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(9)最初の骨片発見はコンビニ前マンホール 被告宅からは次々血痕、DNA

休憩をはさみ、公判は午後1時半に再開した。入廷した星島貴徳被告は傍聴席に視線を投げかけることもなく、うつむいたままだ。被告人席に座っても背中を丸め、下を向いたまま顔を上げることはない。

午後からは検察側が提出した現場の状況や、被害者の東城瑠理香さん=当時(23)=の遺体の発見状況について、検察官がテレビ画面を使用して説明していく。

裁判長「検察官請求の書証の調べに入ります」

検察官「瑠理香さん宅からの指紋の検出状況についてです」

画面にはこすれたような指紋の跡が映し出されている。

検察官「(昨年)4月28日に警察官が洗濯機置き場から採取したものです。これは平成20年5月21日に採取した星島被告の指紋と合致しました」

次に画面には白い床にわずかについた血痕が映し出された。

検察官「この血痕のDNA型は瑠理香さんのものと合致しました。洗濯機置き場の扉からも血痕を検出しこれもDNA型が合致しました」

東城さんの室内に点々と残された血痕を画面に示していく検察官。続いて検察官は星島被告宅の室内の状況に移っていく。

検察官「星島被告宅の証拠品の状況についてです。浴室前の廊下から血痕を検出しました」

証拠隠滅のために室内を掃除して血痕を拭き取っていた星島被告。画面には赤い血痕とは違い、血液反応を示す白い紙が緑色になっている写真が映し出されている。

検察官「この血液反応から検出されたDNA型も瑠理香さんと合致しました。浴室からも血痕が検出されDNAが合致しました」

続いて赤茶色に変色した白いTシャツが画面に映し出された。

検察官「ユニットバスと壁の間からTシャツを押収しました。Tシャツの血痕のDNA型も瑠理香さんのものと合致しました」

星島被告は遺体や殺害の痕跡を時間をかけて消し去ったつもりであっただろうが、捜査では次々と殺害や損壊の痕跡が浮かび上がってくる。ユニットバスの土台や天井からも血液反応が検出され、DNA型はすべて東城さんのものと合致していく。

検察官「台所からまな板を押収しました」

星島被告が東城さんの体から臓器を取り出した際に使用したとされるまな板が映し出される。写真では白いきれいなまな板に見えるが、ここからもDNA型が検出され、東城さんのものと合致する。

検察官「続いて冷蔵庫の写真です。冷蔵庫の中に茶褐色のものが映っていますが、これも瑠理香さんのDNA型と合致しました」

解体した肉片をしまっていた冷蔵庫。茶褐色のものは血液なのか体液なのかは判然としない。検察官は解体に利用した洋包丁やペティーナイフ、包丁研ぎからもDNA型が検出されたことも明らかにした。

検察官「次に東城さんの携帯電話の発見状況についてです」

星島被告は東城さんの衣服や持ち物を水洗トイレに流していたが、生存を偽装するために捨てずに持っていたとされる携帯電話はどこから見つかったのか。

検察官「逮捕翌日の5月26日に、『携帯電話を勤務先の男子トイレに隠している』との供述から、警察官がトイレの便器裏側に隠している携帯電話を発見しました」

画面には東城さんが使用していた白いソフトバンクの携帯電話が映し出された。

検察官「携帯電話からは星島被告の指紋が検出されました」

携帯電話のバッテリーの内側が画面に映し出される。バッテリーの内側には東城さんが映った証明写真のような小さな写真と、印字された「東城瑠理香」の名前が書かれた紙片が見つかった。写真と名前は何の目的があったのだろうか。

検察官は続いて東城さんの遺体の発見状況について説明していく。

検察官「逮捕翌日の5月26日に『死体を水洗トイレから下水道に流した』との供述を得て、5月28日から水道管を上流から下流にかけて検索しました」

画面には星島被告の住むマンションから処理場へと向かう水道管とマンホールの地図が示されている。

検察官「マンホールは(マンションから)下流930メートルの間に32カ所あり、警察官が32カ所を検索しました」

小さく砕かれた肉片、骨片を探し続けた警察。検索当日に最初に見つかった東城さんの骨片は、東城さんや姉がよく通っていた場所のすぐ近くからだった。

検察官「(マンションから下流にかけての順番を意味する)6番マンホールから最初に遺骨が発見されました。この場所は瑠理香さんとお姉さんがよく買い物をしていたサンクス江東潮見店前にありました。汚水の中からは肋骨の一部と、瑠理香さんが利用していた大学の図書館のIDカードが発見されました」

画面に指先ほどに小さく砕かれた骨片が映っている。瑠理香さんの「早く見つけて欲しい」との思いが発見につながったのだろうか。

⇒(10)骨49片、肉片172個…法廷に映し出された「東城さんのすべて」