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(4)鈴香被告の手紙「サル芝居の台本」

米山豪憲君の父、勝弘さんへの質問は、地域に与えた影響に移る。その深刻さは、計り知れない。

検察官「小さな町で連続して彩香ちゃんと豪憲君が殺されたことで、地域に大きな影響があった?」

証人「はい」

検察官「藤里町には何人いる?」

証人「約1500世帯、4300人ほど。粕毛地区には200世帯、500人ほど」

検察官「事件後は人口が減ってる?」

証人「団地から引っ越した方は多いと聞いている」

鈴香被告は引き続き、目をつぶってやり取りに聞き入っている。

検察官「心への傷について、県や町が調査したというのを聞いている?」

証人「資料を見たが、昨年は粕毛地区全体で6割以上、団地では9割以上が不安障害を抱いている。粕毛で1割、団地で3割はPTSDでケアが必要という結果だった。今年は粕毛で1割弱、団地で3割弱がPTSDなどでケアが必要とされているようだ」

検察官「地域に与えた影響は大きい?」

証人「地域を震撼(しんかん)させ、子供を1人にできない。町内全体でも子供は絶対1人にしない。友達と複数、または親と一緒にという異常な状態が続いている」

ここから証人の怒りは、検察側に導かれる形で、鈴香被告の弁護人に向かっていく。

検察官「6月9日に鈴香被告の弁護人の会見があった。どう感じた?」

証人「豪憲君を殺害した状況を、言われるままに垂れ流した。私たちに何の了解もなしに、豪憲のひどい状況を垂れ流した弁護士への怒りを覚えた」

証人の「怒り」はまだまだ終わらない。

証人「帰ったら遺体があった、衝動的に首を絞めた、でも実は軍手、ひもまで用意していて、とどめをさすように絞め直している。遺体を放置した状況も『早く見つかれば良かった』『子供を亡くした親の気持ちが分かっているので早く見つかって良かった』と、わけのわからないことをその都度その都度垂れ流していた」

検察官「腹立たしい思いだった?」

証人「はい」

検察官「弁護人は被告人の意向に沿ってやっている」

証人「(鈴香被告の)実家に取材に行くと困るので、会見までしたと。人を殺しておきながら、自分の家族のことだけを思ってね…。全く理解できない」

怒りの矛先となっている2人の弁護士は、下を向き、メモを取っているだけ。証人のほうをちらりとも見ない。

検察官「能代に所属している弁護士さんが2人とも鈴香被告についたことになるが?」

証人「色んな報道、噂があった。一番ひどいのは、被告と私に関係があったかのようなうそを垂れ流す週刊誌が多く見られた。相談をしたかったが、一方的に犯罪者の弁護だけをしている」

検察官「近くの弁護士会員が弁護人になってしまい、相談ができなかった?」

証人「はい」

検察官「家族がマスコミの誤った取材に悩まされた?」

証人「はい。買い物にも出歩けない状況が続いた」

検察官「今年6月ごろ、弁護人を通じて鈴香被告から手紙が来た?」

証人「はい」

検察官「どうした?」

証人「裁判間近になって自分のために有利にするために書いた手紙だとすぐに思ったので、見ないで検察に預けた。見るに値しないものだと思った」

検察官「手紙は弁護側が証拠請求したが…」

証人「一方的に送りつけてきて…私はこれぐらい反省していると言いたいんだろうが、つぐないではなく、あくまで量刑を軽くするための手紙だと受け取った」

検察側は、証拠採用されている手紙を証人に見せた。

証人「私たちの心に全く響かない。うわべだけで、本当のことを、なぜ殺害したのか本心を全く書かない。自分の弁解や言い訳で、書くことがなくなれば般若心経の写しを書いているが、あれだけ長い時間をかけて殺したのに、何も感じない」

検察官「証人は以前、『サル芝居の台本』という言い方をしていた」

証人「まさに『サル芝居の台本』を読ませられいるようだと」

鈴香被告は目を開き、ほおにやや赤みが差した。少しムッとしたようにも見える。

検察官「11月17日の手紙では、『月の命日にその思いを書く』と書いたが、12月17日にはそんな手紙はなかった?」

証人「本心からつぐなうという反省は全くない。書くのが面倒になって書かなくなったんでしょうね」

⇒(5)「いまも豪憲を利用している!」