(20)「声をかけたら起きあがってきそう」彩香ちゃんの遺体を前に
弁護人「そのほかに警察とは何か会話した?」
鈴香被告「『ピカチュウを見せに行くと言って出ていった』と」
弁護人「それから?」
鈴香被告「警察官は『婦警さんがこちらに向かっているから。婦警さんの方がやりやすいだろう』と。待っていたら婦警さんが来た」
弁護人「婦警が来てどうなった?」
鈴香被告「いったんは警察官が4人の状態に。そして1人は帰っていった」
弁護人「4人とは、婦警と別の警察官も来たということ?」
鈴香被告「はい」
弁護人「1人帰ったのは最初の2人のうちの1人?」
鈴香被告「はい、最初の来たうちの2人が帰った」
弁護人「婦警がきてどうした?」
鈴香被告「家には携帯電話しか置いていないので、誘拐の可能性もあると警察の録音機具を携帯電話につけた」
弁護人「あなたは部屋を出たりしたか?」
鈴香被告「彩香が発見されるまで出なかった」
弁護人「警察が来る前に外を探しましたね?」
鈴香被告「はい」
弁護人「どこを?」
鈴香被告「荷揚場の方に行き、高岩橋を渡って川向こうの山を探した」
弁護人「高岩橋は大沢橋から見ると?」
鈴香被告「下流」
弁護人「車で探したのか?」
鈴香被告「はい」
弁護人「なぜ?」
鈴香被告「…二ツ井町の方に歩いて行ったかもと思った。弟は町の方を探したから、私は大沢の方を探すと」
弁護人「弟は町の方を探すと?」
鈴香被告「はい」
弁護人「結局は、翌日の午後、下流の浅瀬で彩香ちゃんは発見されましたが?」
鈴香被告「はい」
弁護人「発見されたのはどのように知った?」
鈴香被告「半狂乱の母が外で騒いでいて、弟がなだめに外に出ていった。戻ってきた母から自宅の前で聞いた」
弁護人「遺体の確認もした?」
鈴香被告「はい」
弁護人「誰とどこで?」
鈴香被告「母と、○○さん(実名)という婦警、男の警察官とワンボックスカーに乗って、弟が自分の車で後ろからついてきた」
弁護人「どのように確認した?」
鈴香被告「最初、2階へ連れて行かれて『お母さんだけ来てくれ』と廊下へ呼び出され、デジカメで遺体の写真を見せられた」
弁護人「彩香ちゃんとわかった?」
鈴香被告「はい」
弁護人「どこからわかった?」
鈴香被告「(聞き取れず)わかった」
弁護人「実際に彩香ちゃんの遺体を見た?」
鈴香被告「はい、能代署のガレージのような所で見た」
弁護人「警察はいた?」
鈴香被告「はい」
弁護人「どういう状況?」
鈴香被告「傷もなく、衣服に破れもなく、声をかけたら起きあがってきそうな状態」
弁護人「どう思った?」
鈴香被告「…ショックでした」
弁護人「彩香ちゃんが死んだと信じられた?」
鈴香被告「…いいえ」
弁護人「能代署から誰かに連絡した?」
鈴香被告「(状況を)伝えたかったが、母は半狂乱で話できず、弟はいなくなっていて、親友のAさんに電話した」
弁護人「なぜAさんに?」
鈴香被告「…自分1人で受け止めることができず」
弁護人「どんなやり取りがあった?」
鈴香被告「普段は電話しないのに、すぐに出てくれて、彩香が死んだと伝えた」
弁護人「そうしたら?」
鈴香被告「『なしたって?』と言われ、昨日から帰ってなくて、近所の人が探してくれて、その次の日の午後に発見されたと。母が半狂乱だということも伝えた」
弁護人「そしたらAさんは?」
鈴香被告「絶句しているようだった」
弁護人「無言の時間があった?」
鈴香被告「はい」
弁護人「どのくらい?」
鈴香被告「…1〜2分くらい」
弁護人「どっちが口を開いた」
鈴香被告「私の方から『ちょっと母を頼れないので、頑張れと(私に)言ってほしい』と」
弁護人「『頑張れ』と要求するような感じ?」
鈴香被告「はい」
弁護人「そうしたら?」
鈴香被告「Aさんは『彩香ちゃんを送ってやるまで頑張らないとだめだ』と言った」
弁護人「それから警察で解剖について説明は?」
鈴香被告「…受けたと思うが、半分聞いていないような状態だったから」
弁護人「警察はどのように言った?」
鈴香被告「覚えていない」
弁護人「4月10日に発見されましたね。次の11日には何が?」
鈴香被告「彩香が解剖から帰ってきた」
弁護人「あなたは遺体を引き取った?」
鈴香被告「私と葬儀屋さんで引き取った」