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(18)「子供がいなかったらということが…」

畠山鈴香被告に対する裁判官の質問が始まる。最初に口を開いたのは左陪審の男性裁判官。

裁判官「豪憲君のお母さんが、涙ながらに証言するのを聞きましたよね?」

鈴香被告「はい」

裁判官「お父さんとお母さんの質疑を聞いていてどう思った?」

鈴香被告「とんでもないことをしてしまった。(豪憲君を)返してあげられるなら返してあげたいと思った」

裁判官「事件直前までは、豪憲君の母と同じ、子供を育てている立場だった。母という立場についてどう思っているか?」

鈴香被告「母という立場について…。1人ひとり、子供1人ひとり分けへだてなく愛情を注いで、その子1人が子供なんじゃない、みんなそれぞれ個性を持って、それを見守って、支えていくのがお母さんだと思う」

裁判官「今日の豪憲君のお母さんの様子と、自分とを比べて考えたことは?」

鈴香被告「…悲痛でした。豪憲君のお母さんは明らかに殺された…(聞き取れず)、あんな状態で発見され、確認して…、そういう1つ1つの場面が…何を聞いても、悲痛で…」

鈴香被告は、水色のハンカチを目に当てながら、裁判官が求めた回答とは違う内容を、消え入りそうな小さな声で答える。豪憲君の母親は、傍聴席で鈴香被告の背中へ鋭い視線を送る。

裁判官「話は変わるが、逮捕された後に、彩香ちゃんの死亡に関して思いだすと、気が狂うと考えたということだが?」

鈴香被告「はい」

裁判官「そのときの気持ちを説明することはできるか?」

鈴香被告「自分がかかわっているんじゃないか、かかわっているなら、どうかかわっているのかが怖かった」

裁判官「なぜ怖かった?」

鈴香被告「当時『思いだせ』と県警の捜査員、検事に言われ、自分の知らない何かがあったのではないかと思って怖かった」

裁判官「あなたは自殺願望があり、事件前も薬を飲んで、事件後はたばこやシャンプー、ボディーソープを飲んだと言っていましたね?」

鈴香被告「はい」

裁判官「彩香ちゃんが行方不明になって逮捕されるまでの間は?」

鈴香被告「なかった。ただ、彩香の母として、何ができるのだろうという思いで一杯だった」

裁判官「実際、どんなことをした?」

鈴香被告「ビラを配ったのがそうだ」

裁判官「これまでの被告人質問の中で出てこなかった話はあるか?」

鈴香被告「ない」

続いて右陪審の女性裁判官が質問。

裁判官「あなたが友人に送ったメール、送った限りでどういうことを書いたのか。交通事故を見たということだが?」

鈴香被告「事故にあった子供や家族には悪いけど、もしその小学生の列に彩香がいたとしたらどうなっていただろう、と」

裁判官「どうなっていただろういうのは、自分の人生が、ということか?」

鈴香被告「はい」

裁判官「その後、何か続けたか?」

鈴香被告「ない」

裁判官「その後、そんなこと考えたらいけないなどという言葉は?」

鈴香被告「ありました」

裁判官「自分で悪いことを言ったと振り返るような内容か?」

鈴香被告「事故にあった子供に悪いし、一瞬でも『自分の子供が事故にあったら人生変わっているかも』と考えた私はダメなのかもと」

裁判官「それは子供が亡くなったら、悲しいとかじゃなくて、子供がいない人生を送れるということか?」

鈴香被告「いえ、子供がいなかったらということが…」

裁判官「以前、弁護士の質問で、あの中に彩香がいたら大変だと、彩香ちゃんの身を案じるような言い方をしていたが、そうじゃないのか?」

鈴香被告「ちょっとよく覚えてないけど…」

これまでも、3人の裁判官の中で比較的厳しい質問をしてきた女性裁判官だが、今回も鈴香被告の発言を突いてくる。

裁判官「次に行くが、橋の上のことを思いだしたのは、7月6日か7日あたり?」

鈴香被告「はい」

裁判官「覚えていないと言っていたが、今から思うと6日に思いだしていたということは?」

鈴香被告「明確ではないけど…」

裁判官「7日の調書には、殺人だと書いてある。それは検事の作文だというのか?」

鈴香被告「はい」

裁判官「それを検事には言ったのか?」

鈴香被告「振り払ったと言った」

裁判官「思いだした内容に変化はないのか?」

鈴香被告「はい」

裁判官「乗せるとき、落とさなきゃという意識は?」

鈴香被告「よく覚えていない」

裁判官「手は添えていたのか?」

鈴香被告「はい」

裁判官「それがどれくらいの強さだったか思いだせない?」

鈴香被告「思いだせない」

裁判官「手を振り払った時点は?」

鈴香被告「思いだせない」

転落場面については再三聞かれてきたが、ここでも鈴香被告は明確な答えを出すことはなかった。

⇒(19)事件の核心つく女性裁判官 鈴香被告「橋にいたことも直後に忘れた」