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第2回公判(2010.9.6)

 

(13)「第一発見者として名乗り出てくれ」「プランBを考えてくれ」 必死に隠蔽図るものの…

押尾被告

 保護責任者遺棄致死などの罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判第2回公判は約30分間の休廷の後に再開した。押尾被告は軽く一礼してから入廷し、弁護人の横の席に着席するとメモを取るためのノートを広げた。

山口裕之裁判長「それでは始めます。証人の方、お願いします」

 続けて証人として入廷したのは押尾被告の元マネジャーの△△(法廷では実名)氏だ。△△氏は亡くなった田中香織さん=当時(30)=の携帯電話を捨てたとして証拠隠滅罪で略式起訴され、罰金刑が確定している。

 △△氏はスーツ姿にスポーツ刈り。背筋をのばして宣誓書を読み上げ証言台に着席した。宣誓の間、押尾被告は△△氏の手元の宣誓書を見つめていた。女性検察官が尋問を始める。

検察官「平成20年11月からあなたは押尾被告のマネジャーをしていましたか」

証人「はい」

検察官「平成21年8月2日、田中さんが亡くなったこの日、あなたは六本木ヒルズのマンションの2307号室に行きましたか」

証人「はい、行きました」

検察官「この部屋に行くきっかけは、被告から電話があったからですね」

証人「はい」

検察官「8月2日の午後6時54分、あなたが被告に電話をかけた記録があります」

証人「5分ほど前に押尾さんから着信があり、折り返しました」

検察官「何を話しましたか」

証人「押尾さんから『大変なことになった。オレもどうしていいか分からないから落ち着いて聞いてくれ。ちょっと後で電話する』という内容でした」

検察官「また電話があったのですか」

証人「はい、何分か後に電話がありました」

検察官「どんなことを話しましたか」

証人「『部屋で友人が死んだ。今からすぐ来てくれ』という電話でした」

検察官「それで被告のもとへ向かったのですね」

証人「はい。自宅近くでタクシーに乗り、向かいました」

 押尾被告はメモを取り続けている。

検察官「着いたのは何時ごろでしたか」

証人「午後7時40分ごろだったと思います」

検察官「亡くなった方の…」

 ここで検察官が質問を止め、別の検察官と相談を始めた。

検察官「質問を続けます。部屋に入って死んでいる人の姿を見ましたか」

証人「はい。部屋に入ると押尾さんが無言で寝室の前に行き、中を見るようなそぶりを見せました。寝室の入り口から中を見ると、女性が亡くなっているのが見えました。知らない女性でした」

検察官「その後あなたはどうしましたか」

証人「押尾さんに(女性は)誰か聞いたところ『親しい友人だ』と言われました。状況から、肉体関係があったと想像しました」

「『どうして死んだのか』と尋ねたところ、押尾さんは『オレにもよく分からない。人工呼吸や心臓マッサージをしても戻らない』と言いました。その後、言葉を濁すように『薬の飲み過ぎで死んだのかもしれない』と言いました」

検察官「薬の出所に関する説明はありましたか」

証人「特にありませんでした」

検察官「被告から何か頼まれましたか」

証人「押尾さんは懇願するような目で、今まで見たことがないような目で私の目を見て、『△△、お前のことを一生面倒見るから、第一発見者として名乗り出てくれないか』と頼まれました」

「押尾さんは今後の芸能活動が困難になるので、何とかしたかったのかなと思いました。2、3日前に大きなオーディションがあり、結果が出るのがいつか確認してきたことがありました」

検察官「第一発見者として名乗り出るように頼まれてどう思いましたか」

証人「私の気持ちとしても何とかしたいなという気持ちがありました。『何とかしたいので一緒に考えましょう』と答えました」

検察官「2307号室にはほかに誰が来ましたか」

証人「当時の私の上司の□□(法廷では実名)さんが来ました」

検察官「部屋に来て□□さんはどうしましたか」

証人「女性が誰かということや、どういった原因でこうなったかを質問しました」

検察官「□□さんは被告に何を言いましたか」

証人「話が終わったところで、『この状況では救急車を呼ぶしかないんじゃないでしょうか』と言いました」

検察官「救急車を呼ぶことに対し、被告はどうしましたか」

証人「押尾さんは『それはできない。オレも薬を飲んでいるから』と言いました」

「その後、2つの提案がありました。仮定の話で、1つは押尾さんが女性と関係をし、仕事で現場を離れ私が見つけたことにする話。もう1つは女性と私が肉体関係を持つ話でした」

