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(6)「帰宅したら包丁がなくなっていた」姉が“異変”証言

男性検察官が、証人席に座った東城瑠理香さんの姉へ質問を続ける。法廷の壁にかけられた大型テレビには、東城さんと姉が住んでいたマンションの防犯カメラの映像が映し出されている。

検察官「この画像は、何をしているところか分かりますか」

証人「瑠理香がマンションから出ていくところです」

姉はテレビに目をやり、小さな声で答えた。

検察官「(事件当日の平成20年)4月18日は雨でしたが、瑠理香さんは普段、どんな傘を使っていましたか」

証人「折りたたみの…迷彩柄の傘です」

少し考えるようにした後、答えた。テレビ画像の瑠理香さんも、迷彩柄の傘を持っている。

次にテレビに映し出されたのは、携帯電話の画面だ。瑠理香さんが姉に送ったメールとみられ、本文には「電車普通だよ お金あげるの忘れちったよ」と書かれている。

検察官「これは4月18日の午前8時半ごろに送られたメールです。『お金あげるの忘れちった』というのは、どういう意味でしょうか」

証人「前の日に私に持ち合わせがなく、瑠理香に『お金を貸して』と言っていたからです」

検察官「あなたは4月18日、何時ごろに家を出たのですか」

証人「午前9時ごろです」

検察官「瑠理香さんが出かけてから、あなたが出かけるまでは何をしていたのですか」

証人「化粧をして…お弁当を作っていました」

検察官「お弁当のおかずはどのようなものでしたか」

証人「ハッシュドポテトでした」

検察官「このとき、包丁は使いましたか」

証人「はい」

検察官「その包丁はどうしましたか」

証人「使った後、ピンクのまな板の上に置きました」

テレビに、東城さん宅の台所の画像が映し出された。ガスコンロの横に、調味料などとともにピンクのまな板が置かれている。

検察官「この包丁は4月18日に帰宅すると、どうなっていましたか」

証人「なくなっていました」

検察官「なくなった包丁はこれと同じ物ですか」

検察官が包丁を取り出し、姉に見せた。検察側の冒頭陳述によれば、星島貴徳被告は、東城さんの自宅に押し入り、両手を縛り上げるなどした後、この包丁を首に押し当てて脅迫しながら、自分の部屋に連れ込んだとされる。

証人「はい」

検察官「刃の長さは、警察で測定したところ約17・5センチということでしたが?」

証人「はい」

続いて、東城さんと姉が住んでいたマンションの写真が映し出された。きれいに整頓された部屋には、赤やピンクのカラフルな洋服がつり下げられている。

検察官「右に置いてあるベッドは?」

証人「私のものです」

検察官「左のマットは?」

証人「瑠理香が使っていたものです」

検察官「このマットは縦に2つに折られていますが、どうしてですか」

証人「瑠理香が折ったものです。以前、(広げたまま)置いていたら、下にカビが生えてしまったので…」

続いて、画像が廊下の写真に変わった。この部屋にはゴミ箱を置くスペースがなかったため、専用の袋に直接ゴミを捨てていたという。

検察官「4月17日、あなたが捨てたものはなんですか」

証人「ピンクのジャージーのズボンです」

ここで、別の写真が表示された。ピンクのジャージー上下を着た女性が、茶色い巻き毛の犬を抱えている。

検察官「ここに映っているのは誰ですか」

証人「私と犬のクロエです」

検察官「場所は?」

証人「引っ越す前に住んでいた芝浦のマンションです」

検察官「(事件現場となったマンションに)引っ越した後、クロエはどうなりましたか」

証人「一番下の妹が引き取りました」

起訴状によると、星島被告は犯行の際、マンションの室内にあったジャージーを使って東城さんの目隠しをしたとされる。検察側は、ゴミ袋に捨てられていた姉のジャージーを使用した、と指摘しているようだ。

検察官「これは事件6日前、午前0時ごろの写真です。写っているのは誰ですか」

証人「私と瑠理香です」

検察官「撮ったのは?」

証人「…瑠理香です」

次に表示された写真は、床に寝そべって上半身だけ起こしている瑠理香さんと、ピンクのジャージーをはいた姉の両足が映っている。鏡に映った姿を自分たちで撮ったものだが、瑠理香さんの屈託のない笑顔は、事件の残忍さと対照的だ。

テレビに再び、4月18日午前9時過ぎに姉妹がやり取りした携帯メールの文面が表示された。

 「中央線とまったお」(瑠理香さんから)

 「今、京葉線も停まった」(姉から)

 「中央線は信号機だよー トイレ行きたいのに」(瑠理香さんから)

2人は日頃から頻繁にメールのやり取りをしていたという。文面からは、姉妹の仲の良さが伺える。

検察官「午後7時11分に、あなたから瑠理香さんに『今から帰るよ』というメールを送っています。これはなぜ送ったのですか」

証人「お互いが安全に帰れるようにです」

検察官「毎日、こうしたメールを送っていたのですか」

証人「はい」

検察官「午後7時21分、瑠理香さんから『もう着いたよん』というメールが来ています。どういう意味だと思いましたか」

証人「家の近くまで来たか、家に着いたと思いました」

約1時間後に帰宅した姉は、部屋に瑠理香さんの姿がないことを不審に思い、警察に通報している。

検察官「瑠理香さんのパスモ(電車やバス用の共通IC乗車券)の記録を見ると、午後7時18分に(自宅最寄りのJR)潮見駅に着いたことが分かります」

ここで、自宅近くのスーパーの防犯カメラ映像が表示された。

検察官「瑠理香さんは午後7時19分ごろ入店したことが分かります。7時25分ごろの映像では、買い物をしたことが分かります」

検察官はレシートを読み上げながら続けた。

検察官「この日、瑠理香さんは『オーチップス』(ポテトチップスの商品名)と『まるごとバナナ』を買っています。まるごとバナナとはどんなものですか」

証人「スポンジケーキの上に、バナナが一本乗っているものです」

検察官「これはクリーム味とチョコ味があるようですが、どちらを買ったか分かりますか」

証人「チョコだと思います。私も瑠理香もチョコが大好きで、アイスを食べるときもいつもチョコなので…」

生前の瑠理香さんを思いだしたのか、姉はうつむきながら答えた。

⇒(7)「隠れて私を驚かそうとしているのかと…」遺族の嗚咽漏れる