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(12)「浮気している。別れられない」妻の追及に平然と…

被害者の供述調書に続き、平成14年3月に離婚した小室被告の前妻の供述調書が読み上げられた。

検察官「小室被告と結婚し、長女を出産した平成13年5月ごろから、小室被告は急に外泊することが多くなりました。そのことを私が追及すると『浮気している。相手とは別れることができない関係にある』と言われました。私はそのショックで鬱状態となり、長女とともに実家に戻って離婚を決意しました。その後、弁護士を通じた離婚協議に入り、長女の親権と養育費について協議することになりました」

前妻との離婚の経緯が読み上げられても、ほとんど表情を変えない小室被告。だが、長女の話が出ると、わが子への自責の念からか、伏し目がちになった。

検察官「離婚に際し、小室被告は平成14年3月から15年3月までの間に3回にわけて合計3億7780万円の慰謝料を支払うとともに、長女が成人になるまで、毎月200万〜390万円の養育費を支払うことになりました。協議離婚が成立したのは平成14年3月です。しかし、その後15年からは慰謝料と毎月の養育費の支払いが滞るようになりました。どう対処していいのか分からずに弁護士に相談し、平成17年に著作権使用料分配金請求債権の差し押さえを求める訴訟を東京地裁に起こしました。このため、ジャスラックを介して使用料分配金から養育費をもらうことになりました」

前妻の供述調書からも、小室被告が徐々に経済的に追いつめられていく状況が明らかになっていく。

検察官「平成18年春ごろに、養育費を一括で払いたいと小室被告が申し出ているとの連絡が弁護士から入りました。しかし、その後一切連絡は入らず、養育費を一括で支払うという話は進みませんでした。こうした小室被告に、慰謝料の残金も滞っているのに、著作権の差し押さえの解除に同意することはありえません。しかし平成20年4月以降には、小室被告が税金を滞納したために、音楽著作権使用料分配金が差し押さえされたことを弁護士から告げられました」

小室被告に対する前妻の怒りと不信感は頂点に達する。調書につづられたその言葉に、容赦はなかった。

検察官「平成20年4月以降、慰謝料は支払われていません。平成13年12月以降、小室被告には会っていないどころか、電話もメールもありません。長女にも、一切連絡はありません。だから、差し押さえを解除することについても話す機会はありませんでした。差し押さえを解除するという、小室被告を助ける信頼関係があるはずもありません」

前妻の供述調書の読み上げは正午ごろに終了。裁判長は午後1時10分まで休廷すると告げた。

⇒(13)「誠意を持って弁済に努め…」小さな声で謝罪の弁