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(10)検察官「犯行動機は身勝手極まりない」

証拠調べが終了し、検察側の論告が始まった。小室被告にとっては厳しい言葉が並ぶ内容だが、小室被告はじっと検察官を見据えたまま朗読に聞き入った。

検察官「本件犯行の経緯および動機に酌量の余地はない。被告人は平成8年から9年ころ、自己が作曲した音楽著作権などにより10億円程度の年収を得て、不動産・高級車購入およびその他多額の遊興費に金銭を費やしていた」

巨額の財産を築いた小室被告。検察官は論告で、小室被告が人気がなくなった後、香港の事業で失敗し、前妻との離婚によって慰謝料を支払わねばならず、多額の借金を抱えていたことを描写した。

検察官「再婚した妻やその家族への見栄などから、またヒット曲を出せば収入も増えるなどと甘い見通しで、生活態度を改めるどころか、さらに浪費を重ねた結果、平成17年には約17億8000万円もの債務を負うに至った。被告人が自己の経済状態の悪化を十分認識しながら、無計画にも多額の借金を重ねながら浪費を続けた結果、それを犯罪で補おうとした経緯、犯行動機には誠に身勝手極まりないというほかない」

犯行の動機や態様の悪質さを主張する検察官。さらに−。

検察官「あたかも今後の音楽活動のために著作権を処分しようとしているかのようなファクスを被害男性に送付。さらに面談では、著名人との幅広い交友関係を被害者に告げるなどした上、『806曲の作品の著作権はすべて僕にありますから、この僕のすべての著作権を10億円で買っていただきたい』『バラバラではなくて僕の過去の作品806曲がフルセットになっていることに意味があるし、価値が出るんですよ』などとうそを申し向けた」

検察官は、小室被告が被害男性にオリジナル曲を作ってプレゼントしたことなど、完全に被害男性を信用させた経緯を述べた。求刑が近づくにつれて法廷の中は緊迫感が増す。

検察官「著名な音楽家という被告人ならではの地位を最大限に利用し、巧妙な文言を申し向け、自己の能力を悪用して、被告人への尊敬の念まで被害者に抱かせ、まんまと被害者を欺罔(ぎもう)した」

検察官は小室被告の犯行を「非常に狡猾(こうかつ)、巧妙である」と指弾した。

検察官「経済的被害結果は誠に重大。被害者は約2年半もの間、高額な被害を弁済してもらえないのではないかという不安定な状態に置かれたにとどまらず、債務不存在確認訴訟まで起こされている。さらに、著名人である被告人を告訴したことから、大変な世間の注目にさらされ、インターネット上で批判的な記載をされるまでに至っており、経済的被害とともに、精神的被害もまた非常に重大というべきである」

「十分な厳罰が必要」という主張を裏付けるための検察官の論告は、最終場面を迎える。

検察官「被告人の金銭感覚が常識とかけ離れていることは顕著である。相当な社会的制裁がなされたといえる上、被害弁償など金銭的責任も果たしているが、結局、被告人自身の努力によるものではなく、松浦社長の全面的援助があって実現できたというものである。いまだ反省悔悟を促すだけの機会が与えられたとは言い難く、被告人に本件刑事責任の重大性を十分認識させるためにも厳罰を与える必要がある」

ここで検察官は一呼吸置き、求刑を述べた。

検察官「以上、諸般の事情を考慮し、相当法条を適用の上、被告人を懲役5年に処すべきと思料する」

求刑を受け、報道関係者が慌ただしく法廷を飛び出したが、しかし小室被告の表情は変わらなかった。最後に弁護側の最終弁論に移る。

弁護人「公訴事実は争うものではありません。本件は、経済的に行き詰まった被告人が、異常な高利により借り入れた借金の返済のために、被害者に対し、譲渡済みである著作権を自らが有すると虚偽の事実を申し述べ、被害者から著作権の売買代金名下に5億円の金員の交付を受け、これを共犯者も含む債権者への弁済にあてた事案である。被告人の罪責は重く、自身の犯行を猛省すべきものである。しかしながら、被告人については斟酌(しんしゃく)すべき事情もあるので、その量刑を決定するにあたり、ご勘案いただきたい」

弁護人は小室被告が3歳ころから音楽に親しみ、TMネットワークでの活動、globe、trf、安室奈美恵さんらをプロデュースして、数多くのヒット曲を送り出した業績を説明。「音楽の分野における他に例を見ない業績を上げた」と評価した。

⇒(11)小室被告「音楽を糧に、もう一度立ち直りたい」