第2回公判(2010.9.6)
(8)汗が止まらず「ヤバい」MDMA飲んで異変の親密女性 ロスのホテルで
保護責任者遺棄致死罪など4つの罪に問われている元俳優、押尾学被告(32)と肉体関係にあった女性が、男性検察官の質問に答える形で、押尾被告に勧められて合成麻薬MDMAを使用した状況について答えている。女性が初めてMDMA錠剤を使用したのは昨年3月14日。飲むと「体がいつもと違う感じになった」という。
検察官「錠剤を飲むにあたって、押尾さんには何か言われましたか」
証人「えっと…。『連続で飲んだりしない方がいい』と言われました。『体に負担がかかるから』と」
検察官「2回目に飲んだのは平成21年3月17日ですね?」
証人「はい」
検察官「場所はどこですか」
証人「ホテルです」
女性は当時、米ロサンゼルスのホテルに押尾被告とともに滞在していたという。
検察官「どういう流れで、飲むことになったのですか」
証人「えっと…。誘われて…」
検察官「誰からですか」
証人「押尾さん」
女性への証人尋問は、別室からマイクを通して行うビデオリンク方式で行われている。法廷内には、女性のおっとりとした声だけが流れている。
検察官「何を飲みましたか」
証人「オレンジと青を半分…」
オレンジ色と青色の錠剤を飲んだ、という意味のようだ。
検察官「それは一度に飲んだのですか」
証人「いいえ。オレンジを飲んで、その後に青でした」
検察官「3月14日に初めて飲んだときはオレンジ1錠ということだったが、どうしてこの日は青も飲むことになったのですか」
証人「えっと、覚えてません」
検察官「押尾さんからは何か言われましたか」
証人「『青の方が効き目が強い』と言われました」
検察官「青の味はどうでしたか」
証人「すごい苦かったです」
検察官「飲んだ後は、どんな効果がありましたか」
証人「すごい具合が悪くなって、汗が止まらなくなって頭がくらくらしました」
押尾被告は右手にボールペンを持ち、手元のノートに視線を落としている。
検察官「口などに異変はありませんでしたか」
証人「歯ぎしりとかが止まらなくなりました」
検察官「飲んだ後、胃の調子はどうでしたか」
証人「なんかちょっと、吐きそうになったりしました。でも吐けませんでした」
検察官「その後は?」
証人「あおむけに倒れちゃって、腰を打ちました。多分、吐きたくなってトイレに向かう途中に倒れたと思います」
女性はこの間の記憶が途切れているといい、「腰が痛いので気づいたら床の上でした」と振り返った。
検察官「気づいたとき、近くに誰かいましたか」
証人「押尾さんがいました」
検察官「何か言われましたか」
証人「『大丈夫?』と言われました」
女性は2日後の3月19日にも、押尾被告に勧められてMDMAを飲んだという。男性検察官に「2日前に倒れたばかりなのに、飲みたくないと思わなかったのか」と尋ねられると、「思ったんですけど、彼のことが好きだったし、雰囲気を壊したくなくて飲みました」と答えた。
検察官「このときは何を飲みましたか」
証人「オレンジを食べました。体がふわっとする感じでした」
検察官「この日、押尾さんとセックスしましたか」
証人「はい」
検察官「押尾さんはエクスタシー(MDMA)をどのくらい飲んでいましたか」
証人「多分、青を4錠くらい飲んでいました」
しかしこの日、体調の異変をきたしたのは押尾被告の方だったという。
検察官「何が起こりましたか」
証人「彼の体調が悪くなりました。汗が止まらなくて苦しそうでした」
検察官「その後、押尾さんはどこに行きましたか」
証人「ソファであおむけになっていました」
検察官「顔色は?」
証人「とても悪そうでした」
検察官「息づかいは?」
証人「荒そうでした。とても心配になりました」
検察官「何らかの措置をとりましたか」
証人「救急車を呼ぼうと思いました」
検察官「呼んだのですか」
証人「結局、呼びませんでした」
検察官「押尾さんはどんな様子でしたか」
証人「『やばい』とか言って、苦しそうでした」
検察官「救急車のことについては話しましたか」
証人「はい。(救急車を呼ぶか)尋ねたら、『呼ばないで』と言われました」
検察官「どうしてそう言ったと思いますか」
証人「なんか、(飲んだ錠剤が)いけない薬なのかなと思いました」
検察官「その後は?」
証人「何時間後かに体調が戻ったと思います」
ここで、男性検察官が別室にいる職員に指示を出し、さまざまなMDMAの写真が載った資料を女性に提示した。
検察官「資料の中に、押尾さんが持っていたエクスタシーと色が似ているものがあったら、教えてください」
マイクを通じて、ガサガサと女性が資料に目を通す音が聞こえる。
証人「えっと…。このアルマーニってやつと、ダブルサークルってやつです」
検察官「アルマーニは青色がかった錠剤ですね。そして、ダブルサークルはオレンジがかった錠剤ですね」
証人「はい」