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(6)目前に見る大スターのオーラに…

融資を前に、小室被告との面会を求めた被害者。供述調書は、小室被告との顔合わせに至る経緯を明らかにしていく。

検察官「木村被告は『小室もあなたと会いたいと言っています。一度、東京で小室と会う時間をつくってくれませんか』と言ってきました。これを聞いて私は『小室は本気だ』と思いました。先ほども申しましたが、私は金貸しではなく投資家。小室被告の800曲を買い取るというのは確かに魅力的な話でした。10億円で買い取ったとしても、印税収入などで20%もの利回りがあり、十分ペイできると思いました」

「また小室サウンドは世間に広く認知され、ネームバリューや相応の価値があるのは事実です。また著作権というものについても、貸与権や譲渡権など、さまざまな種類があることも知りました。例えば、中国語に翻訳して巨大な中国のマーケットに売り出したり、90年代に青春時代を送った人たち向けにベスト盤も選定できる。800曲を所有する音楽出版社を立ち上げることも考えられる。大手広告代理店が17億〜18億円の査定をしているのだから、10億円でも十分だと思いました」

「平成18年7月ごろ、普段私が相談している投資顧問会社の方に意見を聞いたところ、『利回りだけでもかなり面白い。前妻の差し押さえをただちに外すのが肝心だ』とのことでした。僕が出せる金額はせいぜい10億円ぐらい。『小室さんの意思を確認したい』と話すと、木村被告は『小室に一筆書かせてお送りします』と言ってきました。その後、ファクスが来て、木村被告は『小室本人が書いたものに間違いありません』と。そして平成18年7月30日、東京・芝公園のホテルで小室さんと会いました」

被害者の供述調書の1通目の朗読が終了。続いて2通目の朗読が始められた。小室被告はこの間、終始まっすぐ前を見据えて検察官の言葉を聞いていた。

検察官「ホテルの1111号室で、小室さんとトライバルキックスの社長、木村被告と会いました。この部屋はスイートルームで、ベッドなどは撤去されて1部屋は会議室、もう1部屋には応接セットが置かれていました。小室さんは『音楽プロデューサーの小室です。今日はDVD撮影を抜け出してきたので30分しか時間がとれませんが、よろしくお願いします』とあいさつしました。テレビで見ていた著名人に他ならなかった。腰が低くて偉ぶる様子もなく、服装もカジュアルだったが、ピュアな魂の中から大スターのオーラが出ていて、『こういう人には本音の話をしなければ』と思いました」

検察官「小室さんは『あなたのことは社長や木村から聞いています』と話しました。私は、このホテルも、確か小室さんが披露宴を挙げたホテルもプリンスホテルの系列だったことから、『小室さんは西武グループと関係が?』と聞きました。小室さんは『ええ、僕は(西武鉄道グループの総帥だった)堤義明さんやそのご長男と懇意にしていて、大規模なプロジェクトを進めておりまして。この部屋も、堤さんが無料で提供してくれたんですよ』と言いました。ほかにも、(世界的なメディア王の)ルパード・マードックとも交流があると話していました」

⇒(7)「過去の作品に未練ない」と言い放つ