第2回公判(2010.9.6)

 

(5)「愛が深まる」「“ハイ”になる」勧められてクスリを飲んだ女性が証言

押尾被告

 元俳優、押尾学被告(32)が放置して死亡させたとされる飲食店従業員、田中香織さん=当時(30)=の知人男性に対する証人尋問に続き、押尾被告と一緒に違法薬物を使用して肉体関係を持ったとされる女性への証人尋問が始まった。

 女性は法廷には入廷せず、別室からマイクやビデオカメラを通して質問に答えるビデオリンク方式が採用された。ビデオカメラの設置といった準備の間、押尾被告と裁判員、山口裕之裁判長を除く裁判官2人はいったん退廷していたが、山口裁判長に指示され、押尾被告と裁判員、裁判官が再度入廷した。

 別室にいる女性の姿は、法廷内のモニターには映し出されないため、傍聴席からは女性の姿を確認することはできない。女性はマイクを通して明るくはっきりとした声で、押尾被告との関係について答えていった。

裁判長「聞こえますか」

証人「はい、聞こえます」

 女性証人は山口裁判長から職業や住所などを確認された後、宣誓書を読むよう指示され、読み上げた。法廷には証人の声や起立の際にいすを引く音だけが聞こえた。

裁判長「これから検察官、その後弁護人から質問があります」

検察官「あなたは以前、押尾さんと肉体関係はありましたか」

証人「はい」

検察官「錠剤は飲みましたか」

証人「はい」

検察官「押尾さんと知り合ったのはいつですか」

証人「平成15年の1月です」

検察官「どうして知り合ったのですか」

証人「旅行先のハワイで知人を通じて知り合いました」

検察官「そのときハワイでは肉体関係を持ちましたか」

証人「はい」

検察官「帰国後も押尾さんと会いましたか」

証人「はい」

検察官「肉体関係は持ち続けましたか」

証人「はい」

検察官「どの程度のペースでしたか」

証人「1カ月に1回か数カ月に1回です」

検察官「押尾さんの結婚後も肉体関係はありましたか」

証人「はい」

 女性は押尾被告との赤裸々な不倫関係について、よどみなくはっきりと答えていく。押尾被告は持っているペンを揺らしたり、ノートにメモをとったりして落ち着きなくやりとりを聞いている。

検察官「錠剤はいつ飲みましたか」

証人「平成20年の夏前ごろ、5、6月だったと思います」

検察官「場所は?」

証人「六本木1丁目のアークタワーズというマンションでした」

検察官「そのとき、会う前に連絡はありましたか」

証人「メールでありました」

検察官「メールに書いていたことは覚えていますか」

証人「愛が深まるものがあるという内容でした。会った後は“ハイ”になるものがあるといわれたと思います」

検察官「錠剤は実際に見ましたか」

証人「はい」

検察官「錠剤はどんな状態でしたか」

証人「ティッシュに乗せた状態でした」

検察官「どんな形でしたか」

証人「小さい丸いものでした」

検察官「いくつぐらいありましたか」

証人「4、5個だったと思います」

検察官「どんな色でしたか」

証人「白や青っぽいのだったと思います」

 錠剤についてのやりとりについて、押尾被告が細かくメモをとっている。検察官は、証人や裁判員、弁護人に、合成麻薬の写真などの資料を提示した。裁判員や弁護人らは、モニターに映された合成麻薬の写真をのぞき込んでいるが、法廷のモニターには映されていない。

検察官「錠剤の写真には見たことがあるものはありますか」

証人「はい、あります」

検察官「写真の上に名前やミリグラムという単位が書かれていますが、(押尾被告にもらったものと)似ているものの名前とミリグラムの数字を説明してください」

証人「青っぽいのが、三菱74ミリグラム、白っぽいのが三菱68ミリグラムです」

検察官「あなたが押尾さんから見せられた錠剤には模様はありましたか。覚えていますか」

証人「覚えていません」

検察官「錠剤は自分から飲みましたか」

証人「いいえ」

検察官「どうして飲んだんですか」

証人「押尾さんに勧められて飲みました」

 押尾被告は、証人が自発的に錠剤を飲んでいないと答えた際、メモしていたノートに斜めに線を引くような動作で殴り書きし、弁護人の方にノートを見せた。証人の答えた内容に不満があるのだろうか。

検察官「どういう薬だと言われましたか」

証人「気持ちよくなる薬と言われました」

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