(2)鈴香被告と弟の名をとり、父は会社の名前をつけていた
検察官「お父さんはあなたが家出から戻ってきたとき、前夫の○○さん(実名)に職を与えたり、条件のいい家を探してくれたりしている。そして、お父さんとお母さんは、あなたに対する担任の言動について抗議したという」
鈴香被告「はい」
検察官「前夫との結婚や○○さん(実名、交際相手)との結婚も応援していた」
鈴香被告「仕事してくれる人なら、どういう人でもいいと言ってくれていた」
検察官「(前夫と)離婚する際も、お父さんはあなたの味方をしていたよね?」
鈴香被告「はい」
検察官「孫娘である彩香ちゃんに対しても、強い愛情を持って接していた」
鈴香被告「はい」
検察官「前夫や交際相手が、(父について)好意的に話していたのを聞いているよね。前夫は、『厳しい人だったけど、理不尽なことで怒る人じゃない』と言っていた」
鈴香被告「はい」
検察官「お父さんの会社の名前は?」
鈴香被告「スズユウ興業」
検察官「この名前はどういう意味?」
鈴香被告「私と弟、子供たちの名前から取った名前です」
検察官「それでも、あなたはお父さんの愛情を感じていないのか?」
鈴香被告「感じていない」
検察官「おおげさに話していない?」
鈴香被告「話していない」
検察官「同じ親から育った弟さんは、真っ当に育っているね?」
鈴香被告「はい」
検察官「確認するが、父からは虐待を受けたが、あなた自身は彩香ちゃんに対して虐待はしていない?」
鈴香被告「はい」
検察官「間違いないですか?」
鈴香被告「はい」
検察官「小学校時代の話を聞きます。1年生の担任から『水子の霊が憑いている』と言われ、『心霊写真』と呼ばれるようになり、(親の抗議を受け)途中で担任は替えられたと言っていたね?」
鈴香被告「はい」
検察官「先生が、自分の生徒にそんなことをいうのは、考えられない、先生や同級生は…」
弁護人「異議あり! 事実に基づいて話してほしい」
検察官「1年生の時に担任が替わったと言っていたが、そういう事実はない」
弁護人「異議!」
検察官「事実として、(担任が替わったということは)あったんですか?」
鈴香被告「あった」
検察官「4年から6年の担任が犬食いを強制したり、修学旅行に来るなと言っていたが?」
鈴香被告「はい」
検察官「あなたは、(1年の時の)担任が(抗議で)交代させられたと言った。そんなことがあった生徒に対し、修学旅行に来るなとか、犬食いを強制したりとか、そういうことをするのか?」
鈴香被告「はい」
検察官「両親は文句を言ったのか?」
鈴香被告「両親には言っていない」
検察官「修学旅行の話は言ったでしょ?」
鈴香被告「言ったけど、それ以外は言ってない」
検察官「お母さんは(学校に)文句を言った?」
鈴香被告「言わなかった」
検察官「どうしてなのか。そんなこと言われたら、黙っている親はいない」
鈴香被告「母が対処したから分からない」
検察官「どうも4年生と6年生の担任は違うようだが」
弁護人「異議!」
裁判官「客観的に出てきている事実として聞いてください」
検察官「犬食いをしろといった先生が、いま何をしているか知っているか?」
鈴香被告「知らない」
検察官「いま、校長先生をしている」
鈴香被告「その先生の旦那がやっているのは知っているが、その先生については知らない」
検察官「(犬食いの話などは)先生や同級生に聞いても出てこない。みんながうそをついているということか?」
鈴香被告「覚えていないんだと思う」
検察官「あなたの髪の毛は黒ですね?」
鈴香被告「はい」
検察官「留置係の人に、『私は元々金髪だけど、小さいときに無理矢理学校で黒にさせられた』と言っていたが、覚えているか?」
鈴香被告「覚えてない」
検察官「少なくともそう言う事実はあるのか?」
鈴香被告「ないです」
検察官「前夫と交際相手は、財布から金を抜かれたと言っていた。交際相手は、カードを抜かれ、口座から金を抜かれたと言っていた。事実ではないのか?」
鈴香被告「黙秘します」
検察官「黙秘権を行使するということですね。父親の金を盗んだことは?」
鈴香被告「…」
検察官「黙ってますが、それも黙秘ということでいいですね?」
鈴香被告「はい」
検察官「高校でもお金を盗んだことがあると言っていたが、それはなぜ?」
鈴香被告「10何年も前のことなので覚えていない」
検察官「先輩に強制されたと言っていた?」
鈴香被告「いいえ。強制されたとは言ってない」
検察官「リーダー的な存在の先輩から言われた、と言っていたようだが?」
鈴香被告「先輩とは言っていない」
検察官「リーダーに強制されたことは?」
鈴香被告「ないです」
検察官「自分の意志か?」
鈴香被告「たしかそうだったと思う」
検察官「自分の部活の遠征費を、先生のところから盗んだというが?」
鈴香被告「机の上だったと思う」
検察官「なぜそんなことをしたのか覚えていないとうことだが?」
鈴香被告「はい」
検察官「あなたは、勤務先を辞めた理由について、彩香ちゃんが小学校に上がるからとか、体調が悪くてみんなに迷惑をかけるからと言っていたが?」
鈴香被告「借金のこともあった」
検察官「どういうこと?」
鈴香被告「自己破産して、精算するため」
検察官「勤務先にサラ金から電話がかかってきたことは?」
鈴香被告「ありません」
検察官「交際相手や(勤務先の)上司から聞いた話は違うのか?」
鈴香被告「…」
検察官「パチンコ屋の会社の話も、交際相手と一緒だったが?」
鈴香被告「違います」
検察官「では、パチンコ屋がウソをついているということか?」
鈴香被告「…」
検察官「(電話が)かかっていないのに、パチンコ屋はウソを警察に言った。それでいいのか?」
鈴香被告「自己破産の手続きを始めるまでは、かかってこなかった」
検察官「普通は逆じゃないのか?」
鈴香被告「(自己破産を)始める前までは、きちんと払っていたから…」