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(2)「母との精神的な『へその緒』切れていない」

弁護側は西脇巽鑑定人に、畠山鈴香被告が人格障害を持つようになった背景について説明を求めていった。

弁護人「人格障害があるということは、被告人の生育、生活環境が影響しているのか?」

鑑定人「当然」

弁護人「例えば?」

鑑定人「父親の暴力が影響として分かりやすいが、私としては母親との関係を強調しておきたい。母親と緊密で、精神的なへその緒が切れていない。母親が(鈴香被告と)一体化したい、自分の支配下に置きたいと考え、それに取り込まれてしまった」

弁護人「一卵性親子という概念もあるが?」

鑑定人「ちょっと違う。親子の関係は普通、自立しないといけない。それが(鈴香被告は)不完全で、親離れ、子離れができていないと感じた」

弁護人「小学校と中学校でのいじめは人格障害は関係しているのか?」

鑑定人「私の考えでは肉親間の人間関係の影響が強い」

これまで、父親の暴力が鈴香被告の人格に悪影響を与えてきたと主張してきた弁護側にとって、母親との関係に重きを置いた鑑定人の証言は納得できないようだ。質問内容は父親に固執していく。

弁護人「父親の影響、父親の暴力によって…」

弁護側の質問は、鑑定人の発言によって途中でさえぎられる。

鑑定人「いや、父親も母親も両方です」

弁護人「父親の暴力はどのように影響しているのか?」

鑑定人「父親に対しては、愛情を感じる要素、感じたくない要素という矛盾した気持ちを持っていた。お父さんの介護をイヤイヤながらして血のつながりを感じていたが、父親がイヤであるという葛藤(かっとう)は大きかった」

弁護側の質問は、鑑定書に書かれている彩香ちゃんが橋から転落したときに起きたとされる鑑定書のポイントの一つ、「健忘」のメカニズムに移っていく。

弁護人「被告人を心因性健忘というが、これは解離性健忘と同じことか?」

鑑定人「解離という言葉が朝青龍のときも使われ、最近流行になっているが、私は使ったことがない。大ざっばに言えば、そう考えてもらっていい」

弁護人「心因性健忘のメカニズムは?」

鑑定人「心因性は心のストレスで起こる。記憶は記銘(記憶の第1段階)されて保持され、想起される。記銘されたが、想起されないのが健忘といっていい」

弁護人「なぜ発生するのか? 心的外傷、葛藤などで自己防衛が働いて発生するのか」

鑑定人「そういうこともあるし、さまざまだ。覚えていても思いだしたくない。記憶を抑圧して思いだせないこともある」

弁護側はさらに、健忘が発生した時期について問いただす。

弁護人「直後に忘れたのか、段階的に忘れたのか?」

鑑定人「私は健忘が発生したのは(彩香ちゃんを殺害した)直後で、回復は段階的に進んだと考えている」

弁護人「心的ショックの種類によって、直後に発生するということはあり得るのか?」

鑑定人「あり得る。思いもよらない事態に驚愕(きょうがく)した場合。良いびっくりではなく、恐怖をうけたとき。生命が脅かされる恐怖体験とかも」

弁護人「健忘が発生したのが直後か、段階的なのかは何で見分けをつける?」

鑑定人「おそらくつかない。本人の話を聞き、検討するしかない」

弁護人「健忘が生じやすい人格、個性はあるのか?」

鑑定人「それはある。一口に言えば、弱い人、すぐ人に頼る人。何でも人のせいにする人に起こりやすい」

⇒(3)鑑定人の見方は…「心中未遂?」