(8)「女優気取りか」「イタコに話を聞いた」刑事追及に…
弁護人「(豪憲君の)死体遺棄で6月25日に起訴された。それまでに彩香ちゃんの件で追及された?」
鈴香被告「はい」
弁護人「どんな追及?」
鈴香被告「彩香に何かアクシデントがあったのではないかと」
弁護人「認めろとか言われなかった?」
鈴香被告「『彩香を殺したことを認めろ』といわれ、検事も『これは事故じゃなく明らかに事件だ。その件についても私が担当になった』と」
弁護人「例えばストーリーとして、豪憲君の件とつながるようなことを言われたことは?」
鈴香被告「はい。『彩香ちゃんを殺した所を豪憲君に見られたから豪憲君を殺したんだろう?』といわれた」
弁護人「そのような話を聞かないとどのように怒られた?」
鈴香被告「聞きたくないから横を向いていると『まっすぐ見ろ』と」
弁護人「休憩を申し入れたりはした?」
鈴香被告「さっきも言ったように『人を1人殺しておいて疲れたといえる訳がない』と」
弁護人「6月25日、死体遺棄で起訴され、(豪憲君)殺害容疑で逮捕。その後の調べで豪憲君と彩香ちゃんのことについて聞かれた割合は?」
鈴香被告「ほとんど彩香のことだった」
弁護人「豪憲君については?」
鈴香被告「ほとんど終わっていた状況」
弁護人「どう感じた?」
鈴香被告「なんで彩香のことばかりで豪憲君のことじゃないのかと。豪憲君のことで逮捕されたのに」
弁護人「○○刑事(実名)の追及の激しさは?」
鈴香被告「厳しくなった。『彩香がどっかにぶつかって倒れて、救急車を呼ばないで自分で運ぼうとして豪憲君に見られたのでは?』とか」
弁護人「誘導することは」
鈴香被告「あった。『(豪憲くんに)どう靴を履かせた。玄関に倒れていたんだろう』とか『本当のことを話さないと成仏できない』とか」
弁護人「警察は偉いんだとも言った?」
鈴香被告「『警察は偉いんだ。こちらは100人、お前は1人で情報を得ようとしたが住民は無視した。警察には答えてくれる』と。『目撃者もいるんだ。その人も法廷によんでチクチクやる』と」
弁護人「書類はできているとは?」
鈴香被告「『彩香(の事件)に対しても書類はできている。後はおまえが言うだけだ』といわれた。『警察は何年かかつてもどんな手を使っても追いかけるぞ』。『拘留の期間をどんな手を使っても伸ばす』と」
弁護人「別のストーリーで何か言われた?」
鈴香被告「『彩香と一緒に死のうとしたのか』とか『心中しようとしたのでは』といわれた」
弁護人「このころ、(彩香ちゃん殺害当日の)午後4時以降の記憶は?」
鈴香被告「買い物から帰り、彩香が『ピカチュウをみせに行く』と出かけてそのまま帰らなくて、探したところまで覚えている」
弁護人「弁護士にも話していたから?」
鈴香被告「はい」
弁護人「この辺で印象に残る追及は?」
鈴香被告「はい。『きちんと話さないと成仏させてあげられない』あとは『捜査で恐山のイタコに話を聞いたが、かなり当たっていた』と言い出して、そのとき、どんな手を使ってでも拘留のばすんだなと思った」
弁護人「刑事から何か侮辱的な発言は?」
鈴香被告「『思いつき、妄想、うそつき。体が大きいのに虚弱はないだろう。テレビにでて女優気取りか』といわれた」
弁護人「殺人犯という件では?」
鈴香被告「『いろいろな殺人犯を調べたが、お前ほどずるいのは初めてだ』といわれた」
弁護人「お前呼ばわり?」
鈴香被告「はい『何様のつもりだ』と」
弁護人「こういった追及は何度も?」
鈴香被告「はい」
弁護人「どう答えた?」
鈴香被告「その都度、違います、覚えていませんと言った」
弁護人「やってませんと」
鈴香被告「はい」
弁護人「○○刑事は信じなかった? どう対応しようと?」
鈴香被告「黙秘しようと」
弁護人「黙秘の告知は?」
鈴香被告「されていた」
弁護人「いつ?」
鈴香被告「最初だけです」
弁護人「朝に?」
鈴香被告「はい」
弁護人「だれから?」
鈴香被告「○○刑事から」
弁護人「黙秘しようとするとどんなことをされた?」
鈴香被告「聞き流そうと目を閉じると、『反省心がない』とどなる」
弁護人「そのときの動作は?」
鈴香被告「指の腹やつま先で机をたたく。顔を背けると『こっちを見ろ』」
弁護人「目を閉じると?」
鈴香被告「はい」
弁護人「抗議した?」
鈴香被告「はい」
裁判官「具体的には?」
鈴香被告「黙秘しますと」
弁護人「どう言われた?」
鈴香被告「『黙秘は勝手だが、警察にいる以上、調べを受ける義務はある』と」
弁護人「それだけ?」
鈴香被告「まだあったかもしれないが思いだせない」
弁護人「話す義務あるといわれたことは?」
鈴香被告「言いました」
弁護人「豪憲君の件については黙秘していないが?」
鈴香被告「はい。する必要がない。米山さんや豪憲君に対して反省し、悪いことをしたと思ったから。覚えている限り話した」
弁護人「話さないといけないと」
鈴香被告「はい」
弁護人「でも彩香ちゃんのことを聞かれた?」
鈴香被告「彩香のことは話したくないというか、覚えていないことも多く黙ろうとすると『黙るな』と」
弁護人「弁護士の接見については聞かれた?」
鈴香被告「『この間弁護士を呼んだときは何と言った?』と聞かれた」
弁護人「1度だけ?」
鈴香被告「いいえ、何度も」
弁護人「弁護士がついていること自体を否定されたことも?」
鈴香被告「『お前には弁護士がいるが、彩香の弁護はおれたちしかできない』といわれた」