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(13)「わ、わたしはどうしたら…」

弁護側による被告人質問が続く。これまでの公判では、極刑を望む趣旨の発言をしていた鈴香被告。その真意を探ろうと、弁護人が質問を投げかけた。

弁護人「あなたが以前の被告人質問で言っていた『命で償いたい』という言葉は本心か?」

鈴香被告「はい」

弁護人「(第10回公判で証人として出廷した)あなたのお母さんと弟さんは、あなたのこの発言について『逃げている』と言っていた。これを聞いてどう思った?」

鈴香被告「切なくなった」

弁護人「どうして?」

鈴香被告「何をどう償っていいのか私には分からず、ゴウゲン君(豪憲君の母親の指摘を受けたためか? 言い直す)豪憲君を返してあげたくても、返してあげられない」

静まり返った法廷に、鈴香被告がはなをすする音だけが響く。

弁護人「『命で償いたい』という思いに変化は?」

鈴香被告「ありません」

弁護人「何にも変化はないのか?」

鈴香被告「ありません」

弁護人が極刑を受け入れる意志を聞くと、鈴香被告は小さな声ながら、きっぱりと肯定した。

弁護人「他に償う方法が思いつかないということか?」

鈴香被告「生きて、どのような償い方があるのかを考えるのも罰の一つだと思ったが…。米山さん(豪憲君の両親)の話を聞いて、とてもじゃないけどそういうことは言えません」

弁護人「その(米山さん夫妻の証言を聞く)前まではどういう気持ちだったのか?」

鈴香被告「弟の『たとえ(鈴香被告が)死んでも(自分たちが)人殺しの家族として指をさされるのは変わらない』という言葉で、『それなら生きて償おう』という気持ちを持っていた。(極刑を望むの気持ちと)両方の気持ちを持っていた」

弁護人「鑑定人は、『命で償いたい』というのは、自殺願望の延長ではないかといっている」

鈴香被告「違います。違います。自殺なんかじゃなくて…。うまく言えませんが…」

弁護人「あなたは日記にも『死んだ方が楽だ』と書いているが、逃げているんじゃないのか?」

鈴香被告「そうとられても仕方ないですが、あまりにも小さな子供に対して、卑怯な振る舞いをしたと。それを償うのにはやはり命で償うのが…。すいません…」

聞き取れないほどの小さな声だが、極刑への覚悟を繰り返す鈴香被告に対して、弁護人は生きて償う道を選択させようと必死に語りかけた。

弁護人「(償いの方法を)分かるまで悩み続けて苦しみ続けるのも刑罰じゃないんですか? 放棄していいんですか?」

鈴香被告「自分でもどうしたらいいか分からないほど、ひどいことをしたと思っているので。沢山の人を巻き添えにして、あまりにも影響力が大きくて…。わ、私はどうしたらいいんでしょう?」

ぶるぶると語尾を震わせ、鈴香被告はうめくような声で尋ねた。そこに決めぜりふのような弁護人の一言が飛ぶ。

弁護人「だから、それをこれから考えませんか?」

鈴香被告「…生きている間、考え続けます」

もう1人の弁護人も、たたみかけるように聞いた。

弁護人「あなたは先ほど、生きて考えると言った。われわれ以外の人と話すことで、もっと落ち着いてものを考えることはできるか?」

鈴香被告「努力します」

生きて償うことの必要性を繰り返し説く弁護人に押されるように、鈴香被告の返答もぐらつきをみせた

⇒(14)「私よりも私のこと知っている」鑑定医には“好意"