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(10)留置管理の署員には「茶化したり笑いを取ったり」

鈴香被告に対する被告人質問は午後1時15分から再開された。午後は弁護側の質問に。

弁護人「午前の尋問で昨年7月7日、調書への署名、指印の前にボールペンで手を突いたと言ったが本当か?」

鈴香被告「はい」

弁護人「うその自白調書への抗議の意味だったと?」

鈴香被告「はい」

弁護人「どんな状況だったのか?」

鈴香被告「その時は、(調書の)読み聞きも終わっていて、署名の用意も終わっていて、もう『署名してください』という状況」

弁護人「その署名、指印の前にボールペンで突いたと?」

鈴香被告「はい」

弁護人「前回(公判)では、『弁護士には言ったかは覚えていない』といったが、午前(の公判で)は『言った』と」

鈴香被告「はい」

弁護人「前回(公判)以降、思い出す作業をしたのか?」

鈴香被告「接見のメモを読み返したり…」

弁護人「われわれが書いたメモか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「メモにその時のことを証明できるものはあるか?」

鈴香被告「ファクスの送信履歴、時刻などが印字されていた」

弁護人「それ(メモ)を確認して今日は話したのか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「7月23日、『首が痛くなって調書に署名した』といったが?」

鈴香被告「はい」

弁護人「検察官は『被疑者ノートも書かずに』と追及したが、あなたはノートを書いていたのか?」

鈴香被告「ほとんど書いていない。紙の裏に書いていた」

弁護人「裏の白い部分のみだった」

鈴香被告「はい」

弁護人「なぜまともな使い方をしなかったのか? 繁雑だったという以外に理由はあるのか?」

鈴香被告「裏に豪憲君の事件のことを少しづつ書いていたので、その日にあったことなどは書けなかった」

弁護人「長い取り調べで心身が辛かったというのもあるか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「余裕がなかった?」

鈴香被告「はい」

弁護人「前回(公判)で、検察官が『腰が痛いという割には本を読んでいるじゃないか』と追及したが、あなたは『覚えていない』と。本は読んだのか?」

鈴香被告「メモを読み返したら(本を)読んでいた」

弁護人「(警察)署員に、『サンキュー』といったとか、弁護士との接見時、笑って手を振ったとか、『私は大丈夫だけど検事さんが気を使ってくれた』とか、そういうことを言ったのか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「警察署の留置管理の人とはどんな関係か?」

鈴香被告「気持ちとしては、事件に関係なく話せる人。少しくつろいだ時間を持てる人」

弁護人「リラックスできる時間だった?」

鈴香被告「はい」

弁護人「正直な気持ちで話せた?」

鈴香被告「そういう訳ではなく…」

弁護人「茶化したり笑いを取ったりしたか?」

鈴香被告「多少あった」

弁護人「どういう思いだったのか?」

鈴香被告「緊張して取り調べを受ける中で、唯一、安らげる時間だったと思う」

弁護人「7月23日、横溝正史の本はなぜ読んだのか?」

鈴香被告「気分転換で」

弁護人「(警察)署員の1人に『サンキュー』といったのはなぜ?」

鈴香被告「腰が痛くて留置所に戻ると、長い時間、手で腰を暖めてくれた。感謝の気持ちと、あと…。ちゃんと(腰の痛みがやわらぎ)立つことが出来たことを示すつもりで」

弁護人「手を腰にあててくれたのはバンテリンを塗るためか?」

鈴香被告「はい。ずっとさすってくれたので」

弁護人「『検事さんが気を使ってくれた』といったのはなぜか?」

鈴香被告「留置の人に気を使わせないように、だったと思う」

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