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第3回公判(2010.9.7)

 

(12)「連れの女が意識がない。やばいっすよ」 連呼する被告を「通報しろ」と元国会議員の知人が一喝

押尾被告

 保護責任者遺棄致死などの罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判第3回公判は約30分間の休廷の後再開された。押尾被告はいつものように軽く一礼してから入廷し着席。メモを取るためのノートを広げた。山口裕之裁判長が審理の再開を告げた。

裁判長「次の証人について、ついたてを用意してください」

 証言台と傍聴席の間についたてが置かれ、遮蔽(しゃへい)措置が取られた。証人が入ってきたようだが、傍聴席からは見えない。

裁判長「証人は証言台の前に立ってください。名前、年齢、職業はこの通りで間違いないですね」

証人「間違いありません」

 男性の落ち着いた声が法廷に響いた。続けて、証人の男性は宣誓書を読み上げる。押尾被告は証言台をのぞきこむように一瞬、姿勢を変えた。

検察官「証人のことはBさんと呼ぶことにします」

証人「はい」

 法廷に提出された資料によると、Bさんは元国会議員という。事件当日、押尾被告と電話をした人物の一人だ。

検察官「証人は被告といつから知り合いですか」

証人「1年半前、スポーツクラブで知り合いました」

検察官「言葉を交わすようになったのはいつですか」

証人「顔を見かけたのは1年半前で、昨年3月ごろ、(押尾被告も)熱心にトレーニングをしていて、私と日時が(よく)重なって声をかけ合うようになりました。押尾さんのインストラクターから、『彼は俳優の押尾学だよ』と教えてもらいました」

検察官「個人的なおつきあいがあったということですね」

証人「はい、結構です」

検察官「(平成21年)8月2日の夕方、押尾被告から電話を受けた記憶はありますか」

証人「あります」

検察官「時刻は?」

証人「午後6時半ごろ、私は友人と中華料理店で予約をして、店に入ってメニューを選ぶときに電話がありました。午後6時40分ごろだろうと思います」

 ここで検察官が証人に事件当日の時系列を記した資料を見せたようだ。法廷のモニターには何も映らない。左から3番目の男性裁判員は手元の資料をめくって確認している。

検察官「21年8月2日午後6時43分に、押尾被告から証人に1分43秒間の通話記録があります。通話の内容で一番印象に残っていることは何ですか」

証人「『やばいっすよ』という言葉が印象に残っています」

検察官「具体的にはどんな通話でしたか」

証人「『やばいっすよ』と何回か連呼し、私が『落ち着きなさい』と言うと『連れの女が意識がない。やばいっすよ』と連呼していました」

検察官「いま『意識がない』という言葉が出ましたが、ニュアンスとして、死んでいるのか、意識がないのか、どうでしたか」

証人「そのときは『やばいっすよ、連れの女が意識ないんすよ』と言っていたので死んでいることは想定できませんでした」

検察官「死んでいる、戻ってこない、いっちゃってる、このような人の死を意味する表現を聞いた記憶はありますか」

証人「午後6時43分の電話ではありません」

 押尾被告はボールペンで淡々とメモを取っている。

検察官「午後6時55分に証人から押尾被告に電話していますね。なぜですか」

証人「6時43分の電話があったときに、たいへんびっくりしたのですが、会食が始まるときでした。電話を続けることよりも、『(押尾被告と面識のある)友人に連絡させるから落ち着きなさい』と言いました。友人に『押尾さんがたいへん慌てている。いま会食で電話できないので君から電話してほしい』と電話しました」

