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(11)裁判長も一言「被告人を信用できる理由は何?」

長時間、弁護側や検察側の質問に答えているためか、西脇巽鑑定人の顔は紅潮していた。やや疲れた表情で、水を口に含んだ。

検察官「(鈴香被告が)先生に話したとき、必ずしも正直に話していなかった部分もあったのでは?」

鑑定人「自分がかかわったことではないことにしなければいけないと、ハイテンションでウソをついてごまかすこと、さまざまなものがあり得ると思うが、見方を変えれば、犯行を犯した人が罪を逃れるためにいろいろやっていた。それは当たり前のことで、否定はしない」

鈴香被告の証言について、最初のころはウソはなかった、としながらも検察官に理路整然と質問され、犯罪者が罪を逃れるためにウソをつくのは当然と回答。矛盾をはらむことに。

さらに、鑑定人が鈴香被告が彩香ちゃんと無理心中しようと主張していることについて、検察側が反論する。

検察官「先生は、鈴香被告が18歳から自殺念慮(願望)があったとおっしゃっているが、私はむしろ、だらしない母による(わが子の)殺人の方が多いと思うが?」

鑑定人「いや、私はまずそれ(無理心中)を疑いますね」

検察官「(鈴香被告は)薬をどれくらい飲んだと思いますか?」

鑑定人「たしか…360錠か」

検察官「300が360になって、350、360に変わっている。捜査のときの調書では200が300になった。飲んだ薬の錠数が変わるのはおかしくないか」

鑑定人「300以上になると曖昧(あいまい)になるのかも」

検察官「(鈴香被告の証言の)信用性を疑わないといけないと考えたか?」

鑑定人「360錠を飲んだいうと信用されないと(思い)、少なめに言ったのでは。でも360錠飲んだんだという気持ちがあったのかも」

検察官「360錠飲んで大丈夫、というのは疑うのではないか?」

鑑定人「耐性がつくというか。常時薬を飲んでいると」

検察官「タバコの話もしている。被告人はタバコをこっそり隠したと言っているが、警察は厳しく管理している」

鑑定人「何とも言えないが…」

それまでの沈黙を破り、裁判長が 検察側の意図を説明しだした。

裁判長「そういうことはできないという(警察の)証言もあると。その上でも、被告人の言ったことを信用できる理由は何ですか?」

鑑定人「そう言われると何も言えない。本人がそう言っているので」

検察官「ボディーソープを使った自殺未遂の話でも、豪憲君の両親に出した手紙ではシャンプー(を飲んだ)と書かれている。知っていたのか?」

鑑定人「それは知らなかった」

検察官「(秋田刑務所内で)首を締めて自殺を図ったと言っているが、先生は裁判所を通じて、そのときの記録を取り寄せて確認しようという考えはなかったのか?」

鑑定人「それはしなかった。能代警察署では拘置記録を見たが、刑務所が教えてくれるか分からなかった」

検察官「私が照会したら、首を真剣にしめていないということだった。自殺を図ったとは考えられない」

鑑定人「自ら手ぬぐいで首を絞めて自殺は図れないと思うが、(鈴香被告は)そういう気持ちがあったと(私に)言いたかったのだろう」

改めて、鈴香被告の自殺未遂が虚言であることを訴える検察側。鑑定人の無理心中説を突き崩すために質問の矛先を強める。

検察官「先生の言う心中未遂は自殺念慮が前提たが、そこが崩れたら見直す必要があるのではないか? これまでの話から、狂言自殺も考えないといけないのではないか?」

鑑定人「狂言だと思った人(患者)に自殺されたこともある。決めつけるのは早計だ」

断定することを牽制(けんせい)する鑑定人の証言に、検察側は突っ込みを入れる。

検察官「逆に自殺念慮と決めつけられないのではないか」

返答の言葉を探る鑑定人に、検察側は質問を重ねた。

検察官「練炭自殺についても方法を調べたというが、(車内で自殺する際に目張りに使う)粘着テープは買って、練炭を買わないというのは信用できない」

ここで、藤井俊郎裁判長が、午後3時40分までの休廷を告げた。

⇒(12)冒頭陳述は動かぬ証拠? 鑑定人が“思い込み”