(4)「軍手」目に殺害決意「豪憲君生き返ったら…」

弁護人「ほかに思ったことは?」
鈴香被告「この先子供と2人きりになれるチャンスがあるか、分からない。事件を起こすなら今しかない。豪憲君はよく顔を知っているので、事件を起こすなら、殺すしかない。その考えにとりつかれた」
弁護人「殺すと決めたということか?」
鈴香被告「まだ考えている最中だった」
弁護人「それから?」
鈴香被告「『ちょっと待ってて』と言うと、豪憲君は玄関の端に腰を下ろしたので、私は左手で靴箱に手をついてのぼろうとしたときに、軍手が目に入った。軍手を見たときに思わず、軍手を持ってしまった」
弁護人「どういうつもりで持った?」
鈴香被告「そのとき本当に殺そうと思って、軍手を持った」
弁護人「軍手を目にしたときに、殺すことを決定したことになるのか?」
鈴香被告「はい」
弁護人「軍手はなぜあった?」
鈴香被告「プラスチックの箱に、何そうかいつも置いてあった。そのうちの1そう」
弁護人「そのとき何そうかあった?」
鈴香被告「いいえ。直前のゴールデンウイーク前に除草剤をまくのに使って、残っていたのが新品の1そうだった」
弁護人「ゴールデンウイーク前も使った?」
鈴香被告「雪かきとか、そういうときに使った」
弁護人「普段から箱には何そうかあった?」
鈴香被告「はい」
弁護人「1そう残ったのを使った?」
鈴香被告「はい」
弁護人「初公判で『精神状態が正常だったか分からない』と言ったが、今、補足できるか?」
鈴香被告「もし自分が正常だったなら、殺そうと考えても実際に行動することはなかったと思って、そういうふうに言った」
弁護人「なぜそうしたか、今日、分かるか?」
鈴香被告「分からない」
弁護人「犯行状況で、検察側の主張と違うところは?」
鈴香被告「豪憲君の首を絞めた時間」
弁護人「検察は10分としているが?」
鈴香被告「長くても、5分ぐらいだったと思う」
弁護人「なぜ?」
鈴香被告「当時の私は本当に力がなくて、絞めるときの体勢も中腰で絞めていたので、そんなに長く続けていられないと思ったので、5分ぐらいだったと思う」
弁護人「絞める力は?」
鈴香被告「そんなに長く絞められないと思う」
弁護人「死体遺棄についても、検察側の主張でいいか?」
鈴香被告「はい」
弁護人「違うところは?」
鈴香被告「放り投げるのではなく、すべらせるように落としてやって、ということ。思わず滑っていった、というのが実際の動きだった」
弁護人「直後にどうした?」
鈴香被告「どうしよう、何てことしちゃったんだろうと、座り込んで泣いていた」
弁護人「どんな座り方?」
鈴香被告「正座を崩したような感じ」
弁護人「女の子座りという感じ?」
鈴香被告「はい」
弁護人「『何てことしちゃったんだろう』とは?」
鈴香被告「そこで本当に殺してしまった。どうしよう、という感じ」
弁護人「死体を運んだのはなぜ?」
鈴香被告「遺体が家の中にあると困ると思ったから」
弁護人「場所は車を走らせているうちに考えついた?」
鈴香被告「はい」
弁護人「最初はどこに行こうと?」
鈴香被告「橋の下の辺りに遺棄しようと思った」
弁護人「なぜ?」
鈴香被告「グラウンドがあったし、なるべく早く人に見つかってほしい、という思いが。矛盾しているかもしれないが…」
弁護人「最終的に遺棄した場所は、いつ思いついた?」
鈴香被告「グラウンドに下りようとしたとき、何人かキャンプみたいなことをしていたので、ダメだと思った。正面に川向こうの白いガードレールが見えて、『あそこなら』と思った」
弁護人「心境は?」
鈴香被告「豪憲君が息を吹き返して、『どうしてこんなことをするの』と問い詰めてくると思って、とても怖かった」
弁護人「遺棄の現場では?」
鈴香被告「早くしなきゃ。早くこの場から立ち去りたい、という気持ちでいっぱいだった」
弁護人「そのあと実家へ?」
鈴香被告「はい」
弁護人「何を考えた?」
鈴香被告「なるべく普通の態度でいよう。怪しまれないようにしなければ、と」
弁護人「任意同行されるまで日があったが?」
鈴香被告「とても怖かった。母は、彩香が(遺体で)見つかって半狂乱になったので、自殺するんじゃないかと思い…」
弁護人「自分から出て行こうとは?」
鈴香被告「任意同行前日に幼なじみがきたとき、一緒についてきてもらおうと思ったが、結局言えなかった」
弁護人「豪憲君に対しては?」
鈴香被告「謝り続けていた。彩香の念仏を唱えるとき、豪憲君の分も唱えて泣いていた。ごめんなさいと。本当だったら今ごろ学校生活を楽しんでいたのに」