香ちゃんは『(鈴香被告から)家に人が来たら外で遊んでなさいといわれた』と言っていたと。事実か?」
鈴香被告「一度だけある」
検察官「それは○○さんが来たときではないのか?」
鈴香被告「違う」
検察官「誰?」
鈴香被告「生活保護の担当の人が来たとき」
検察官「(○○さんと生活保護の担当者の)2人の車は違うよね?」
鈴香被告「はい」
検察官「吹雪の時、彩香ちゃんが外に出ているのを見た人が何人かいる。あなたは気付かなかったのか」
鈴香被告「はい」
検察官「彩香ちゃんが外にいるのに気付かないでいたと。寒い中、外にいた彩香ちゃんをどう思うか」
弁護人、割ってはいる。
弁護人「意義あり。事実に争いがある。誤導だ!」
検察官「…誤導じゃないと思うが。では、聞き方を変えて。もし、そういったことがあったとしても心が痛まないのか?」
鈴香被告「もし、そうなら、かわいそうなことをしたと思う」
検察官「あなたが団地で暮らした理由は(鈴香被告の)父親が嫌いだと。そんなに父親が嫌いなのか?」
鈴香被告「はい」
検察官「家賃や公共料金も相当滞納している。借金も増える一方だった。実家に帰ろうとは思わなかったのか?」
鈴香被告「思わなかった」
検察官「理由は父親のことだけ?」
鈴香被告「…はい」
検察官「生活保護が欲しかったからではないのか?」
鈴香被告「いえ」
検察官「マンガやパチンコ、男性との交際。気ままな生活ができなくなると考えたのでは?」
鈴香被告「…考えません」
検察官「彩香ちゃんの面倒をみてくれる家族のいる実家で暮らそうとは思わなかったか?」
鈴香被告「思いません」
検察官「結局、父親と一緒にいるのが嫌だと。彩香ちゃん(の面倒をみることを)を犠牲にしてまでもそう思ったのか?」
鈴香被告「思いません」
検察官「○○さんは、あなたの彩香ちゃんへの態度について『外面が良かった』と言っている」
鈴香被告「はい」
検察官「外出時の写真だが、(鈴香被告が)彩香ちゃんと寄り添ったり、笑ったりしている写真があるよね?」
鈴香被告「はい」
検察官「○○さんは『それは外面で、家の中の態度は違った』と。○○さんはうそを言っているのか」
鈴香被告「(少しムッとして)外出時は楽しいし、家の中とは態度が違うと思う」
検察官「あなたは、彩香ちゃんについて矛盾した感情があると。(彩香ちゃんへの)態度にも矛盾があったのでは?」
鈴香被告「…(長い沈黙)」
検察官「質問が分かりづらいか?」
鈴香被告「はい」