(3)検事のネクタイ毎日同じ「笑いこらえた」
検察官「検事が怖くて逆らえない割には、『検事が来なくて寂しい』とか、留置係に『検事が3日間同じネクタイだった。また同じかな』とか言っている。ネクタイが実際同じだと『4日間同じで、笑いをこらえるのに必死だった』と言った。また『3回寝ちゃった』『検事に眠いでしょと聞かれて、やべーと思った』とか。どうして怖がっているのにそんなことが言えるのか?」
鈴香被告「黙秘します」
検察官「何で黙秘するのか、よく分からないけどね。要するに答えられないんでしょ?」
鈴香被告「…」
裁判長「言ったんですか?」
鈴香被告「似たようなことは言った」
検察官「ネクタイについては言った?」
鈴香被告「はい」
裁判長「実際に言ったのか?」
鈴香被告「その通りではないと思う」
裁判長「記憶では?」
鈴香被告「検事さんのネクタイはいつも同じ」
検察官「どういう気持ちで言った?」
鈴香被告「正面に座るので、ネクタイがどうしても目に入るので。思ったことを言った」
検察官「4日間同じで、笑いをこらえるのに必死というのは?」
鈴香被告「そこまでは言っていない」
検察官「留置係が想像でこんなことを書くのか。本当に言っていないのか?」
鈴香被告「はい」
検察官「警察のことも怖がっていた。恐山のイタコのことを話されたということだが?」
鈴香被告「『どんな手を使っても、拘期を長くしてやるぞ』といわれた」
検察官「ものすごい言葉だ。弁護士には言ったか?」
鈴香被告「言った」
検察官「公判前整理手続や、弁護側の冒頭陳述にも出てこない。本当に言ったのか?」
鈴香被告「はい」
検察官「想像ではないか?」
鈴香被告「違う」
検察官「恐山のイタコを主張するなら、(公判前整理手続などで)『拘留期間をどんな手を使ってでも伸ばす』というところを普通の弁護士なら主張するのでは」
鈴香被告「…」
検察側は同じ質問を繰り返し、鈴香被告の供述の不自然さを浮き上がらせようとする。
検察官「どんな手を使ってでも伸ばすといわれた?」
鈴香被告「はい」
検察官「想像ではなく?」
鈴香被告「はい」
検察官「弁護士に説明した?」
鈴香被告「はい」
検察官「被疑者ノートの差し入れがあったね。2004年1月版と、2006年1月版のどっちを差し入れられたのか?」
検察側は実際に2冊を鈴香被告に見せ、2006年1月のものであったことを確認する。
検察官「被疑者ノートには、取り調べを受ける心構えが書いてあるが、読んでいた?」
鈴香被告「はい」
検察官「署名・押印をする義務はないとか、訂正を申し立てられるとか書かれているね」
鈴香被告「はい」
検察官「しかも供述調書は1回作られると、自分が言ったことになるので注意するようにと書かれているね?」
鈴香被告「はい」
検察官「弁護士からも指摘を受けていた?」
鈴香被告「はい」
検察官「ひどい調べのことや、休ませてもらえなかったことを書いたか?」
鈴香被告「被疑者ノートはほとんど書いていなかった」