(18)検事登場…言葉飲み込み、固まる鈴香被告
午後3時40分、弁護側の質問が終わり、検察官が鈴香被告への問いかけを始める。
検察官「まず確認します。これまで生まれてからの話を弁護士にしていたが、小学校の時に学校の先生にいじめられていたと言った?」
鈴香被告「はい」
検察官「先生に『水子』と言われたのは小学校何年生のときの担任?」
鈴香被告「1年」
検察官「1年だけ?」
鈴香被告「1年の途中で担任が変わったので」
検察官「いつまで?」
鈴香被告「そこまでは…」
検察官「1年目の途中で別の先生に代わって、その先生は2年の時も担任だったか?」
鈴香被告「いいえ」
検察官「2年からは別の先生で、その後、いわゆる『犬食い』というか、手の上に給食を乗せて食べさせられたのはどの担任?」
鈴香被告「4〜6年の先生」
検察官「2年の時の担任は3年も受け持った?」
鈴香被告「そう記憶している」
検察官「そうなると、1年の途中に担任が代わり、その後2〜3年、そして4〜6年で担任の先生は4人いた?」
鈴香被告「はい」
検察官「全員女性?」
鈴香被告「はい」
検察官「『修学旅行に来るな』と言ったのは4〜6年の先生?」
鈴香被告「はい」
検察官「話は飛ぶが、あなたは能代署に留置されたり、刑務所に拘置されたりした際、死のうとしたと言ったが?」
鈴香被告「はい」
検察官「たばこを4本飲み込み、タオルで首を絞め、鏡の破片で腕を切り、ボディーソープ飲んだと、4回か?」
鈴香被告「はい」
検察官「本当に死のうと思った?」
鈴香被告「はい」
検察官「たばこは調べ室から持ち出すとすると、留置されていた頃?」
鈴香被告「はい」
検察官「いつごろ?」
鈴香被告「分かりませんが…」
検察官「被疑者ノートというものを弁護士から差し入れられているか?」
鈴香被告「はい」
検察官「そこに書いてある?」
鈴香被告「すべてではないが」
検察官「記憶なので前後するとは思うが、たばこを飲んで死のうとしたのはいつぐらいのこと?」
鈴香被告「…」
答えようとしない鈴香被告を、検察官は腕を組んでにらみつけた。鈴香被告は固まったように動かない。
鈴香被告「すいません。何日ごろとかは…」
検察官「例えば、最初に逮捕されたころか? ずっと最後の段階か?」
鈴香被告「そんな極端なときではないと思う」
検察官「たばこで自殺するというのは、ボールペンで腕を刺したのとは意味が違うのか? ペンは抗議か? たばこは?」
鈴香被告「…」
検察官「どういう心境から?」
鈴香被告「自分のしたことが怖くなって、もう生きているのがつらくなって」
検察官「怖いとは、豪憲君を殺したことか?」
鈴香被告「はい」
検察官「タオルは?」
鈴香被告「拘置所の方」
検察官「いつごろ?」
鈴香被告「8月25日」
検察官「鏡を割ったのは?」
鈴香被告「拘置所」
検察官「いつ?」
鈴香被告「平成19年3月十何日か?」
検察官「3月に鏡、そして8月の裁判が始まる前にタオル?」
鈴香被告「はい」
検察官「これはどうして死にたくなった? さっきと同じ?」
鈴香被告「はい」
検察官「豪憲君を殺して、罪の重さから?」
鈴香被告「…私が死んでも豪憲君は返ってこないのは分かっているが、私がいなくなれば落ち着いてもらえるのではと」
検察官「落ち着くとは、豪憲君の遺族が?」
鈴香被告「はい」
検察官「ボディーソープを使ったのはどこで?」
鈴香被告「警察署」
検察官「時期は?」
鈴香被告「ちょっと時期は…」
検察官「たばことはどっちが先?」
鈴香被告「たばこの方が先」
検察官「たばこ、ボディーソープは警察の職員は気付いたか?」
鈴香被告「たばこは気付いたと思う」
検察官「どうして分かる?」
鈴香被告「(職員が)本数を数えていたから」
検察官「注意された?」
鈴香被告「いえ、でもその後、ボディーチェックが厳しくなった」
裁判官「注意はされていない?」
鈴香被告「されていない」
検察官「ボディーソープは気付かれていない?」
鈴香被告「はい」
検察官「これも自責の念から?」
鈴香被告「はい」