(2)運動会「彩香いないのにこの子たちは−」弁当、涙でしょっぱかった
弁護人「(運動会に出ている)子供たちはどのように見えたか?」
鈴香被告「すごく楽しそうで…」
弁護人「あなたが持っていた遺影を、子供たちはどのようにみていたか?」
鈴香被告「彩香は友達に(畠山をもじって)『ハッタ』と呼ばれていたが、子供たちが『ハッタ来た、ハッタ来た』と言ってくれたのがうれしかった」
弁護人「あなたは子供たちが走っているところをみたか?」
鈴香被告「はい」
弁護人「鼓笛隊の演奏は?」
鈴香被告「はい」
弁護人「どのように見ていたのか?」
鈴香被告「本当だったら、彩香もこの中にいたのに、なんでいないんだろうと」
弁護人「具体的には?」
鈴香被告「(鼓笛隊の)青いベレー帽かぶっていたはずなのに、彩香はいない。そういうことを」
弁護人「どういう感じだった?」
鈴香被告「つらくなってきて、そこに座っていられなくなり、校長先生にあいさつした。『今日はつらいので、これ以上見ていられないので失礼します』と」 弁護人「元気な子供たちへの嫉妬心は含まれていたのか?」 鈴香被告「はい」 弁護人「それを説明してください」 鈴香被告「子供たちが、彩香の同級生たちが走るのを見て、そのなかに彩香の代わりに2回走った子がいて、本当は彩香が走るはずだったのにとか、そういうことを思って」 弁護人「その後、(藤里町の)町営住宅へ行ったのか?」 鈴香被告「はい」 弁護人「家ではどうだったのか?」 鈴香被告「涙が出て止まらず泣いていたが、彩香のために作った弁当を、と思い、彩香の遺影の前で2人で食べるように食べた」 弁護人「何か話しかけたか?」 鈴香被告「彩香も出るはずだったのにね、と」 弁護人「弁当の味はどうでした?」 鈴香被告「涙でしょっぱかった」 弁護人「(運動会翌日の)5月15日にも(藤里の)家に行っているようだが?」 鈴香被告「はい」 弁護人「ほぼ毎日行っていたのか?」 鈴香被告「はい」 弁護人「それはなぜ?」 鈴香被告「母に『いつ弔問の人が来ても恥ずかしくないよう、家の中を整理しなさい』と言われていたので、行っていた」 弁護人「遺品の整理は?」 鈴香被告「それもあるし、彩香の部屋でぼーっとしていることもあった」 弁護人「15日もそうか?」 鈴香被告「はい」 弁護人「この日に、(顔見知りの)子供たちを見かけたという話があるが?」 鈴香被告「はい」 弁護人「どのように見かけたのか?」 鈴香被告「彩香の部屋の机に座っていると、腰高窓から、○○さん(実名)の子供が見えて、『こんにちは』と言ってくれた」 弁護人「普段だと子供が学校に行っている時間だが?」 鈴香被告「そうです」 弁護人「この日は、運動会の振り替え休日ということだったが?」 鈴香被告「忘れていた」 弁護人「それはどういうこと?」 鈴香被告「子供たちのいる時間ははずして(藤里の家へ)行っていたので」 弁護人「それで?」 鈴香被告「子供見たときは、一瞬帰ろうと思った」 弁護人「そのときは、どんな話をしたのか?」 鈴香被告「昨日の鼓笛隊よかったねとか、隣の(別の)子に『こんにちは』とか言った」 弁護人「子供たちは?」 鈴香被告「『こんにちは』と声をかけてくれた」 弁護人「どう思った?」 鈴香被告「すごくつらかった」 弁護人「どうつらかった?」 鈴香被告「ちょっと前にには、彩香はこの子たちの中にいたんだとか、彩香がいなくても(子供たちは)さみしくないのかな、普段通りでいるのかな、とか」 弁護人「もっと具体的に言うと?」 鈴香被告「嫉妬というか、うらやましいというか、そういう気持ち」 弁護人「憎たらしいというのは?」 鈴香被告「憎たらしいまでは、ちょっといかないけど…。うらやましい、という気持ちが強かった」 弁護人「複雑な思い、という感じで考えているのか?」 鈴香被告「…」 弁護人「質問をかえましょう。複雑な思いがあった。彩香ちゃんの死のこと、死亡原因の究明をしてほしいという気持ちは?」 鈴香被告「強く思うようになった」 弁護人「何を強く?」 鈴香被告「子供の事件起こそうと。警察に絶対に捜査してもらおうという思い」 弁護人「それが防犯スプレーにつながるのか?」 鈴香被告「はい」 弁護人「実際に防犯スプレーを持って(子供を)探したことは?」 鈴香被告「はい」 弁護人「どのように?」 鈴香被告「藤里や二ツ井の町内を車で流しながら、歩いていた」 弁護人「スプレーは車に持ち込んだのか?」 鈴香被告「持ち込んだ時もあれば、持ち込まなかった時もある」 弁護人「これは(運動会翌日の)5月15日のことか?」 鈴香被告「いいえ。16日、17日のことだと思う」 弁護人「17日は豪憲君殺害の日だが、この日もか?」 鈴香被告「はい」