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(12)仙台の会社辞めるとき 「火をつけようと考えたことある」

女性検察官による被告人質問が続く。小学校時代の加藤智大(ともひろ)被告(27)の振る舞いについて厳しい質問が飛ぶが、加藤被告は動じる気配をみせない。

検察官「友人に言われたことで腹を立て、首を絞めたことはありますか」

加藤被告「首を絞めたことは覚えておらず、分かりません」

検察官が加藤被告の小学校時代の生活を記した書類に目を落とす。

検察官「ここにあなたの小学校時代の指導要録があります。小学1〜3年生のころ、すぐにカッとなることが多いとありますが、どうなのですか」

加藤被告「そうだと思います」

検察官「教師や友人に対して乱暴に振る舞うことがありましたか」

加藤被告「覚えていないです」

検察官「小学2年生のときの要録には、家庭との連絡を密にしながら、指導するとありますが、先生から何か言われたこととかはありますか」

加藤被告「粗暴な行動は抑えようと努力していました。先生からは注意を受けたことがあるかもしれませんが、家族からはありません」

加藤被告の話が終わると検察官は少し間をとり、目の前の書類を参考に発言を始める。

検察官「別の話に移りますが、短大時代にしていたサバイバルゲームとはどんなゲームですか」

加藤被告「エアガンを持ち、何人かに分かれて撃ち合いをします」

検察官「どこでやるのですか」

加藤被告「決められた施設やフィールドがありますが、私は深夜に公園や林でやっていました」

検察官「迷彩服は着るのですか」

加藤被告「着る人もいます」

検察官「あなたも持っているのですか」

加藤被告「はい」

裁判長席前の女性書記官が交代し、30秒ほど公判が中断した。

検察官「エアガンのほかに道具は必要ですか」

加藤被告「目を守るためのゴーグルは必須です」

検察官「ゲームとはエアガンで弾を人に当てるゲームですか」

加藤被告「そう言っていいです」

検察官「いつから始めました?」

加藤被告「短大のころからです。1カ月のうちに1〜2度くらいやっていたと思います」

検察官「短大に入る前からも興味はありましたか」

加藤被告「はい。高校2年生くらいから興味がありました」

検察官「そのころからエアガンを撃っていたのですか」

加藤被告「高校時代に使っていたのは、子供向けのエアガンですが…」

加藤被告の説明では子供向けのエアガンとは、電動ではなくバネの力で弾を飛ばすため、威力は大きくないようだ。話はエアガンから凶器となったナイフに移る。

検察官「ナイフを福井で購入する前に持っていたことは?」

加藤被告「ないです」

検察官「手に取ったことは?」

加藤被告「ないですし、見たこともないです」

質問を続ける女性検察官が隣の男性検察官と二言三言、言葉を交わした。

検察官「短大のときは電動エアガンを使っていたのですか」

加藤被告「はい」

検察官「どうやって手に入れたのですか」

加藤被告「友人が連れて行ってくれた模型の専門店で手に入れました」

検察官「短大卒業後もサバイバルゲームに興味はありましたか」

加藤被告「近くの友人がいなくなってしまい、優先順位が下がってしまいました」

検察官「ナイフを購入した福井の店は(ミリタリー雑誌の)『月刊アームズマガジン』に載っていたお店ですか」

加藤被告「はい」

検察官「雑誌は毎月購入していたのですか」

加藤被告「覚えているのは仙台の警備会社のときに1回、事件前の1回の計2回です」

検察官「あなたは(静岡県内の)御殿場駅の前で雑誌を買ったと言っていましたが、雑誌を買うために御殿場へ行ったのですか」

加藤被告「駅前に安い散髪屋があり、雑誌を買いに行ったわけではないです」

検察官「なぜ(事件数日前の)6月3日に雑誌を買ったのですか」

加藤被告「たまたま御殿場へ行き、偶然だったと思います。(働いていた)関東自動車工業時代の友人ともう一度、サバイバルゲームをやろうと思っていたころだったからです」

少し考えながらゆっくりと言葉をつなぐ加藤被告。

検察官「どういうことですか」

加藤被告「私が昔やっていた競艇なども教えたかったのです」

検察官「サバイバルゲームを始めようと思ったのが事件の数日前だったということですか」

加藤被告「結果的にそうです」

検察官「5月末に秋葉原でナイフが買えなかったので御殿場に雑誌を買いに行ったのではないですか」

検察官が厳しい口調で加藤被告に質問を投げかける。

加藤被告「そうではないです」

加藤被告ははっきりと答えた。

検察官「今回の事件では数分の間で12人を刺しています。多くの人の体の枢要部を刺しています。武器の素人とは思えませんが、何かゲームの中で(武器を使う)練習をしていたのではないですか」

加藤被告「実際に使ったことはありません」

検察官「ほかに暴力的なこと。火をつけるとか考えたことはありますか」

加藤被告「仙台の警備会社を辞めるとき、アピールで事務所に火をつけようと考えたことはあります」

検察官「なぜ火をつけようと考えたのですか」

加藤被告「かつてガソリンをまいて火をつけた事件があったので、影響されたのだと思います」

検察官「トラックをぶつけようとしたこともあったのですか」

加藤被告「はい。あります」

検察官「でもずっと実行しなかった理由は何ですか」

加藤被告「ほかの解決手段、仙台では自分が会社を辞めるという手段などがあり、実行する必要がありませんでした」

検察官「当時はほかの手段が考えられたということですね」

加藤被告「はい」

加藤被告は疲れた表情をみせることなく、じっと前を向いて質問に答える。

検察官「別の質問です。自殺を考えたことが何回かあると言ってましたよね。平成18年8月に自殺を考えたのはなぜですか」

加藤被告「はっきりとは答えられません」

検察官「納得いく説明はできないのですか」

加藤被告「なぜ自殺を思いついたのか、うまく言えません」

検察官「彼女ができないコンプレックスなどが関係していませんか」

加藤被告「もし、そうしたことが理由で、覚えているならそう話をしています」

検察官「(取り調べをした)検事には借金を抱え、仕事を辞めて不安だったことが理由と答えていませんか」

加藤被告「検事さんが納得できないとの話になったときに、そういう話をしたかもしれません。でも私としてはそういった理由で自殺しようとしたとは記憶していません」

検察官「記憶していないことを調書に書いたのですか」

女性検察官は少しあきれた口調でそう問いただした。

加藤被告「はい。そうなります」

⇒(13)「性欲なかったの?」 挑発的質問繰り返す女性検事…