検察官「午後6時45分の、証人からこの人への電話ですね」

証人「そうです」

 検察官は資料を見せて確認したようだ。証人の友人がどんな人物かは傍聴席からは分からない。

検察官「もう少し細かく聞きます。午後6時43分の電話で、被告とどんな話をしましたか」

証人「彼が『意識がない。やばいっすよ』と動揺していたので、落ち着かせることを最優先に考えました。落ち着かせ、『速やかに119番通報しろ』と言いました」

検察官「『119番通報しろ』と言ったんですね」

証人「はい」

検察官「『119番通報しろ』『救急車を呼べ』のどちらの言い方をしましたか」

証人「両方言いました」

検察官「心臓マッサージや人工呼吸という言葉は出しましたか」

証人「彼が動揺していて落ち着かせることが第一でした。『119番通報して、できる限りのことをしなさい』と言いました」

検察官「『できる限りのこと』は個別の行為に言及したものですか」

証人「私の頭の中では、意識がないので、耳元で大きな声で呼ぶとか、ほほをたたくとか、心臓マッサージや人工呼吸を想定しましたけれど、具体的に言った言葉はないです」

「意識がないということでしたので、119番通報すれば済む話だととっさに思いました。会食を始めようとしたときにそういう電話がありましたので、落ち着かせて119番通報させ、早く電話を切りたかったのです」

検察官「中華料理店は町の料理店のような店ですか、ホテルの店ですか」

証人「大きなホテルのレストランです」

検察官「大事な会食だったのですか」

証人「はい」

 さらに、検察官は証人に意識がない人と接したことがあるかなどを確認した。

検察官「知人に電話した10分後に押尾被告に電話しましたね」

証人「119番通報したのか、確認のため電話をしました」

検察官「うがった見方をすると、放っておけばいいと思う。これから食事のときにあった慌てた電話なのだから」

証人「慌てた雰囲気を思いだしました。『友人に電話した。彼から電話があるだろう。それまでに119番しなさい』と繰り返しました」

検察官「午後7時3分から約1分間の通話があります」

証人「動揺していた彼が冷静に119番したか確認するためです」

検察官「押尾被告の返答は?」

証人「『119番したのか?』と聞きましたが彼は答えませんでした。『マネジャーを呼んでいるんです。付き人を呼んでいるんです。まだ来ないんです』と言っていました」

検察官「女性の話はありましたか」

証人「出てこなかったと思います」

 左から3番目の男性裁判員は熱心にメモを取っている。

検察官「午後7時10分に押尾被告から2分14、15秒の電話がかかってきていますね」

証人「はい。彼から『友人が電話してくれないんです』と告げられました。『マネジャーも付き人もまだ到着していない』と言われました」

「私は、彼が『マネジャーがまだ来ない』と話し、芸能人はマネジャーがこないと何もできないのかと思いながら、119番通報しないことを腹立たしく思いました」

検察官「女性の容体については何と言っていましたか」

証人「『もういっちゃってるんです。死んじゃっているんです』と言いました」

検察官「それは被告の生の言葉ですか」

証人「はい」

検察官「死んでいるという言葉も出ましたか」

証人「『いっちゃってる』『死んじゃってる』の両方言ったと思います」

検察官「どう感じました」

証人「何で119番しないんだと思いました。憤りを感じました」

検察官「午後6時43分の電話は『意識がない』でしたね?」

証人「そうです」 

検察官「6時55分、7時3分の電話では女性の容体に関する発言はなかったんですね?」

証人「ありませんでした」

 さらに検察官は証人に確かな記憶かどうか念を押して確認した。

検察官「証人は押尾被告と一緒に食事や酒を飲む親密な関係だったんですね」

証人「親密というより、21年3月に初めて言葉を交わし、それ以降、まじめでスポーツクラブで汗を流し、『将来、日本とアメリカの架け橋になる俳優になる』という夢を持った彼に、若いながらも礼儀正しく、体育会系のよい青年という良い印象を持っていました」

「トレーニング仲間として食事し、コンサートに1回顔を出したことがあります。親密というか親しくなりかけていたという印象です」

検察官「法廷で被告に不利な話をする理由はありますか」

証人「それはありません。ウソをついてそういうことをする必要もありませんし、その気もありません」

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