(11)彩香ちゃんの朝ごはん、買い置きパンやおにぎり
弁護人「彩香ちゃんは休みの日など、何をして遊んでいたか?」
鈴香被告「1人遊びや、年下の友達と鬼ごっこしたり、家でゲームしたり押し入れを隠れ家にして遊んでいた」
弁護人「友達は誰か?」
鈴香被告「年下の友達が多かった」
弁護人「彩香ちゃんと一緒に遊びに行くことはあったのか」
鈴香被告「あった。秋田市のお化け屋敷に弟と3人で行ったり、2人でスケートに行った」
弁護人「印象に残っていることは?」
鈴香被告「彩香は弟を『にいに』と呼んでいたが、『にいに怖いよ』と言いながら、弟にしがみついていたのを覚えている」
弁護人「ドライブで連れて行った?」
鈴香被告「そうです」
弁護人「印象に残っているのは?」
鈴香被告「青池(地名)を見せたくて連れて行ったが、彩香の『お母さんすごい。バスクリンを入れているみたい』と子供らしい表現が印象に残っている」
弁護人「実家で夕食を食べていたが?」
鈴香被告「経済的な援助を受けていたので」
弁護人「いっそのこと実家に帰ろうという思いは?」
鈴香被告「ない。どうしても父の目から逃れたくてうまくやっていけない。戻ろうとは思わなかった」
弁護人「お父さんのことだけ?」
鈴香被告「そうです」
弁護人「彩香ちゃんが小学校に上がってからの生活は?」
鈴香被告「彩香中心で変わりない」
弁護人「お風呂は入っていた?」
鈴香被告「父や弟が一緒にちゃんと入っていた。1人の時は入ったとうそをついて部屋で遊んでいたので、強制的に入れたことがある」
弁護人「入るのが好きではない?」
鈴香被告「そうですね」
弁護人「嫌いとは?」
鈴香被告「シャワーが苦手だと言っていた。私が適温だと思っても、お風呂が熱く感じるので嫌だと」
弁護人「ごはんはちゃんと食べていたか?」
鈴香被告「朝は買い置きのパンや作り置きのおにぎりを食べていた」
弁護人「昼は給食で、夜は実家?」
鈴香被告「はい」
弁護人「食欲は?」
鈴香被告「すごく旺盛だったが、同級生がやせていて(自分が)太っていると思いこんでいた。ふれないようにしていた」
弁護人「15年暮れから精神科に通院を始めたが、いきさつは?」
鈴香被告「生活保護の担当者に『きちんとした病院で見てもらったほうがよい』と勧められたので」
弁護人「よくなったか?」
鈴香被告「一進一退。良くも悪くもならずといった感じ」
弁護人「医者と話すので心理的に安定した?」
鈴香被告「はい」
弁護人「16年の夏に卵巣嚢腫で手術したが、どれくらい入院した?」
鈴香被告「4、5日」
弁護人「手術はうまくいった?」
鈴香被告「はい。立って歩くのがやっとだった」
弁護人「その後は?」
鈴香被告「実家で面倒を見てもらっていた」
弁護人「どれくらい?」
鈴香被告「半月ほど」
弁護人「その後、ヘルパー2級の資格を取った」
鈴香被告「はい」
弁護人「なぜ?」
鈴香被告「手に職をつければ仕事の幅が広がると思った」
弁護人「講習はどうだった?」
鈴香被告「大変だった」
弁護人「どう大変だった?」
鈴香被告「教科書に載っているヘルパーを受ける人と生活が重なってみえた」
弁護人「ヘルパーを受ける人とは要介護者ということ?」
鈴香被告「はい」
弁護人「どういうところが?」
鈴香被告「精神的な面や生活保護を受けている面」
弁護人「大変とは、(自分と)心理的に重なるところで悩んだ?」
鈴香被告「はい」
弁護人「体は? 肉体的には?」
鈴香被告「お風呂に入れるときにめまいで大変だった。それ以外は大丈夫だった」
弁護人「求職活動は?」
鈴香被告「した」
弁護人「どれくらい?」
鈴香被告「何件かしたが、職安で探している時点で仕事の時間内容は24時間(営業)がほとんどだった。彩香との両立が難しいと思い、あきらめた」
弁護人「就職口がないと誰かに相談したか?」
鈴香被告「Aさん、Cさんに相談した」
弁護人「お母さんには?」
鈴香被告「はい」
弁護人「何と言われた?」
鈴香被告「まず『時間が短い仕事から探したら?』と。体が本調子じゃないから簡単な仕事を探したらといわれた」
弁護人「彩香ちゃんについては?」
鈴香被告「『1日8時間の仕事だったら彩香はその間どうする』といわれた。彩香は預からないから、と」
弁護人「彩香ちゃんがいなければ仕事がしやすいと思った?」
鈴香被告「いいえ」
弁護人「言った(口に出した)ことは?」
鈴香被告「あったかもしれないが、前夫と離婚して借金と彩香を抱えて悩んだあとで、仕事と彩香を両立するのが当然と思っていた」
弁護人「愚痴っぽいことを言ったことは?」
鈴香被告「ありました」
弁護人「誰に?」
鈴香被告「Cさんに」
弁護人「(彩香ちゃんが)いなければと?」
鈴香被告「違います」
弁護人「どういうふうに?」
鈴香被告「もっと短い仕事があればいいのにと言った」