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(5)社会性欠如「計画性のない人」

豪憲君事件に関する弁護人の質問は、殺害時の責任能力について移った。西脇巽鑑定人は、小さい声でゆっくりと答えた。

弁護人「豪憲君のときも過緊張状態、切羽詰まった状態になっていたなら、自分の行動をコントロールする能力が低下していたことはないのか」

鑑定人「低下していたことは認めていいが、『著しく』ということは、法律用語の『(心神)耗弱』ではないということ。完全ではなく、著しく、とは考えられない」

弁護人「先生の考える『耗弱』の基準とは」

鑑定人「『喪失』を10とすると、耗弱は8から9ぐらい」

弁護人「豪憲君のときは」

鑑定人「1か2」

弁護人「ほとんど減弱していないと」

鑑定人「はい」

弁護人「豪憲君の件は計画的か」

鑑定人「こう言うと失礼かもしれないが、私の所感では被告人はあまり計画性のない人だと思う」

少し笑いをかみ殺したように、ためらいながら切り出した。

弁護人「その根拠は?」

鑑定人「日常生活の全体的なことに、あまり厳格性が感じられない。たとえば働きに行ってもすぐにやめるとか。用意周到に計画を立てて何かをする、それでうまくいくということがあまりない。むしろその場その場で頼まれたらやる、といったような。生きていくための社会性が欠如…」

弁護人「加えて、生活歴とか行動様式をみても…」

鑑定人「はい」

鈴香被告は興味がなさそうな顔つきだ。

弁護人「被告人は事件の直前に子供を誘拐しようと考えたというが」

鑑定人「そう思っていたし、車に乗って探したというが、(その話は)あまり現実的ではない。そういう思いがあったというのは分かるが、とても(そんなことを)できる人とは思えない。実現性のないことを計画するというか」

弁護人「むしろ、衝動的にやったということですか?」

鑑定人「そうです」

弁護人「その誘拐しようとしたという話と、豪憲君のことは関係があると思いますか?」

鑑定人「ないと思う」

弁護人「別の友達に対して(彩香ちゃんの遺品を)あげようとしていたことがあるそうだが、そのことと豪憲君との関連性はあると思いますか?」

鑑定人「ありそうに感じたが、ないと思う」

弁護人が『とりあえず私の受け持ちではここで切りがいいと思うので。お昼ですから』と発言して休廷。午後は1時15分から再開し、弁護側の質問が続く。

⇒(6)被告の証言「公判前と比べ、ぶれてきた印象」