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(17)逮捕後メール「オレたちは信用する」

鈴香被告の弟を証言台に残したまま、弁護側にかわって今度は検察側の反対尋問が始まった。彩香ちゃんが髪を洗わなかった理由などについて一通り質問した後、検事は唐突に姉弟間のメールの話を持ち出した。

検察官「あなたとお姉さんは、よくメールのやりとりをしていましたね? (被告の)逮捕後にメールをしたことはないか?」

証人「覚えていない」

検察官「平成18年6月5日、どういうメールをしたか覚えてない?」

証人「覚えていない」

「では…」と言って、裁判長から許可を得た検事が読み上げたのは、証拠の1つである「受信メール保存データ一覧」。

「彩香のことも家のことも、オレがなんとかするから安心してほしい」「オレたちは鈴香が言うことだったら、どんなことでも信用する」。そこには、姉を思いやる弟の言葉が並んでいた。しばしの沈黙の後、検事が続けた。

検察官「これはどういう意味なのか?」

証人「…(鈴香被告が犯行について)自分がやりましたと言えば、それはそれで信用すると(いう意味)」

検察官「それは今も変わらない?」

証人「そう…ですね」

検察官「ここにある『おれたち』というのは、あなたとあなたの母親?」

証人「…そうですね」

検察官「あなたもあなたの母親も、(気持ちは)今も変わらないということですね」

証人「そう……ですね…」

母親と弟が、「鈴香被告の言い分を妄信する味方」であることを印象づけようとしたのだろうか。ためらいがちに質問を是認する弟の声が、静まりかえった法廷に響いた。

そして、話題は父親の暴力についての質問に。「しつけのための暴力」であったことを裏付けたい検察側に対し、「いわれなき暴力」であったことを主張した母親。同じく父親から暴力を受けていた弟は―。

検察官「記憶にある、被告人が怒られている場面というのは?」

証人「(鈴香被告が)家に遅く帰ってきて。屋台の人と一緒にいたらしいが、そのことで父にひどく怒られていたのは覚えている」

検察官「どういう風に怒られていた?」

証人「家の玄関の前で髪をつかまれていた」

検察官「他に覚えていることは?」

証人「たたかれているのはしょっちゅうあったので、いちいち覚えていない」

検察官「たたかれるのは理由もないことで?」

証人「いや、私としては悪いことをしているからたたかれてるのかなと」

検察官「あなたも怒られたことはある?」

証人「小さいころに姉とけんかをして私が刃物を持ち出したことがあり、父にTシャツが血まみれになるほど殴られた。そのときは私も悪いことをしたので、しようがないかなと」

検察官「あなたにしても、悪いことをするとたたかれたと?」

証人「はい」

検察官「(自分と比べ)お姉さんだけたたかれているということは?」

証人「私よりは怒られている回数が多いかなと」

検察官「でも、お姉さんにしても、悪いことをしているから怒られていると?」

証人「そうですね」

自分と食い違いを見せる弟の証言に、傍聴席の母親の顔が一瞬強ばったように見えた。

⇒(18)「自殺未遂、ピンとこなかった」