(14)「検察調べで『殺意』認めたワケは…」
弁護人「7月23日の取り調べで、○○刑事(実名)は他に何か言ったか?」
鈴香被告「後で調書を使わないでくれと頼めば、使わないでくれると言った」
弁護人「どう思った?」
鈴香被告「そういうこともあるかと思ったが、後で弁護士に『そういうことはあり得ない』と言われた」
弁護人「検察官の調べが、8月の拘留期間の後半には多くなってきた。検察の調べで殺意を肯定する調書に署名しているが、○○検事(実名)にどんなことを言われたのか?」
鈴香被告「『今さら殺意を否認しても裁判所では通用しない。もっときついことを言われる。先生に情状を語ってもらえばいいじゃないか。検察としてもあえて悪い情状は入れてないのだから。〈とっさに〉という言葉を強調してあげているんだから』と言われた」
弁護人「このぐらいがまんしろと言われた?」
鈴香被告「はい」
弁護人「悪い情状とは?」
鈴香被告「高校時代の悪さなどと言われた」
弁護人「自分の刑がどうなるか、当時聞いたか?」
鈴香被告「はい」
弁護人「どう○○検事は言っていた?」
鈴香被告「いつも『難しい。前例がないので難しい事案だ』と言っていた」
弁護人「いろんな刑がありえると?」
鈴香被告「はい」
弁護人「弁護人にも相談した?」
鈴香被告「はい」
弁護人「一番重たい刑、死刑ということを否定したか?」
鈴香被告「いいえ」
弁護人「死刑や無期に不安は?」
鈴香被告「あった」
弁護人「弁護人にも話をした?」
鈴香被告「はい」
弁護人「8月2日に殺意を認める調書にサインしている。その後の接見で今言ったような話をして、(弁護人が)内容証明(郵便)を打ったね?」
鈴香被告「はい」
弁護人「1度真実でない調書ができると、裁判でひっくり返すのは難しいと聞いていたね?」
鈴香被告「はい」
弁護人「なぜ殺意を認める調書に署名、押印した?」
鈴香被告「『裁判所では殺意を否定できない。〈とっさに〉を強調して、計画性がなかったことを話してあげる』と○○検事に言われた」
弁護人「少しでも情状を良くしようという気持ちが強かった?」
鈴香被告「はい」
弁護人「死刑、無期を回避する気持ちが強かった?」
鈴香被告「はい」
弁護人「○○検事を弁護人より信用したということになる?」
鈴香被告「はい」
弁護人「拘留期限の8月9日に、28ページぐらいの検察官調書に署名した?」
鈴香被告「はい」
弁護人「弁護人に話したことや抗議内容と全く違う形で書かれているが。そんなことを言った?」
鈴香被告「問(とい)、答のような質問のときに答えてしまった」
弁護人「完成した調書を読まれているとき、どう思った?」
鈴香被告「やっと終われる、と思うような感情で、内容まで気にしていなかった」
弁護人「内容の確認は?」
鈴香被告「いえ。読み聞きと、あと、読ませてもらったのと。もうこれで最後と思って、内容まで気にしていなかった」
弁護人「なぜ署名した?」
鈴香被告「悪い情状に取られると思った」
弁護人「内容で不利になるようなこともあるが?」
鈴香被告「当時は書かれていないつもりだった」
弁護人「弁護側は8月3日に抗議の内容証明郵便を出した。○○検事は何か言っていた?」
鈴香被告「『こういうのを出すとかえって悪い情状になる』と話していた」
弁護人「8月9日を過ぎて接見が自由になったね?」
鈴香被告「はい」
弁護人「殺意を認める調書にサインしたことがどういうことか、説明を受けた?」
鈴香被告「はい」
弁護人「本当のことを話すということで、今話している?」
鈴香被告「はい」
弁護人「橋の上ですべて忘れてしまった、ということを言えなかった?」
鈴香被告「はい」
弁護人「どういう流れでできた?」
鈴香被告「検事さんの作文」
弁護人「誘導された?」
鈴香被告「はい」
弁護人「豪憲君事件のときの拘留では、記憶ははっきりしていた?」
鈴香被告「いいえ」
弁護人「どんな状態?」
鈴香被告「まだ興奮していて、信じられないような感じでいっぱいだった」