(9)「しっ」と彩香ちゃん追いやる
1時間半の休廷をはさみ、午後1時半から法廷は再開。法廷に現れた鈴香被告は午前中と同様に無表情で、淡々と弁護側の質問に答えた。
弁護人「あなたはCさんと交際していた。そのCさんが、あなたが住んでいた町営アパートに来たとき、彩香ちゃんが邪魔で外に出したということはあったか?」
鈴香被告「ない」
弁護人「彩香ちゃんが家にいる日中に、Cさんと性交渉をしたことはあったか?」
鈴香被告「ない。したとしても、彩香が学校から帰ってくるずっと前の時間しかしていない」
弁護人「外が吹雪いているのに、彩香ちゃんを外に出したことはあったか?」
鈴香被告「ない」
弁護人「気を利かせて、彩香ちゃんが自分から外に出て行くということはあったか?」
鈴香被告「あったかもしれない」
弁護人「あったかもと思う理由は?」
鈴香被告「彩香の部屋と外に出る方向が一緒なので、部屋ではなく外に行ったのかも知れないと思った」
弁護人「Cさんが家にいたときに、手首を返すような仕草で『しっ』と彩香ちゃんを追いやったことはあったか?」
鈴香被告「したかもしれない」
弁護人「なぜ、かもしれないと思うのか?」
鈴香被告「メールを送っていたり、ごはんを作っていたときにも、あっちいっててというつもりでやったことはあったかも知れないから」
弁護人「Cさんが来ていたとき以外にも、彩香ちゃんにそういう仕草をしたことはあったか?」
鈴香被告「たまにあったかも知れない」
弁護人「(料理を作っているなどの)理由がなく、そういう仕草をしたことはあったか?」
鈴香被告「ない」
弁護人「彩香ちゃんを置いて、Cさんと出かけたことはあったか?」
鈴香被告「ない」
弁護人「彩香ちゃんが学校に行っているときに、Cさんと出かけたことはあったか」
鈴香被告「あった」
弁護人「彩香ちゃんが学校から帰ってきた後に、2人で家に帰ったということはあったか?」
鈴香被告「あった」
弁護人「(彩香ちゃんが帰ってから)どのぐらい経っていたのか?」
鈴香被告「30分から1時間ぐらい経っていた。甘えたような声で、走ってきて『彩香をおいてどこに行ってたの』と言われた」
弁護人「彩香ちゃんはどんな態度だったか?」
鈴香被告「さっきも言ったが、甘えたような声で『彩香も連れてってよー』と言っていた」
弁護人「Cさんが、あなたが彩香ちゃんを実家に連れて行くときなどにきれいな服を着せるから『外面がいい』と言っていたが、そんなことはあったのか」
鈴香被告「普段は彩香に好きな服を選ばせて、お出かけの時は私が服を選んでいだ。でも、実家に行くときは彩香に好きな服を着させていた」
ここで弁護側は、鈴香被告に対し、Cさんが撮った鈴香被告と彩香ちゃんの写真を何枚か提示する。
弁護人「(写真を指しながら)男性と3人で温泉に行ったときの写真だが、彩香ちゃんが着ている服はおめかししている服か?」
鈴香被告「その服は、彩香が好んでいつも着ていた服」
弁護人「普段着ている服と違うのか?」
鈴香被告「あまり変わらない」
弁護人「写真の彩香ちゃんは笑っているが、髪の毛を横で結んでいる。誰が結んだのか?」
鈴香被告「私」
弁護人「学校に行くときなどにも、こうやって結んであげることはあったのか?」
鈴香被告「あった」
弁護人「(他の写真を指して)この写真はいつの写真か?」
鈴香被告「彩香の誕生日の写真」
弁護人「いつの?」
鈴香被告「彩香が亡くなる前の、彩香の最後の誕生日」
弁護人「この写真で、あなたが彩香ちゃんに何か渡しているが、誕生日プレゼントか?」
鈴香被告「はい」
弁護人「なんのために、誕生日プレゼントを渡している写真を撮ったのか?」
鈴香被告「入院していた父親が、お金を私によこして、彩香にプレゼントをあげろと言ったので、ちゃんと渡したよということを示すために撮った」
弁護人「米山さんが(彩香ちゃんと米山豪憲君が映った)ビデオをくれたが、ビデオの彩香ちゃんの髪型は普段通りか?」
鈴香被告「普段通り」
弁護人「近隣住民の中に、あなたに交際相手が複数いたと話している人がいるが、先ほど話に出たCさん以外で家に上った人は?」
鈴香被告「弟と父、工事関係者、生活保護の人」
弁護人「前夫(法廷では実名)という男性は?」
鈴香被告「ああ、前夫も上がった」
弁護人「前夫は、ある期間住んでいたのか?」
鈴香被告「住んでいた」
弁護人「男性と付き合う前に、茶髪で小さく、めがねをかけた人が出入りしていたという話がある。その男性は?」
鈴香被告「前夫だと思う」
弁護人「その後前夫を見て、何か変わっていたか」
鈴香被告「めがねはしていなかったが、茶髪で変わっていなかった」