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第3回公判(2010.9.7)

 

(13)携帯記録「芸能人の不倫なので消去してほしい」 依頼した元国会議員の心中は…

押尾被告

 保護責任者遺棄致死などの罪に問われている押尾学被告(32)と、事件当日に電話で会話を交わした男性証人に対する男性検察官の尋問が続いている。法廷に提出した資料によると、証人は元国会議員。証人の意向から、証言台と傍聴席の間にはついたてが設けられており、証人の表情は見えない。

検察官「今日ここへ来て、周囲に迷惑がかかるかもしれないと思い、このような(ついたてを立てる)要望をしたのですか」

証人「そうです」

検察官「状況が許せば公の前で同じような証言ができましたか」

証人「もちろんです」

検察官「終わります」

 検察側の尋問が終了し、弁護側の男性弁護人が反対尋問を始めた。

弁護人「あなたの経歴は調書に書かれたとおりですか」

証人「はい」

弁護人「高校時代とか、何かスポーツをやっていましたか」

証人「剣道と空手をしていました」

弁護人「押尾さんから電話があったとき、『やばいっすよ、やばいっすよ』と言い出したんですよね。そのとき、あなたは中華料理店にいたんですね?」

証人「そうです」

弁護人「何人でいましたか」

証人「30歳くらいの女性と2人でいました」

弁護人「メニューを頼もうとしていましたか」

証人「はい。新しいビジネスの話をしようとしたときに電話がありました」

弁護人「たいへん慌てた電話でしたか。押尾さんは『ツレの女性の意識がない』と言ったのですか」

証人「そうです」

 押尾被告が落ち着きのない様子で右手に持ったペンを上下に揺らしている。

弁護人「何が原因だと考えましたか」

証人「状況からして心筋梗塞(こうそく)か脳梗塞だと思いました」

弁護人「心筋梗塞がどういった病状かご存じですか」

証人「はい」

弁護人「剣道や空手をやっていたとおっしゃいましたが、空手の最中に当たり所が悪く、意識を失ったことはありますか」

証人「あります」

弁護人「心得のある人は蘇生(そせい)術を知っていますよね」

証人「はい。空手ではビンタをします」

 証人は弁護人の質問に淡々と答えている。

弁護人「どうして何らかの指示をしなかったのですか」

証人「いろんな状況があります。素人がいろいろするよりも専門家に任せた方がいいと思いました」

弁護人「揺すったりするのはいけないと分かっていたのですか」

証人「そうです」

弁護人「電話で押尾さんを落ち着かせるように努力しましたよね。なのに119番通報以外の指示はしていない。具体的指示がないのは心筋梗塞の可能性が高いと思ったのでは?」

証人「そこまで考えていませんでした」

弁護人「どこにいるか押尾さんに聞かなかったのですか」

証人「彼(押尾被告)の方から言いました。自分の部屋だと」

弁護人「押尾さんの部屋がどこか知っていましたか」

証人「六本木ヒルズのマンションです。ただ部屋番号は知りませんでした」

 証人が救命措置について押尾被告に指示をしたかどうか、弁護人が詳しく尋ねている。

弁護人「電話を受けた状況が会食の最中ということで、押尾さんの話を聞き逃したというようなことはありますか」

証人「ないと思います」

弁護人「会食中で迷惑だったにもかかわらず、あなたから18時55分に(押尾被告に対し)電話をしていますね。その後も19時03分と19時47分の2回にわたり電話をしたのはなぜですか」

証人「1度目は私の友人に電話をさせるから落ち着くようにとの指示、2度目は119番通報したかどうかの確認、3度目はまだ救急車を呼んでいないとの電話が友人からあったので、早く呼ぶように伝えました。すると彼(押尾被告)から『もう大丈夫です』と言われました」

弁護人「あなたは計6回にわたり押尾さんと電話をしています。なぜ押尾さんが119番通報しないか問いただしたことはありましたか」

証人「『マネジャーが来ないんで』などと言っていました」

弁護人「あなたは人がすでに死亡したのちに救急車を呼んでも何の役にも立たないことをご存じですか」

 男性検察官が立ち上がり、「何の役にも立たない」という発言が不適切であることを指摘する。山口裕之裁判長が弁護人に対し、内容を整理して質問を行うよう指示する。

弁護人「18時43分に押尾さんからあなたに電話があり、友人に電話をかけていますよね。この理由は?」

証人「会食中だったので、友人に対処してもらおうと思いました」

弁護人「(押尾被告について交わした会話の)携帯電話の受発信の記録の消去を友人に頼んでいませんか」

証人「芸能人の不倫というショックな状況なので、消去してほしいと頼みました」

弁護人「消去してほしいと頼んだ動機はあなた自身、巻き込まれたくないと考えたからではないですか」

証人「あったと思います」

弁護人「これまでの取り調べの中で、調書に押印すれば証人として法廷に出る必要はないと考えましたか」

証人「それはありません」

 弁護側の尋問が終了し、男性検察官が追加の尋問を始める。

検察官「会食中、証人が使っていた携帯電話に付属品はありましたか」

証人「運転中に会話することが多いため、マイクつきのイヤホンがあります」

検察官「押尾被告から電話があったときもイヤホンを使用していましたか」

証人「そうです」

 山口裁判長が証人に対し質問があれば行うよう裁判員らに促す。向かって左から2番目の男性裁判員が質問を始めた。

裁判員「友人についてよく分からないが、どういう方ですか」

証人「私の会社の仕事を手伝ってくれたりしています。道案内を頼んだりした縁で押尾被告とも何度か行動をともにしています」

 押尾被告はじっとしたまま証言席を見つめている。

 向かって右側の男性裁判官が証人に質問を始めた。

裁判官「押尾被告から『死んじゃってる』と初めて聞いたのは何時何分の電話の話でしたか」

証人「19時10分の話です」

 男性裁判官は複数回に及ぶ証人と押尾被告の会話の内容を頭で整理しているようだ。

裁判官「女性の容体について押尾被告が何か話していたことはありますか」

証人「特にありません」

裁判官「18時43分の電話での会話。あなたが『119番通報しなさい』と言った際に、押尾被告は何と答えましたか」

証人「何も答えていません」

裁判長「終わりました。ご苦労さまでした」

 弁護人が押尾被告にノートを示しながら短い会話を交わした。今後の打ち合わせをしているようだ。次回公判は9日午前10時から別の知人らへの証人尋問が行われる。

⇒第4回公判