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(9)フラッシュバック「遺体、司法解剖、小さな棺」

米山豪憲君の母、真智子さんへの質問が続く。話題は藤里小学校での授業参観に。検察側は、鈴香被告が毎回来ていなかったことを挙げ、子育てに熱心でなかった実態を印象付けたいようだ。

検察官「藤里小学校では授業参観は何回?」

証人「年3回」

検察官「長男の参観には?」

証人「1年のときは3回とも私が出席した」

検察官「そのとき被告人は出席していた?」

弁護側がまたも異議。「(処罰感情との)関連性を話してもらいたい」と訴える。検察側は「どういうことを知っているかが前提となる」とし、裁判長も「(証人尋問は)『処罰感情など』となっている」と同調。納得がいかない様子の弁護側は再度異議を唱え、「予定をもらっていない」と食い下がるが、裁判長は「異議は却下します」とはねつけた。

証人「私は1回見たことがあるが、3回ともとは思わない」

検察官「2年のときは?」

証人「出産で1回欠席したが、3回すべて主人が出ている」

検察官「2年のとき、被告人は確認した?」

証人「3回とも来ているとは思わない」

検察官「ご主人と出ているときの1回は被告人は来ていた?」

証人「はい」

検察官「3年のときは?」

証人「1回しか見ていない」

検察官「鈴香被告は1、2年生の時は毎回出ていたと鑑定人に話しているが、そうではない?」

証人「はい」

検察官「彩香ちゃんが亡くなったとき、豪憲君は変わらない様子だった。死を理解していた?」

証人「死を理解していなかったのか、変わらない様子だった。(死が)分かってからのことだが、布団で寝付くまで『彩香ちゃんはどうして川に行ったのだろう。遊べばよかった』とポツリと私に言った。豪憲に『一緒に遊んでいれば』という思いがあった」

検察官「長男はショックで1週間くらい寝込んだ?」

証人「はい」

質問は豪憲君の死に及んだ。証人は途端に涙声に。涙を何度もぬぐいながらも、気丈に証言を続けた。

検察官「豪憲君が遺体で発見された5月18日のときの気持ちを。つらいとは思うが…」

証人「警察から遺体が発見されたと聞き、一瞬で全身から血の気が引くと同時に、涙が出て止まらなかった」

検察官「交番で遺体と対面したときは」

証人「何かの間違いであってほしいという思いと、豪憲に間違いないという思いが駆けめぐった」

検察官「豪憲君の姿は?」

証人「前日まであんなに元気だったのに。顔は赤黒く腫れ、血が出て、傷があった。首にははっきりと絞められた跡が2本あった。変わり果てた姿にかわいそうで、主人と体さすってあげた」

鈴香被告は鼻をこすり、目を閉じて聞く。証人のすすり泣きは止まらない。

検察官「かわいそうで豪憲君に抱きついた?」

証人「はい」

検察官「思い出すことは?」

証人「1人になったとき、フラッシュバックする。司法解剖を終え、小さな棺に入った姿がよみがえる」

検察官「豪憲君が亡くなったあと、警察を通じお悔やみの手紙、花が贈られたほか、電話もあった。どうだった?」

証人「豪憲を失ったショックで記憶があいまいだが、『お互い小さな命を亡くした親同士、頑張りましょう』というなぐさめの言葉だった」

検察官「被告人が豪憲君を殺害した犯人と分かり、思い返してどうだった?」

証人「信じられない。悔しくてたまらない」

検察官「豪憲君が亡くなったとき、長男はあなたの母といて、テレビで知った。何と言っていたか聞いた?」

証人「『豪憲はたった7歳の人生だから』とつぶやいて黙ってしまった」

長男のショックや証人の仕事の復帰などについて聞いたあと、豪憲君のことについて質問は続いた。

検察官「豪憲君の机や思い出の品は今もある。仏壇に話しかけることも?」

証人「姿がなくなっても、家族に変わりはない。『おはよう』『行ってくるから』『ただいま』と何度も話しかける」

検察官「成長する姿を見られない」

鈴香被告は不謹慎にも、口から少し舌をのぞかせた。母親の証言に向き合いたくないようにもみえた。

証人「切なさ、悲しさ、苦しさで頭がいっぱい。心の中に大きな穴が開いている」

検察官「家族も?」

証人「生前の豪憲の話をするが、本心から笑うことはできない」

⇒(10)母悲痛の怒り「息子を返せ!」