(7)「汗かきの彩香に触るのは苦手だった」
弁護人「彩香ちゃんの育児はどんな風にしていた?」
鈴香被告「家族4人で育てたような感じ」
裁判官「『家族で』とはどういう家族?」
鈴香被告「父と母と弟と私」
弁護人「皆こころよく彩香ちゃんをお風呂にも入れてくれた?」
鈴香被告「はい。弟も進んでやってくれ、皆、手伝ってくれた」
弁護人「皆、仲が良かった?」
鈴香被告「はい。彩香を中心に生活していた感じ」
弁護人「あなたの仕事が休みの時は、彩香ちゃんをどこかへ連れて行った? 彩香ちゃんが小学生になる前の段階に限定して答えて」
鈴香被告「十和田湖に2人で行った。あと、古い時の(改築される前の)男鹿水族館に行った」
弁護人「どんな思い出がある?」
鈴香被告「十和田湖は、道が分からなくて時間がかかり、彩香が『お母さん、おなか空いた』と騒いでいた。レストランに着いてからは、2人で1人前しか頼まないのに、店の人が親切にしてくれて、遊覧船の時間や料金について教えてくれた。彩香は遊覧船の大きさにびっくりして、『これに乗るの』と喜んでいた」
弁護人「景色はどんな感じだった?」
鈴香被告「まだ肌寒いころ。ようやく緑が芽生えたころだった。湖水に緑が映ってきれいだとか、彩香には端によって船から落ちるな、とか話をした」
弁護人「男鹿の水族館の思い出は?」
鈴香被告「珍しいアルミニウムの風船を買い与えたら、風船を彩香の目の高さに下ろすと、怖がって泣いて、たたいていた」
弁護人「二ツ井町の保育園のでは親が参加する行事があったようだが、どんな行事に参加した?」
鈴香被告「運動会、七夕、クリスマス会などに参加した」
弁護人「思い出は?」
鈴香被告「運動会では、お遊戯でいつも彩香が他の子よりワンテンポ後れるというか…。その動きで彩香とすぐに分かって、写真を撮りに行ったりした」
弁護人「そのほかは?」
鈴香被告「七夕は浴衣を着せるとすごく喜んだ。最初は借り物だったが父母が彩香に浴衣を買ってくれて、それを仕立て直して小2まで着ていた」
弁護人「彩香ちゃんのしつけに関しては何かしていた?」
鈴香被告「はい。食事のマナーや、外出したとき走り回らないことなど」
弁護人「育児が煩わしいと思うこともあったと思うが」
鈴香被告「はい。つめ切り、耳かき、ぐずった時の対応が苦手だった」
弁護人「調書でも触れていたが、あなたは彩香ちゃんにさわるのが苦手だったか?」
鈴香被告「はい」
弁護人「分かりづらいのだが、どういう感情?」
鈴香被告「よく分からないが、私は汗をかかないので、汗かきの彩香に触るのは苦手と感じる時もあった」
弁護人「いつもそうではないのか?」
鈴香被告「どういう時と決まっていない。手をつなぐだけで精いっぱいの時もあれば、ぎゅーっと抱きしめられることも、ほっぺにチューできることもあった」
弁護人「触るのが嫌だったのはいつごろのこと?」
鈴香被告「一番ひどかったのは、彩香が3〜5歳のこと。でも、いなくなるまで続いた」
弁護人「触るのが嫌だったのは彩香ちゃんの肌だけ?」
鈴香被告「いいえ、付き合っていた人にも触られるのが嫌なときがあった」
弁護人「肌に触れられたくないのは、機嫌がいいときにもあった?」
鈴香被告「はい。機嫌が悪くなると『絶対に触らないで』という感じ」
弁護人「育児に関して悩みがあって困ったときはどうしていた?」
鈴香被告「母親や幼なじみ、友人に聞いたりしていた」
弁護人「母親のアドバイスはどんなもの?」
鈴香被告「母は彩香がぐずったときにどうすればいいかとか、日々こういうことがあったとかを相談した」
弁護人「相談した幼なじみとは誰?」
鈴香被告「幼なじみではなく、親友です」
弁護人「幼なじみもいたでしょう?」
鈴香被告「幼なじみよりも親友に話すことが多かった」
弁護人「Aさん(※女性の友人とみられる。法廷では実名)に相談したのは、Aさんが東京に行ってから?」
鈴香被告「行く前からです」
弁護人「どんな話?」
鈴香被告「…彩香が中々、発音がしっかりできないから、人よりちょっと遅れているのかとか、そういうことを聞いた」
弁護人「Aさんは何と言った?」
鈴香被告「個人差があるから気にするなと」
弁護人「逆に、Aさんから話を打ち明けられたことはあった?」
鈴香被告「はい、Aさんは2人子供がいるが、上の子が障害児で、『学校に送り向かえしないといけない』とか、『時間が来るとトイレに連れていかないと』と愚痴を聞いたことも」
弁護人「Aさんが東京に行ってからも頻繁にメールをしたり、たまに電話をしたりしていましたね?」
鈴香被告「はい」
弁護人「Aさんはどんな人?」
鈴香被告「姉御肌で良き相談相手」
弁護人「どういうこと?」
鈴香被告「てきぱきしていて私を引っ張ってくれる」
弁護人「自分より上に見ていた?」
鈴香被告「はい」