第6回公判(2010.9.13)
(9)「『私に追いついて』と言われ、軽い気持ちでクスリ飲んだ」 …被告は被害者の主導を強調

合成麻薬MDMAを一緒に飲んだ飲食店従業員、田中香織さん=当時(30)=に対する保護責任者遺棄致死などの罪に問われている元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判第6回公判は、約1時間15分の休廷を挟み、引き続き被告人質問が行われる。押尾被告は、左側の扉から入廷、一礼すると弁護側の隣の席に座った。裁判員が入廷し、午後の審理が再開した。
山口裕之裁判長「それでは開廷します。被告人は前に」
弁護人「平成21年8月2日、田中さんが23階の部屋に来てから、あなたは23階の部屋でMDMAを全部で何錠飲みましたか」
被告「私は5錠飲みました」
弁護人「田中さんは何錠飲みましたか」
被告「正確には見ていませんが、3錠以上飲んでいます」
弁護人「田中さんは23階に来てから何分くらいしてから飲みましたか」
被告「10分経っていないくらいです」
弁護人「(最初に)田中さんは何錠飲みましたか」
被告「1錠飲んでいます」
弁護人「あなたはこのとき、何錠飲みましたか」
被告「2錠飲みました。(田中さんから)『早く私のペースに追いついて』と言われたので、軽い気持ちで『じゃあ』と思って飲みました」
弁護人「次に飲んだのはいつですか」
被告「(午後)4時くらいです。私は1錠、田中さんは1錠飲みました」
弁護人「3回目に飲んだのは何時ですか」
被告「5時とか5時過ぎです。私は2錠飲みました」
田中さんは23階についてから計3錠以上飲んだが、何錠かは分からないという。
押尾被告は、正面を見据えて証言を続けた。
弁護人「1回目のセックスはDVDを止めてからですか」
被告「はい」
弁護人「ブルーレイディスクレコーダーの電源を切ってリビングから寝室に移動したのですか」
被告「はい」
弁護人「寝室に時計は?」
被告「ありません」
弁護人「あなたの腕時計はどこに置いたのですか」
被告「リビングルームに置いていました」
弁護人「寝室に時計はなく、正確な時間は確認していないのですか」
被告「はい」
弁護人「ブルーレイディスクレコーダーの電源を切ったのは4時ごろでいいですか」
被告「はい」
冒頭陳述によると、午後3時56分にブルーレイディスクレコーダーの電源を切ったとされている。
弁護人「田中さんとのセックスはどれくらいでしたか」
被告「だいたい1時間くらいです。(ブルーレイディスクレコーダーの)電源を切ったのが4時ごろで、メールでのやりとりが5時過ぎなので」
冒頭陳述によると、押尾被告は午後5時10分に当時の妻、矢田亜希子さんからメールを受信している。
弁護人「1回目のセックスをした後はどうしましたか」
被告「休憩してお互い別々にシャワーを浴びました」
弁護人「あなたが3回目を飲んだのはメールの後ですか」
被告「前です」
弁護人「2度目のセックスの時間はどれくらいですか」
被告「だいたい30分くらいです」
弁護人「2回目のセックスの後、何をしていましたか」
被告「(2人とも)ベッドの上であおむけになっていました」
弁護人「田中さんにはどんな変化がありましたか」
被告「あおむけになって、独り言をぶつぶつ言い始めました」
弁護人「あなたと田中さんがベッドにあおむけになってからどれくらいたっていましたか」
被告「10分はないと思います」
弁護人「数分から10分ですか」
被告「はい」
弁護人「田中さんの独り言はどんなことを言っていましたか」
被告「『んーだから』とか『んーもっとしっかりしてよ』とか、言葉がよく分からないけれど、ハングルみたいなのを話していました」
押尾被告は、少し声を大きくして当時の様子を話した。
弁護人「ほかにどんな変化がありましたか」
被告「怒ったり、誰かに怒ったりしているような感じがあり、かといえば笑っていました」
弁護人「田中さんの手はどんな状態でしたか」
被告「普通でした」
弁護人「顔はどんな表情でしたか」
被告「眉間(みけん)にしわを寄せたり、笑ったりしていました」
弁護人「目は?」
被告「何かをにらみつけるような目や、普通だったり、笑っているような目もありました」
弁護人「言葉は?」
被告「『んー』とか『だからー』とか、強調することはありました」
弁護人「独り言を言ったとき、口から何か吐くようなことはありましたか」
被告「ありませんでした」
弁護人「苦しそうでしたか」
被告「苦しそうというより、興奮している感じがありました」
弁護人「田中さんを見て、あなたはどうしましたか」
被告「『いったい何だ』と思って、肩をゆすったり、声をかけたり、ほっぺを軽く叩いたりしました」
弁護人「田中さんはどうなりましたか」
被告「普通の状態に戻って『あ、マーくんごめん。私どっかいっていたでしょ』って」
弁護人「119番通報は考えなかったのですか」
被告「話しかければ戻ったので。時間が経てば元に戻ると思いました」
田中さんの状態に、生命の危険は感じなかったという押尾被告。その後、田中さんの容体はエスカレートしていったという。
弁護人「その後、田中さんの容体はどうなりましたか」
被告「独り言とか、エスカレートしていって、ぐわって。興奮度があがって、ばたんと倒れました」
弁護人「ベッドの上に倒れたんですか」
被告「はい。あおむけに倒れました」
弁護人「倒れる直前に変化はありましたか」
被告「歯をくいしばるようにして、手をゆらしながら。興奮している時に、つばが口の両端にたまる感じで」
弁護人「倒れる時はどんな風でしたか」
被告「両手をこぶしにして、ゆらしてばたんと」
押尾被告は、俳優さながらに、実際に両手のこぶしをあげて揺らし、頭を後ろに動かして、田中さんが倒れた様子を演技で再現した。
弁護人「倒れたとき、目はどうでしたか」
被告「なんかにらんでいる感じでした」
弁護人「倒れてから田中さんは動かなかったんですか」
被告「はい」
弁護人「足はあぐらのままでしたか」
被告「まっすぐでした」
弁護人「倒れた後はどうしましたか」
被告「いきなり倒れてびっくりして、『おい』って声をかけて。息していなかったんで『こりゃまずい』って思って、人工呼吸とマッサージをしました」
押尾被告は、弁護人の質問によどみなく答えていく。