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(10)女性刑事も緊張した ポカ、「黙秘権」告知せず

被告の取り調べに当たった女性警察官への尋問が続く。被告は当時のことを思い出すのか、水色のハンカチをぎゅっと握って、じっと聞き入った。

弁護人「(11月8日に)被告に出頭を要請したのは午後1時か?」

証人「はい」

弁護人「被告は時間通りに来たのか?」

証人「はい」

弁護人「被告の聴取中に、被告が何か隠しているように見えたのはどうしてなのか?」

証人「言葉や態度が落ち着かなかったから」

弁護人「それは、本当に思っていることを言えない態度とは理解できなかったのか?」

証人「私の追及に考えながら話し、内容に矛盾点、不審点が多かった」

弁護人が取り調べの正当性について問いただし始める。すると思わぬ「問題」が浮上した。

弁護人「11月8日、被告の調書をとっているときに黙秘権は告知したのか?」

証人「すべての自供が終わってから告知した」

弁護人「被告がまだ、事件の『第三者』だった時点では告知していないのか?」

証人「はい」

弁護人「被疑者として取り調べ始めたときにも黙秘権を告知していないのか?」

証人「していない」

裁判長が質問を挟む。黙秘権の告知を怠った点は疑問に思ったようだ。

裁判長「被告に黙秘権を告知したのは何時なの?」

証人「午後5時に(聴取内容を)上司に報告をして、そのあと…5時半ごろと思う」

弁護人「では、それまでは『被疑者』としての取り調べとはいえないのではないか?」

裁判長「いや、それについて現在の評価を聞いても仕方がないでしょう」

弁護人「…では普段、事件の『第三者』の聴取をするときも、黙秘権は告知していないのか?」

証人「いえ」

弁護人「しかし、今回はしてないね?」

証人「してません」

弁護人「今回の事件で他の人の聴取はしていますか?」

証人「してません」

女性刑事は弁護人の追及を断ち切るように、明瞭(めいりょう)な声で短く答えた。ここで検察側の尋問に移る。

検察官「11月8日の調べで、被告のことを疑って追及を始めた午後2時ごろに、黙秘権を告知しなかったのはなぜか?」

証人「取り調べ中に告知しないといけないことは知っていたが、緊張していて告知をしなかった」

検察官「忘れてしまったと?」

証人「はい」

検察官「それでも『あなたが(犯行を)やったんじゃないか』という質問は続けていたのか?」

証人「はい」

女性刑事ははっきりした口調だが、声がわずかに震える。ここで検察官は尋問を終えた。

裁判長「11月8日に被告を取り調べて受けた印象を聞きたい。被告が『犯人であることを述べるために来た』という印象はないのか?」

証人「はい」

裁判長は、咲被告の『自首』の意思の有無を確認したいようだ。咲被告は視線を下げてじっとやりとりに聞き入る。

裁判長「追及して怪しくなったから、上司に報告をしたということか?」

証人「はい」

裁判長「被告の話し方で、(厳しい)追及を受けると答えが出ないことはあったのか?」

証人「あった」

裁判長「被害者以外のことを話すときとは、答え方が明らかに違うということはあったか?」

証人「はい」

裁判長「黙秘権はなぜ告知しなかった?」

証人「自分が取り調べの中で思い出して復唱した」

裁判長「調書はいつから取り始めた?」

証人「(上司に報告して)再び取り調べを初めて、30分後くらいだと思う」

裁判長「それ以前も調書は取るつもりではいたのか?」

証人「はい」

裁判長「上司に報告に行くまでは(聴取の内容を)紙に書いていないが、なぜなのか?」

証人「失念していただけだ」

裁判長「2人ペアで聴取に当たることも警察ではよくあると聞いているが、どうして1人だったのか?」

証人「事情はない。上司から私が調べに当たるように言われた。それだけだ」

⇒(11)耳まで赤く染め咲被告「縁切られて当然…」