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(4)「冷酷非道で鬼畜」彩香ちゃん「母親が手をさしのべてくれると信じた」

長文の論告を読み上げていた検察官が別の検察官に交代した。内容も彩香ちゃん事件から、豪憲君事件に移っていく。検察側は豪憲君殺害について、鈴香被告に完全責任能力があったことを明らかにしていく。

彩香ちゃんを殺害したとき、健忘症状はなかったとの前提に立つ検察側。彩香ちゃん事件がきっかけになって豪憲君事件が起きたことを指摘する。

検察官「豪憲君への犯行の経緯は、彩香ちゃんの事件性を訴えたが社会に不当に無視されたと感じた被告が、自分の訴えを周囲に認めさせようとした」

「自ら彩香ちゃを殺しているのに、理不尽でやや正常を欠いているとも思われるが、検察側の鑑定医によると、鈴香被告には攻撃衝動があり、合理的に十分信用できる」

「彩香ちゃんのことで、警察が動いているらしいと聞いて、車で1人歩きの子供を探した」

豪憲君事件を起こした理由を、『警察に彩香ちゃん事件の真相を明らかにしてほしかった』と弁解した鈴香被告。しかし検察側は、豪憲君事件を起こせば捜査が混乱し、自己への疑いが晴れると考えたと指摘した。つまり、豪憲君事件は、彩香ちゃんを殺害したことを十分に自覚していた上での犯行だったという主張だ。

検察官「検察側の鑑定医の鑑定結果も完全責任能力を認めている。社会に不当に無視されているという怒りなどから攻撃衝動を爆発させた」

論告は、鈴香被告の情状関係に移った。彩香ちゃん事件について、『意地で引き取った彩香ちゃんに不満を振り向け、ついに殺害した結果だ』と主張すると、鈴香被告は抵抗を示すかのように、わずかに目を閉じた。

検察官「鈴香被告は身勝手きわまりなく、冷酷非道で残虐。鬼畜のなせる業。豪憲君事件については、殺す相手は誰でもよかったと凶悪極まりない。幼い2人の児童が無念にも尊い命を奪われ、遺族の悲嘆は察するに余りあり、極刑を望むのは当然のことだ」

傍聴席で写真を写真を抱えた豪憲君の両親は、じっと黙ったまま論告に聞き入っている。

検察官「現在も彩香ちゃん事件を否認し、豪憲君についても計画性はないなどと否認している。さらに、かげで『まだ2人残っている』など真摯(しんし)な反省態度は見られない。被告人の矯正は不可能だ」

死刑求刑をにおわせる検察側の論告だが、鈴香被告の様子に変化はない。時折まばたきしながら、検察官の方を見つめている。

検察官「被告はヒステリーがあり、自己中心的で実母への依存傾向が強い。反社会的な性格で、他者と頻繁に軋轢(あつれき)を起こしていた」

弁護側はこれまで、『実父からの虐待や、幼少時での学校担任から受けた言動が、現在の被告の性格につながっている』と主張してきた。

検察官「実父はしつけのために暴力をふるっていた。成人してからは対等に話せ、粗暴なだけの父親とはいえない。小学校時代の教師の言動も信用できない」

検察側は次に、彩香ちゃん事件についての鈴香被告の情状を明らかにしていく。幼くして命を奪われた彩香ちゃんの無念について述べるとき、検察官の声はつい大きくなる。

検察官「母として、彩香ちゃんは何に代えても守るべき存在だった」

「実父の介護を除けば、いずれも身から出たさび。自己の行き詰まりを彩香ちゃんに向けた。母性のかけらも見受けられない」

さらに、犯行態様の冷酷さを指摘した。

検察官「母親を信じて抱きつこうとした彩香ちゃんに対して、冷たい川に突き落とす犯行態様は冷酷きわまりない。周囲から好かれる明るいけなげな子供は、最後には母親が手を差し伸べてくれると信じた。実母の手にかかって9歳の生涯を終えた無念は察するに余りある」

検察側は、彩香ちゃんの父が『死をもって償うしかない』などと述べたことなど、遺族感情が厳しいことも強調した。

⇒(5)「死刑に」ひときわ大きな声にも無表情