 右端の男性裁判員は身を乗り出すように元マネジャーの証言を聞いている。

証人「□□さんは『話に無理があり、むちゃくちゃだ。やめよう』と言っていました。押尾さんはやはりあきらめられないというか、どうにかしたいという葛藤(かっとう)した状態でした。先ほど同様、私に『第一発見者として名乗り出てくれないか』と頼みました」

検察官「被告から救急車を呼ぼうという話は出なかったのですね」

証人「はい」

検察官「その後、どうなりました」

証人「□□さんは『どうこうしてもしようがない。救急車を呼ぶしかない』と言い、押尾さんは『それはできない。プランBを考えてくれ』と言いました」

検察官「プランBとはどういう意味ですか」

証人「救急車を呼ぶよりほかのことを考えることだと思いました」

検察官「2307号室にはほかに誰が来ましたか」

証人「泉田(勇介)さんが午後9時ごろに来ました」

 泉田受刑者は押尾被告にMDMAを渡したとして、麻薬取締法違反罪で懲役1年の実刑判決を受けて確定している。

検察官「泉田さんからどんな話がありましたか」

証人「何とかこの場のありのままではない別の話でやり過ごせないかという話がありました」

検察官「女性の持ち物の話は出ましたか」

証人「女性のバッグの中に携帯電話があり、押尾さんが『携帯のメモリや発着信履歴を消し、アドレスを変えた方がいいかな』と話がありました。□□さんと泉田さんは『すぐばれるからやめよう』という話になりました」

検察官「ほかには誰か来ましたか」

証人「○○(法廷では実名)さんが来ました。○○さんは部屋に入るなり『ダメだダメだ、電話しなきゃダメダメ』と無理やり119番しました」

 ○○さんは押尾被告の友人で、仲間内では先輩格とされる人物だ。

証人「しばらくその部屋に居続けて、ありのまま話すんだなという話が続きました」

検察官「状況は変わったのですか」

証人「何人かベランダに出ていたのですが、押尾さんが『ダメだ。オレ出るわ』と言って荷物をまとめて部屋から出て行こうとしました。泉田さんが追いかけ、押尾さんは『□□ちゃん行くよ』と呼びかけて出て行きました」

検察官「出るときに何か言われましたか」

証人「出るときに私に『△△、何とかうまく話しておいて』と言われました。部屋のことを『会社のミーティングルームとかうまく話をしておいてくれ』と言われました」

「『勘弁してくれよ』という気持ちと、『押尾さんをいなかったことにして話をつけるしかない』と思いました」

 尋問は△△氏が証拠隠滅をしたシーンに入っていく。

検察官「その後、あなたはどうしましたか」

証人「救急車や警察が来るまで時間がありませんでした。ウソの話を作るしかない。女性のバッグに目がいき、連絡の形跡があると押尾さんがいることがバレると思いました。何とかしようと思い、履歴を消そうとしましたが動揺して、携帯電話をポケットに入れました」

「部屋の入り口の前には救急隊が来ていました。救急隊をやり過ごしたあと、マンションの外に出て、手短に植木の中に携帯電話を隠しました」

検察官「隠したあとはどうしましたか」

証人「部屋に戻って救急隊に状況を説明しました。ウソの内容です」

検察官「どんなウソでしたか」

証人「深夜に深酒をして二日酔いになったところ、ミーティングルームに以前出入りしていた女性が来ました。面識があったので中に通し、二日酔いでリビングで寝ていました。午後9時ごろ、女性がどうなったか気になり部屋を見ると亡くなっていました」

検察官「警察でもウソの話をしたのですか」

証人「はい。現場から任意同行され、8月3日の午後1時ごろまで同じ話を続けました」

検察官「話を変えたのはなぜですか」

証人「押尾さんが警察に出向き、話が食い違って逃れられないと思ったからです。また、時間がたつにつれ、人が一人亡くなったことの重みを感じ、真実、本当のことを話しました」

検察官「本当のことをここで証言しているのですね」

証人「はい」

 続けて、検察官は□□氏が押尾被告に渡したとされるTFMPPについて質問を続けた。△△氏は上司の□□氏から「サプリメント」として押尾被告に渡すよう依頼されていた。△△氏は押尾被告に渡したボトルなどについて『中に錠剤が入っている感触だった』『(黒のボトルに)見覚えがある』などと証言した。

 ここで女性検察官から男性検察官に交代し、△△氏の現場到着時間の確認が行われた。△△氏は、マンションのエレベーターの時間などから、部屋に到着した時間は午後7時45分前後と述べた。

⇒(14)「情があったが言いたいことはない」 裁判員の質問に元マネジャーが決別宣言