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(9)「被告は検察に洗脳されていた」

弁護側の「捜査批判」は続く。取り調べ段階での利益誘導や巧みな話術により、鈴香被告が彩香ちゃんに対する殺意を肯定せざるを得なくなったという趣旨だ。殺意は死刑判決回避の生命線でもあるが、早口での読み上げは変わらない。

弁護人「検察側は(平成18年)8月1日に彩香ちゃんが小学校に上がるまで、8月5日に入学以降の経緯についての調書を作成した。このとき、鈴香被告は殺意の訂正に臨んだが、検察側の巧みな利益誘導があって果たせなかった」

いくつかの『実例』を上げた後、弁護側は『洗脳』という強い言葉で不当性を強調する。

弁護人「(鈴香被告が)検察に洗脳されていたような状況だったことは察するに余りある。自白に関しては証拠価値は極めて低く、殺意を認める自白は信用に値しない」

殺意をめぐる論争はなおも続く。弁護側は、自白したとされる内容の不自然さを1つずつ突いていく。

弁護人「(『欄干に乗らないなら帰る』と言ったときに)『帰るといえば帰ったかもしれない』というのは理解に苦しむ。○○検事(実名)は『そういうからそのように調書化した』というが…」

「体を支えていたというのも不自然だ。両足を川の方に投げ出すまでには、相応の時間がかかったはずだ。支えていた手を前に出せば落下するのに何もしていない。しかも、座っている間も支えていた。○○検事は『迷っている時間もあったかもしれない』というが」

そして弁護側は『決め言葉』を放った。

弁護人「決定的に不自然なのは実行行為だ。鈴香被告は、彩香ちゃんの腰を挟むようにして支えていた両手のうち、片方の左手を彩香ちゃんの右にあて、欄干の向こうに押したという。右から左に落下させたこと自体は、彩香ちゃんの体の皮下出血などから間違いはない。○○検事は『見たくなかった。そういう心境は分からないでもない』と述べているが、全く調書化されていない」

ここで鑑定に関する話題へ。公判では起訴前と起訴後に鑑定が行われた。弁護側は起訴前鑑定の内容が気に入らない様子で、信用性を攻撃する。午前中に検察側が、鈴香被告の記憶の健忘を認めた起訴後の鑑定を『全く信用できない』と切り捨てたのと対照的だ。

弁護人「面接を経て得られた鑑定結果は、起訴前の鑑定段階より格段に信用性が高い。起訴前の鑑定人は、鈴香被告の怒りと攻撃性を前提にして鑑定を進めており、そもそも誤っている。精神医学を踏まえておらず、鑑定の常道から離れ、信憑(しんぴょう)性はない」

鈴香被告は事件直後、担任などに電話で「(彩香ちゃんは)行き先を何も言っていなかった」と述べたが、その後、「ピカチュウのおもちゃを友達に見せると言っていた」と変わったとされる。弁護側はこのことについて、鈴香被告の言っていることは、実は終始一貫しているのだとフォローする。

弁護人「変遷したということ自体が疑わしい。架電以前、商店で彩香ちゃんの行き先を聞いていたことは証拠上、明らかになっている。『(彩香ちゃんが)どこに行くとも言っていなかった』というのは、『(ピカチュウのおもちゃを)見せに行ってくる』と聞いていただけで、どの友達のことかを聞いていなかったと答えたつもりが、『何も聞いていない』と受け取られた可能性もある」

⇒(10)弁護人「不自然」連発 検事はヒソヒソ…」