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(18)「KEIKOにも1500万円渡す。何とかならないかなあ」

目先の返済を乗り切るため、被害者をだますことで合意した小室被告と木村被告、そしてトライバルキックスの社長。社長の供述調書は、被害者との面談へ向けての打ち合わせをした場面に移った。

検察官「小室被告は『その日は、僕はDVDの撮影か何かで忙しいということで、忙しいところを時間を割いて来た、ということにしようよ。その方が雰囲気出るでしょ』と言っていました。このように3人で相談して、楽曲の著作権が小室被告にあると装い、借金返済目的であることも隠して、被害者をだますことになったのです」

続いて読み上げられた甲20号証も社長の供述調書。被害者との会談を終えて以降の小室被告の発言などが詳述されているが、ここでも小室被告自らの“軽い”発言が、事態を悪化させる様子が語られている。

検察官「8月上旬ごろ、小室被告から電話があり『銀行の人が来て、早くお金を返せ、って言うから、返すって約束しちゃった。なんとかならないかなぁ。それに、(妻の)KEIKOにも1500万円渡すって言っているんだけど、これもなんとかならないかなぁ』と言っていました。なので私は、急いでお金を用意しないといけないと思いました。木村被告に相談すると、『小室被告が銀行と約束したんだったら払った方がいい』と言い、立て替えてくれることになりました」

こうした供述について、裁判長は口元に手を当てて思案したり、メモを取るなどしている。じっくりと耳を傾け、供述内容を吟味しているようだ。続いて、社長の供述は被害者との合意書作成に関する場面に移る。

検察官「合意書などの作成に関して説明すると、小室被告は『それなら僕のすべての曲を売るということで、書類を作ってもらっちゃおうよ』と話していました。それは、明らかなウソでした。そんなことをすれば事件ざたになる。私は『そんな書類を作れば、大変なことになります』と言いましたが、小室被告は『そんなことより目先のお金の方が大事でしょ。後で返してもいいんだし。CDをあげれば喜んでくれるよ。そんなにいやならあなたは来なくていい』と答えました。被害者と面会した後の小室被告は『CDをあげたら、すごく喜んでくれた』と話していました」

ここで、裁判長が午後3時20分まで15分間の休廷を告げた。

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