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(1)被告は「小心かつ愚鈍」

秋田連続児童殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職、畠山鈴香被告(34)の第12回公判が、21日午前10時から秋田地裁(藤井俊郎裁判長)で始まった。

年内最後となる今回の公判。鈴香被告はいつもの通り、黒ジャケットに黒ズボン、白シャツ、ピンクのサンダル姿だ。

証言台の前に立ったのは、公判と並行して行われてきた精神鑑定で鑑定人を務めた生協さくら病院(青森県弘前市)の精神科医、西脇巽医師だった。がっちりとした体形に、白髪、グレーのスーツ姿の西脇氏は、証言台前の椅子(いす)に深く座り、審理が始まるのを待った。

藤井裁判長は、追加の鑑定書が西脇氏から出されたことを明らかにした。内容は、(1)被告が彩香ちゃんについての健忘を発生したのは転落直後から(2)程度は段階的に進んだものではない−というもの。「すでに鑑定書は提出されているが、今日は証人として話してもらう」と藤井裁判長が鑑定人に話しかけると、弁護人が立ち上がり、質問を始めた。

まず、問いかけたのは、公判と同時並行して行うという、異例の精神鑑定のやり方についてだった。

弁護人「鑑定書についている日記については?」

鑑定人「何を書いてもいいと言った」

弁護人「面接は3回行われた?」

鑑定人「はい」

弁護人「時間にすると、計10時間50分ぐらい?」

鑑定人「はい」

弁護人「今回は鑑定留置せず、公判と同時並行して鑑定を行うという特殊な形で行われた。特殊性からくる混乱はあった?」

鑑定人「じっくり話し合うことができなかった。入院させれば、じっくり話ができるし、私だけじゃなく、他の人間も話を聞くことができる。また、ほかの患者との関係性もみられるし、グループ両方などで、どんなかかわり方をするかみることができる」

弁護人「時間が十分あれば、多面的な考察ができるということか?」

鑑定人「はい」

ただ、一方で鑑定人は、時間があろうとなかろうと、出てくる結論には差はなかったとも説明する。

弁護人「内容の妥当性については、変わらないだろう、というが?」

鑑定人「はい」

弁護人「十分な時間があれば、鑑定はどう変わった?」

鑑定人「私の見解について、説得力のある文章が書けたのではないか。ただ、本質的なところに関しては、変わるような所感は持っていない」

続いて、弁護側は鑑定の内容に踏み込んでいく。まずは、鈴香被告の性格について。

弁護人「鑑定書には、鈴香被告は分裂病(統合失調症)質人格障害とある。一番の特質は社会的に適合できないとあるが?」

鑑定人「はい」

弁護人「反社会的ではなく、非社会的ということか?」

鑑定人「はい」

弁護人「鑑定書には、臆病(おくびょう)、小心、過敏であると同時に、鈍感、愚鈍であると書かれている。相反するものだが、通常はどう現れるのか?」

鑑定人「日常生活では自閉傾向が強く、被告本人の話では、『初めての店には1人で入れない』と言っている。一方では、ごく身近な人には、勝手なことを言ったりする」

弁護人「普段は愚鈍だが、刺激を受けると過敏になるということか?」

鑑定人「違う。過敏な反応をしても大丈夫な身内とかに対し過敏になる。また、だらしのなさが出てくるのも特徴。部屋の片付けができないとか。被告の場合は、ウサギを飼っていたが、その糞(ふん)の始末ができない。社会常識の未発達なところがみられる」

弁護人「だらしのなさは、鈍感、愚鈍の範囲にはいるのか」

鑑定人「はい」

小さな声で、早口で話す鑑定人。性格の分析について、さらに話は進む。鈴香被告は、自分の言動が社会からどう思われるかを考えず、自分の思っていることをそのまま表現してしまうのだという。このほか、「回避性人格障害」「依存性人格障害」といったところも見られたと鑑定書にはあったと弁護側。なぜ、こういった鑑定がでるのかを問い始める。

弁護人「どういった傾向からこういった回答が導き出されるのか?」

鑑定人「全体的な性格スタイルだ。膨大な資料の中から読み込んだ」

弁護人「矛盾するようなところもあるが」

鑑定人「1人の人格のなかにはいろいろなものがある」

鑑定人は、人間には、矛盾するものも含め、いろいろな傾向があると主張した。

⇒(2)「母との精神的な『へその緒』切れていない」