(1)学校でのいじめ体験切々と…あだ名は「心霊写真」
秋田連続児童殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職、畠山鈴香被告(34)の第5回公判が29日午前10時、秋田地裁(藤井俊郎裁判長)で開廷した。被告人質問に臨む鈴香被告は、白地に黒の縦じまシャツと黒のジャケット、黒ズボン、ピンクのサンダル姿。少しうつむき加減のまま、裁判官席に一礼した後、証言台の前の席に座った。
藤井裁判長が黙秘権についての説明を行い、弁護側にどれぐらい質問が続くかを確認。3期日目の午後が余るぐらい必要と話す弁護側に対し、進行の妨げにならないようしてほしいと要求する藤井裁判長。そして、被告人質問が始まった。
弁護人「ゆっくり落ち着いて答えるように。分からなければ聞き直してください」
鈴香被告「はい」
弁護人「あなたは小さいころから父親の暴力を受けていたようだが」
鈴香被告「そうだった」
弁護人「どんな感じ」
鈴香被告「父と母はいつもけんかしていた」
弁護人「どんな風に」
鈴香被告「父は家にいないことが多かった。浮気が原因だった」
弁護人「態様は」
鈴香被告「殴る蹴るの暴力があった」
弁護人「母親に一番激しかったのは」
鈴香被告「お母さんはくるぶしの骨を折られていた」
弁護人「それはどんな感じだったか」
鈴香被告「髪の毛を引っ張られて蹴られたとき」
弁護人「どういうときにそうなるのか」
鈴香被告「父の機嫌が悪くなるとそうなった」
弁護人「あなたはどうやって生活していたの」
鈴香被告「父親の顔色をうかがって生活していた」
弁護人「たとえば」
鈴香被告「父の目を気にして、今日は機嫌が良さそうだとか、今日は悪そうだから近づかないようにしようとか」
弁護人「小学校に入るまでのことで覚えていることは」
鈴香被告「しつけが厳しかった」
弁護人「どんな感じ」
鈴香被告「直前まで機嫌がよく、外出に連れて行ってくれても突然怒り出したりして」
弁護人「そうするとどんな感じになる」
鈴香被告「気まずい雰囲気になった」
弁護人「暴れたりは」
鈴香被告「暴れたりはしないが、父の態度でぎくしゃくする感じ」
弁護人「小学校に入学してからは」
鈴香被告「高学年になると、平手で叩かれたりした」
弁護人「どんなときに、理由は」
鈴香被告「部屋を掃除してなかったり、機嫌が悪いというだけで叩かれたりした」
弁護人「平手打ちだけだったのか」
鈴香被告「中学に入ると、平手から握り拳になり、殴る蹴るや髪を持って引きずられるようになった」
弁護人「いくつぐらいまで」
鈴香被告「20歳ぐらいが最後だった」
弁護人「母親はかばってくれなかったのか」
鈴香被告「小さいころはかばってくれたが、大きくなるにつれて、かばってくれなくなった」
弁護人「どうして」
鈴香被告「かばうと余計に怒って暴れるので、そういうこともあって」
弁護人「小さいころ楽しかった記憶は」
鈴香被告「特にない」
弁護人「小学校入るごろまでに友達はいたか」
鈴香被告「2、3人いた」
弁護人「どんな遊びをしていたのか」
鈴香被告「おままごととか、鬼ごっことか、裏山へ行ってアケビを取ったりとかしていた」
弁護人「小学校生活で記憶に残っていることは」
鈴香被告「水子が憑いていると言われた」
弁護人「誰から言われたのか」
鈴香被告「小学校の担任」
弁護人「どうしてそういうことを言われたのか」
鈴香被告「先生が宗教に入っていたらしい」
弁護人「どこで言われたのか」
鈴香被告「教室で」
弁護人「授業中か」
鈴香被告「よく覚えていない」
弁護人「同級生への影響は」
鈴香被告「気持ち悪がられた。『心霊写真』というあだ名で、一部の人から言われた」
弁護人「他には」
鈴香被告「『心霊写真』とはやし立てられたりした」
弁護人「いつごろまで続いたのか」
鈴香被告「卒業するころまで」
弁護人「水子と言った先生は」
鈴香被告「途中で替えられた」
弁護人「なぜ」
鈴香被告「父と母が学校に掛け合ってくれて、校長先生がそういう判断をしたようだ」
弁護人「他には」
鈴香被告「給食が食べられなくて苦労した。時間内に食べ終わらないと、残ったおかずを手のひらにのせられた」
弁護人「それは、先生が両手に残ったおかずを乗せたと言うことか」
鈴香被告「はい」
弁護人「それで」
鈴香被告「そのまま食べるようにと」
弁護人「いわゆる『犬食い』のように食べろというのか。それは命令されていたのか」
鈴香被告「はい」
弁護人「いつごろまで」
鈴香被告「4年生から6年生までずっと食べさせられた」
弁護人「周りからはどのように言われたか」
鈴香被告「指の間から(おかずの)汁がこぼれるので『バイ菌』と呼ばれた」
弁護人「ほかには」
鈴香被告「同級生にトイレの個室に入れられ、鍵をかけられ、『洗ってやる』と洗剤をドアの上からかけられ、ホースで水をかけられた」
弁護人「何回もあったのか」
鈴香被告「何回もあった」