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(1)起訴事実に「詳しく聞いて確かめたい」

希代のヒットメーカーを、詐欺へと駆り立てたものは果たして何だったのか。音楽著作権の譲渡を個人投資家の男性に持ちかけて5億円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた音楽プロデューサー、小室哲哉被告(50)の初公判が21日午前10時から、大阪地裁(杉田宗久裁判長)で始まった。

小室被告は午前7時半すぎ、ワゴン車に乗って大阪地裁に到着した。昨年11月21日に保釈されて以来、公の場に姿を見せるのはちょうど2カ月ぶり。車を降りた小室被告はベージュのタートルネックセーターの上に黒のジャケットとダッフルコートを羽織り、表情は硬かった。待ち構える報道陣に「ご苦労さまです」と幾度も頭を下げ、庁舎内に入っていった。この日の公判の一般傍聴席は61席。大阪地裁には早朝から1034人の傍聴希望者が詰めかけた。

大阪地裁で最も大きな201号法廷。報道機関による廷内の撮影が終わった後の午前10時1分、裁判官席に向かって右側のドアが静かに開き、きょうの“主役”が法廷に姿を現した。席を埋めた傍聴人がみな、身を乗り出す。小室被告はコートを脱いだジャケット姿。緊張した面持ちで、2人の弁護人の間にそっと腰を下ろした。通常の公判では弁護人席の前に被告席が設けられるが、この事件では弁護人の間に座ることになっているようだ。

裁判長「では、被告人は前へ」

すぐさま裁判長に声をかけられ、正面の証言台に進み出る小室被告。被告人の氏名などを確認する人定質問が行われた。

裁判長「名前は」

小室被告「小室哲哉です」

手を前に組み、ぼそぼそと小さな声で答える小室被告。そこに、かつて華やかなスポットライトを浴びていた面影はなかった。

裁判長「生年月日は」

小室被告「昭和33年11月27日です」

裁判長「そうすると、年齢はいくつになりますか」

小室被告「50歳です」

裁判長「職業は」

小室被告「音楽家です」

裁判長「起訴状には『音楽家・会社役員』とありますが、それで間違いないですか」

小室被告「はい」

裁判長「では本籍地と住所は、そこに置いてある書面に書いてください」

証言台に立ったまま、右手に持ったペンで紙に住所を書き込む小室被告。書き終えると、書記官が杉田裁判長の手元へと持っていく。目を通した裁判長から「(番地なども)具体的に書き込んでもらえますか」などと何度も注文が入り、小室被告はそのたびに書き直した。

裁判長「では、検察官は起訴状の朗読をお願いします」

小室被告は立ったまま検察官が読み上げる起訴状の内容に耳を傾けた。ときおり前髪に手をやったり、足下に視線を落としたり。5分近くにわたった朗読の間、所在なげな様子だった。朗読が終わり、いよいよ罪状認否に移る。

裁判長「さきほど検察官が読み上げた公訴事実は理解できましたか」

小室被告「はい」

裁判長「なにか違っているところはありましたか」

小室被告「おおよそ合っています」

裁判長「『おおよそ』ということは、違う点があるということですか」

小室被告「これから詳しく聞いて確かめたいです」

続いて弁護人も小室被告と同じ意見である旨を述べ、冒頭手続きが終了。小室被告は再び弁護人の間に座り、検察側の冒頭陳述が始まった。

⇒(2)「このころにはヒット曲に恵まれなくなっていた」