第2回公判(2010.9.6)
(6)錠剤飲んでセックス「テンション上がり、肌が敏感に…」と親密女性

保護責任者遺棄致死などの罪に問われた元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判第2回公判。過去に押尾被告と一緒に違法薬物を使用したとされる女性の証人尋問が続く。法廷には別室で質問に答える女性の声だけが響く。押尾被告は時折メモを取っている。
検察官「あなたが飲んだ錠剤は青っぽいものでしたか、白っぽいものでしたか」
証人「白っぽい方だったと思います」
検察官「飲むときに押尾さんから注意はありましたか」
証人「はい。一度に1錠で、刺激が強いので、少しずつ分けて飲んだ方がいいと言われました」
検察官「どのくらい飲みましたか」
証人「1錠の4分の1程度だったと思います」
検察官「どうやって飲んだのですか」
証人「押尾さんがナイフのようなもので細かく砕いていました」
検察官「押尾さんも錠剤を飲みましたか」
証人「はい」
証人ははっきりとした口調で質問に答えていく。押尾被告は下を向き、ノートにペンを走らせている。
検察官「錠剤を飲んで体に変化はありましたか」
証人「すぐには感じなかったです」
検察官「それからどうしましたか」
証人「追加して飲むことになりました」
検察官「体に変化はありましたか」
証人「じっとしていられなくなり、歯を食いしばったり、汗が出てきたりしました」
検察官「気持ちの上で変化はありましたか」
証人「テンションがとても上がりました」
検察官「目の見え方に変化はありましたか」
証人「物が二重に見えたことを覚えています」
検察官「ほかに変化はありましたか」
証人「肌が敏感になっていたと思います」
検察官「あなたは汗をかいたり、歯ぎしりをすることは普段からありますか」
証人「ありません」
検察官「どうしてそうなったと思いましたか」
証人「飲んだ錠剤のせいだと思います」
検察官「その後、押尾さんとセックスをしましたか」
証人「はい、しました」
検察官「その後はどうしましたか」
証人「自宅に帰りました。とても脱力感がありました。食欲がなくなり、吐き気が一日続きました」
検察官「その錠剤は何か、調べましたか」
証人「はい。インターネットで調べ、セックスに使う薬があって、これなのかなと。はっきり名前は分かりませんでしたが」
検察官「調べたときに名前は載っていましたか」
証人「エクスタシー(合成麻薬MDMAの別称)でした」
押尾被告はボールペンでメモを取り続けている。
検察官「そのあと押尾さんと連絡を取りましたか」
証人「2回ありました」
検察官「そのときは押尾さんから連絡があったのですか」
証人「はい、メールで連絡がありました。平成20年の夏ごろでした」
検察官「どんなことがメールに書いてありましたか」
証人「『あれいる?』という内容だったと思います」
検察官「何のことだと思いましたか」
証人「一緒に使った薬のことだと思いました」
押尾被告はメモを取るのを止め、険しい表情で手元の資料を見ている。
検察官「薬のことなら、はっきり言ってもいいと思うのですが、どうして『あれ』という表現を使ったんだと思いますか」
ここで女性弁護人が割って入った。山口裕之裁判長は少しとまどった表情で異議があるのかと尋ねた。
弁護人「証人に意見を求めています」
検察官「体験供述に基づくもので特に問題ないと思います」
裁判長「裁判所もそう思います」
異議はあっさり却下された。山口裁判長は検察官に質問を続けるようにうながす。
検察官「薬のことをどうして『あれ』と言うのでしょうか」
証人「口にあまりしてはいけないものだと思います」
検察官「あなたはどう返事をしましたか」
証人「いらないと答えました。特にその後、勧めてくることはなかったです」
検察官「あなたは『あれいる?』という言葉を、セックスすることだとは受け取らなかったんですか」
証人「受け取っていないです」
検察官「どうしてそう受け取らなかったのですか」
証人「うーん…もう一度お願いします」
検察官「『あれいる?』をセックスするという意味で受け取らなかったのはなぜですか」
証人「『あれ』という表現はセックスで使うことはないと思います」
押尾被告は、MDMAを飲んで死亡した田中香織さん=当時(30)=に「来たらすぐいる?」というメールを送っている。弁護側は、押尾被告が性行為するかどうかを尋ねたものだと主張しているが、検察側は、MDMAのことだとみており、この「あれいる?」メールを錠剤だと立証することで、本件でもMDMAのことであることを強調したいとみられる。
左端の女性裁判員は左手を口に当てて、神妙な顔つきで手元のモニターを見つめている。
検察官「次に押尾さんから連絡があったのはいつですか」
証人「平成21年の夏ごろでした。7月の初めでした。メールで連絡がありました」
検察官「文面はどのようなものでしたか」
証人「『あれいる』という文面がありました」
検察官「平成20年夏と同じ文面でしたか」
証人「平成20年夏の内容は、『あれいる?』とははっきり記憶していないけれど、21年夏のははっきり記憶しています」
検察官「20年夏のメールの文面ははっきり記憶していないのですか」
証人「はい」
検察官が少し慌てた様子で質問をする。左から2番目の男性裁判員は首を振って考え込んだ。
検察官「20年夏のメールの内容はどんなものでしたか」
証人「ちょっと今思いだせないです」
検察官「薬を勧められるメールでしたか」
証人「はい」
検察官「21年7月のメールの話に戻ります。『あれ』とはどういう意味だと思いましたか」
証人「薬のことだと思いました」
検察官「その後、どうしましたか」
証人「いらない、とメールで返しました」
検察官「押尾さんから反応はありましたか」
証人「ありませんでした」
押尾被告は弁護人と小声で相談している。右端の男性裁判員は腕を組んで考え込んでいるようだ。
検察官「21年7月30日に押尾さんとあなたのメールの記録がありますね」
証人「はい」
検察官「どんなやりとりでしたか」
証人「はい。押尾さんから、内容などは話せないのですが、『近々会おう』というお約束のメールがありました。初めは数日返信せずにいたら再度メールが来たので返信しました」
押尾被告は顔を上げ、山口裁判長や裁判員らが座っている方向を見つめている。
検察官「平成21年8月2日の数日前、このときに押尾さんとメールのやりとりをする関係だったということですね」
証人「はい」
続けて、女性弁護人の証人尋問に移った。
弁護人「私の声が聞こえていますか」
証人「はい」
弁護人「あなたは平成21年12月1日と12月5日に麻布署で事情を聴かれましたね」
証人「はい」
弁護人「供述調書は警察官が内容を読み上げ、内容が間違いないということでサインしましたか」
証人「はい」
弁護人「検察庁で調書をまとめたときも、検察官が内容を読み上げた上でサインをしましたか」
証人「はい」
弁護人「あなたが検察庁に行った日とサインをした日は同じですか」
証人「覚えていません」