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第3回公判(2010.9.7)

 

(1)ぶつかり合う視線 MDMA譲渡したのは「押尾学です」 断言する泉田受刑者

押尾被告

 合成麻薬MDMAを一緒に飲んで容体が急変した飲食店従業員、田中香織さん=当時(30)=を放置し死亡させたとして、保護責任者遺棄致死など4つの罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判の第3回公判が7日、東京地裁(山口裕之裁判長)で始まった。

 今回は、最も重要な事件の鍵を握る人物、押尾被告にMDMAを渡した友人の泉田勇介受刑者(32)ら2人の証人尋問が行われる予定だ。

 泉田受刑者は、事件2日前の昨年7月31日、押尾被告にMDMA約10錠を渡したとして、麻薬取締法違反(譲渡)罪で懲役1年の実刑判決が確定。押尾被告は初公判で、「譲り受けたのは錠剤ではなく、小さな袋に入った粉末」と主張しており、泉田受刑者は押尾被告にMDMAを渡した状況について証言する見通し。裁判員6人は今回の証言をどう判断するのだろうか。

 押尾被告は「MDMAは田中さんが持ってきたもの」として、田中さんへのMDMA譲渡については無罪を主張しているが、今年3月に東京地裁で言い渡された泉田受刑者の判決は「押尾被告が渡したMDMAを使用し、田中さんが死亡した」と指摘。それだけに、泉田受刑者の証言が押尾被告の今後の裁判の流れを大きく左右する可能性が高い。

 法廷は東京地裁最大の広さを誇る104号。午前10時2分、長身の押尾被告が向かって左側の扉から入ってきた。この日も黒いスーツに白いワイシャツ姿。長い髪は、黒髪と茶色く染めた部分、白髪が混ざる。

 傍聴席に目を向けることなく、ゆっくりした足取りで向かって左側の弁護人席の横に腰を下ろした。おもむろにノートを広げると、その上にペンを載せ、鋭い視線で正面を見据えた。男性4人、女性2人の裁判員も入廷し、10時4分、山口裁判長が声を発した。

裁判長「それでは開廷します。証人をお呼びください」

 泉田受刑者が左側の扉から入廷する。白いシャツに黒いジーパン姿というラフな格好をしている。押尾被告に比べ小柄で、髪は短く切りそろえている。

裁判長「証人にはうそを言わないと誓いをしてもらいます」

 山口裁判長にうながされ、泉田受刑者が証言台に立ち、手を後ろに組んで宣誓を行った。大きくはないが、法廷にはっきり通る声だ。

裁判長「それでは検察官が質問します。どうぞ」

 男性検察官が質問に立った。

検察官「答えは手短にお願いします。証人の今の立場はどういったものなのでしょうか」

証人「いま、MDMAを譲渡した罪で実刑を受け、服役中です」

検察官「誰に譲渡したのですか」

 検察官がいきなり核心部分の質問を放った。

証人「押尾学です」

 正面を見据え、はっきりそう断言した。

検察官「被告ですね」

証人「間違いありません」

 泉田受刑者は左側の弁護人の隣に座る押尾被告を鋭い目線でしっかり見つめ、はっきりした口調で断言した。押尾被告も正面の泉田受刑者の方を見据えたまま、視線をそらそうとしない。鋭い視線と視線がぶつかったかに見えた。

検察官「では順を追って聞いていきます。被告とはいつごろ知り合ったのですか」

証人「一昨年の年末か、昨年の年明けのどちらかに友人を介して知り合いました」

検察官「支障がなければ、その友人はどんな職業ですか」

証人「押尾被告のプロダクションの人間です」

検察官「所属事務所の社員ですね。その縁で知り合ったということですか」

証人「はい。間違いありません」

検察官「被告との付き合いの程度は?」

証人「連絡先を交換し、何度かメールをやり取りしました。友人を介して食事や飲みに誘ってもらい、仲良くなりました」

検察官「証人は当時のお仕事は?」

証人「会社の役員です」

検察官「どのくらいもうかっていましたか」

証人「会社を立ち上げたばかりなので、軌道には乗っていませんでした」

検察官「では、芸能人である被告との関係を仕事に利用しようと付き合いを深めたといったことはありますか」

証人「そういったことは一切ありませんでした。仕事にも関係がありませんし、あくまでプライベートの付き合いでした」

 泉田受刑者はきっぱりした口調で証言を続けていく。

検察官「被告は名の知れた俳優でしたよね。住む世界が違うとか感じましたか」

証人「感覚の違いがまったくないと言えばうそになります。やっぱり芸能人だというイメージはありました」

検察官「被告が芸能人風を吹かすようなことは?」

証人「私が知る限りありませんでした」

 泉田受刑者はゆっくり言葉を選びながら答えた。押尾被告は微動だにしないで正面を見つめ、泉田受刑者に鋭い目線を送り続けている。

検察官「お互いどう呼び合っていましたか」

証人「私は押尾のことを『マナブ』と。押尾は私のことを『ユウスケ』と呼んでいました」

検察官「そんな仲になったのはいつごろですか」

証人「平成21年の3月から4月ぐらいには、そんな仲になっていました」

検察官「21年の春から夏の時期にどこかに連れて行ってもらったりして印象に残ったことは?」

証人「映画の撮影現場に行くのに誘ってもらいました」

検察「最初はいつぐらいに?」

証人「4月ごろです」

検察官「2回目は?」

証人「5月か、6月ごろです」

検察官「撮影現場は刺激的でしたか」

証人「それまで見たことのない世界で、押尾が刺激になればと誘ってくれました。やはり刺激になりました」

検察官「証人が得るものがあればと、被告が誘ってくれたのですね」

証人「そうです」

検察官「差し入れを持っていったりしましたか」

証人「最初の4月のとき、持っていきました」

検察官「何を?」

証人「どういうものを持っていけばいいか分からず、押尾の当時のマネジャーの△△氏に聞いて、栄養ドリンクを持っていきました」

 証言を続ける泉田受刑者を姿勢も崩さずにじっと見つめる押尾被告。ノートは開かれたまま、机に置かれていた。

⇒(2)「アミノ酸入る?」自ら発案の隠語でMDMA入手を依頼