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(14)「被告の家族に処罰感情ない」弁護側

休廷を挟みながら2時間半も続いている弁護側の最終弁論に、鈴香被告はけだるそうな表情を見せている。犯行そのものは認めている豪憲君事件について、弁護側は動機などの面から検察側の論告に反論する。

弁護人「豪憲君事件に計画性はなかった。帰り道、周囲の人目につきやすい時間に、死体を捨てる場所や運搬方法も考えずに犯行を行っている。計画性があれば、人目につかない場所に遺棄するものだ」

弁護側は、検察側が「計画性」の根拠とした点に、ひとつずつ反論する。

弁護人「検察側が主張する計画性の根拠は、凶器を準備していた点、事前に児童を物色していた点だ。しかし、凶器の軍手が玄関先に置いてあったといっても、軍手は玄関先でよく使うものだ。それに(もうひとつの凶器の)腰ひもと別に置いておいたのも不自然だ」

「誘拐を考えて物色していたというが、自分と顔見知りなら、催涙スプレーをかける前から顔が割れる。誘拐は顔を知られていない人が対象で、豪憲君は対象から外れているはず。このことからも計画性があったとはいえない」

さらに弁護側は、検察側が描いた豪憲君殺害の動機についても反論する。彩香ちゃん事件の捜査対象からそらすためという検察側の主張は、突然過ぎて、根拠が弱いと批判した。

弁護人「豪憲君事件は衝動的。2人きりになったとき、うらやましさやねたましさから、切なく苦しい気持ちになり、今しかない、顔を知られているから殺すしかない、として生じた」

「鈴香被告は、彩香ちゃん事件を事故として処理した警察に再捜査を要求していた。運動会でつらくなったことや防犯スプレーの供述からしても、不合理さはない。運動会を見て子供への嫉妬(しっと)を募らせており、思いが充満してあふれ出す寸前だったと考えられる」

弁護側は、犯行の態様についても、豪憲君の首を絞めていた時間は10分ではなく5分だと反論。『検察側は鈴香被告の情状を少しでも悪くしようとしている』と批判した。

弁護人「豪憲君殺害についての鑑定意見では、事件直後から事件の露見を恐れていたことなどから、責任能力があったとされている。しかし、認識に従って自己の行動を制御することは難しく、責任能力が著しく減退していたといえなくもない」

弁護側が用意した最終弁論を先に読み終えたのか、藤井俊郎裁判長が時折、顔を上げて検察側、弁護側を見やる。最後に、弁護側は情状面について言及した。

弁護人「彩香ちゃん事件は、スキンシップ障害があったにせよ、危険な行為で、責任はきわめて重大だ。しかし、鈴香被告は健忘に陥っており、鈴香被告の母と弟は、遺族としての処罰感情を一切示していない。(彩香ちゃんの父親である)元夫は離婚後、彩香ちゃんに会っておらず、愛情を注いでいなかった」

早口で最終弁論を読み上げる弁護側だが、“主役”の鈴香被告に表情はない。法廷には、長文の最終弁論のページをめくる音だけが響いた。

⇒(15)弁護人「池田小事件とは違う!」