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(21)県警のお粗末な対応を赤裸々に

弁護人「彩香ちゃんが発見されたのは4月10日。翌日の11日は、何の日だったか覚えているか?」

鈴香被告「彩香が解剖から帰ってくる日だった」

弁護人「1人でいたのか?」

鈴香被告「私と、葬儀屋さんでいたのだと思う」

弁護人「その日、警察署で警察官と何かやりとりあったのか?」

鈴香被告「彩香の衣服を返してほしいと言ったら、まだだめだと」

弁護人「他には?」

鈴香被告「彩香の落ちたと思われる場所が1カ所浮かんだので、希望するなら案内すると言われた」

弁護人「どのように案内すると言われた?」

鈴香被告「町営住宅で待つように言われた」

弁護人「警察の人はどのように来たのか?」

鈴香被告「刑事さんが車で2人で来た」

弁護人「白い車で?」

鈴香被告「はい」

弁護人「どう案内したのか?」

鈴香被告「車に乗って商店の前の砂利道に入っていった」

弁護人「婦警は助手席に乗っていたのか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「あなたは後部座席に乗っていた?」

鈴香被告「はい」

弁護人「どんな場所だったか?」

鈴香被告「開けていて、消防署から見える場所だった」

弁護人「彩香ちゃんがいなくなった根拠は示されたか?」

鈴香被告「滑った跡があったし、彩香のくつの裏の砂利と、そこの砂利の成分が似ていると言われた」

弁護人「その場所は実際に見たか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「子供がおぼれそうな場所だったか?」

鈴香被告「ちょっと転んだぐらいなら(平気)。立って歩けそうな場所だった」

弁護人「あなたはどう思ったか?」

鈴香被告「滑った跡は昨夜探してくれた人のものかもしれないし、砂利なら家の周りにもある、違うのではと思ってそう言った」

弁護人「それに対して警察官は何と?」

鈴香被告「『お母さんの後を私たちが付いて歩いていないように、彩香ちゃんの後に付いて歩いているわけじゃないから、把握できないでしょ』と言われた。『お母さん、事件よりも事故の方がお母さんの気の持ちようが違うんじゃないか』とも言われた」

弁護人「他には?」

鈴香被告「刑事さんに『あなたは知らないかもしれないが、検問やって警察犬も使って、そしたらここに着いた』と言われた」

弁護人「そして?」

鈴香被告「前日、『警察犬は商店の前でぐるぐる回ってるのを、係員が川に連れて行った』と叔父たちが言っているのを聞いたので、警察は本当のことを言ってない、事故で終わらせたいんじゃないかと思った」

弁護人「それに対して文句は言ったか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「なんて?」

鈴香被告「よく覚えていない…」

弁護人「質問をちょっと変えて、怒りの表情を出したりはしたのか?」

鈴香被告「ムッとしたと思う」

弁護人「大きな声で何か言ったけど、何を言ったかは忘れたのか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「他になにか感じたか?」

鈴香被告「車の中で、バックミラー越しでしか話してくれなかったので、ますます信用できなかった。まっすぐ顔を見て話してほしかった」

弁護人「外に出て話さなかったのか?」

鈴香被告「記者のような人が2人いたので、車で話した」

弁護人「その日、実家には帰ったのか?」

鈴香被告「はい。お寺さんが来てて、祭壇ができてて、お経を上げてあげた」

弁護人「他に何かしてあげたのか?」

鈴香被告「彩香は、お母さんの化粧が大好きと言っていたので、私の化粧品を使って化粧をしてあげた」

弁護人「他に、誰かが何かをしてあげたか?」

鈴香被告「弟が、彩香の好きな花火をあげてくれた」

弁護人「他には?」

鈴香被告「花火をしているときに、(彩香ちゃんの遺体に)『お母さんが彩香のほっぺにチューしたら、目え覚ましてくれるっぺか』と言ったら、叔父に『現実を見なきゃダメだ』と怒られた」

弁護人「その後、警察から電話があったのを覚えているか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「どのような電話だったか?」

鈴香被告「警察のカウンセラーが来ると思うので、受けるように言われたが、母だけでいいと答えた」

弁護人「なぜか?」

鈴香被告「私はいつも診てもらっている精神科の先生に診てもらいたかったから」

弁護人「他に何か話したのか?」

鈴香被告「彩香のどこに傷があったのか教えてほしいと言ったが、震えて話にならない状態で、弟に電話をかわってもらった」

弁護人「なんで震えていたのか?」

鈴香被告「刑事さんに『お母さん、事件より事故の方がお母さんだって…という話に傷ついた』と話したら、刑事さんが『あっ、すみませんね』と軽くあしらわれてしまって興奮してしまった」

弁護人「その後、電話を変わった弟さんが話をまとめたのか?」

鈴香被告「火葬が終わったら弟が署に出向くので、その時に彩香のどこにどう傷があったのか伝えると刑事に言われたようだった」

⇒(22)「火葬場の玄関口でたばこ吸った」