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(6)「妹より妻」法廷の夫は明言

咲被告の夫を証言台に残したまま、弁護側は質問を続ける。咲被告と絵里子さんのトラブルを間近で見てきた夫は、凶行に及ぶまでの咲被告の変化に気づいていたのだろうか。

弁護人「事件当日、被告人の様子はどうだったか?」

証人「(検察官調べで)当日の行動を聞かれたので、『いつも通り』と答えた」

弁護人「あなたは検察官に『(事件当日、咲被告は)鬱(うつ)のような状態ではなかった』と答えている。あなたが考える『鬱のような状態』とはどういうこと?」

証人「(咲被告が)自分で自分を傷つけるような状態ではなかったということ」

弁護人「あなたは(咲被告の逮捕後に)私の事務所を訪れ、『(事件当時の咲被告は)普通ではなかった』と言っていたが、これはどういう意味か?」

証人「(咲被告は)食欲がなくて、しゃべらなくなっていた」

弁護人「平成19年の7月〜11月ごろ、(咲被告が)暗くなったことは?」

証人「毎日暗かったわけではないが…」

弁護人「新しい職場に移ってから、被告人の働きぶりについて何か聞いたことはあるか?」

証人「最初のころは、(それまでの職場と)全く違う職場なので『慣れない』と…」

犯行当時、咲被告が心神喪失か耗弱状態だったと主張する弁護側は、事件前にも咲被告に異変が見られたことを強調し質問を終える。検察官も、事件前の咲被告の様子について引き続き質問する。

検察官「事件前、被告人から異変を感じたことはあるか?」

証人「『調子が悪い』とは聞いていたが…」

検察官「具体的には?」

証人「お腹が痛いのと、食欲がないのと…」

検察官「他に異変は?」

証人「仕事に行くのはいつも私の方が早いので、接している分にはいつも通りだった」

検察官「あなたは検察官の調べに対し、『(咲被告が)絵里子さんのことに、過度に悩んでいる様子はなかった』と話している。(実家を出てアパートに)引っ越した時点で、被告人と絵里子さんの間に、さらに問題が起こるとは考えていなかったのでは?」

証人「(別居することで)2人とも接触がなくなると思っていたので…」

検察官「今回のような事件は全く予想していなかった?」

証人「はい」

検察官「後から警察官に(咲被告が絵里子さんを殺したと)聞かされて、ショックだったのでは?」

証人「…はい」

事件を予測できなかったという夫は、悔やむように時折目をつぶりながら、静かに質問に答えた。しかし、妻への処罰感情を聞かれると、はっきりとこう答えた。

検察官「妹さんでもある被害者よりも、被告人に対する気持ちは強い?」

証人「はい」

検察官「(咲被告が)奥さんだからか?」

証人「それもありますし…。元々の関係も…」

検察官「被害者とはあまり仲良くなかったということか?」

証人「はい」

咲被告は顔を真っ赤にして、うつむいたままだ。ここで裁判官が数点質問し、最後に裁判長が、夫と絵里子さんの関係について質問する。

裁判長「証人と絵里子さんがあまり仲良くなかった理由は?」

証人「一番大きな理由は、妹が付き合っていた男の人が…」

口ごもる夫に、裁判長は配慮を見せながらも説明を促した。

裁判長「プライバシーの問題もあるので、言いたくなければ言わなくてもいいが…。できれば、抽象的でもいいので」

証人「妹が高3の時に、たばこのことで私と兄弟げんかをした。当時、私も妹も2階に部屋があり、たばこの臭いがすごかったので注意した。そうしたら、(絵里子さんが交際していた)男が私の部屋まで来て、怒鳴ってきた」

裁判長「けんかしたことを非難してきたのか?」

証人「そうだと思いますね…。5分ぐらい怒鳴られ、それから妹と関わるのはやめようと(思った)」

あきれた様子で、絵里子さんとのけんかを振り返った夫。また、絵里子さんが母親の財布から金を抜き取っていたのではないかと疑っていたことも、不仲の理由の一つとしてあげた。

裁判長「それで、信頼関係がなくなったと?」

証人「(絵里子さんの)連絡先も何も知らず、ほとんど関わりがなかった」

裁判長「(兄弟げんかの原因となった)たばこは、妹さんが吸っていたのか?」

証人「妹が吸うのは(実家で)同居してから知ったが、そのときはその人(交際男性)が吸っていた」

午後2時33分、裁判長は約15分間の休廷を告げた。咲被告は水色のハンカチを握りしめ、顔をあげることなく法廷を後にした。

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