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(2)卑劣な行為…遺族をいつまでも苦しませ続ける

 星島貴徳被告は、東城瑠理香さんを殺害したあと、後悔の念にとらわれることなく、直ちに遺体の解体を始めました。包丁やのこぎりなどを準備し、浴室にこもって胴体から頭部や両足、両腕を順番に切り落としました。遺体を自分にとって不利益になる“物”として扱い、冷蔵庫などに隠しました。

 (殺害)翌日の晩には、東城さんの手足から肉をそぎ取り、まな板の上で切り刻みました。その翌晩には、東城さんの胴体から腹や胸の肉をそぎ取り、臓器をまな板の上で切り刻みました。さらに翌晩…、耳をそぎ、頭蓋骨(ずがいこつ)をのこぎりで切りました。骨はゴミ袋に入れて隠していましたが、腐らせて強烈な腐臭が発生したため、犯行が発覚しないように鍋でゆでました。

 星島被告は東城さんの遺体を、自己の生活と体面を守るために邪悪な“物”として無残に扱いました。東城さんは、生前このようなことになると想像したことがあったでしょうか。遺族は耐えられるでしょうか。

 およそ、人が人間の心を持っている限り、同じ人間に対してできることでは到底ありません。人を人とも思わない星島被告だからこそできた、まさに鬼畜の所業です。

 星島被告は、切り刻んだ東城さんの臓器や脳みそ、細かくなった骨などを、水洗トイレから、汚物同様に下水道に流しました。また、少しずつ骨をマンションから持ち出し、ゴミ捨て場などに捨ました。こうして、星島被告はもくろみ通に東城さんの存在を完全に消してしまいました。

 (平成20年)5月28日、現場マンションから流れる下水道管をたどると、東城さんのあばら骨の一部が見つかりました。同時に、東城さんが大切にしていたマニトバ州立大学の図書館利用カードの切れ端が見つかりました。自分の名前が書かれたカードとともに、1カ月以上も汚水の水流に耐えた骨片は、忍耐強かった東城さんの悔しさ、無念さを訴えかけているかのようです。発見された遺体はわずかで、生前の東城さんをしのべるほどのものではありませんでした。

 遺族は、現在も東城さんの死を受け入れることができません。遺族にとって、東城さんは(事件のあった)4月18日朝に「行ってきます」と言って出かけたまま、今も行方が分からないのです。星島被告の卑劣な行為は、遺族をいつまでも苦しませ続けます。そして、遺体が汚物にまみれて見つかったことや、見つかってない遺体が巨大な埋め立て地のどこかに埋まっていることなどを考えるとき、遺族の胸には激しい怒りと悲しみ、喪失感がわき上がることでしょう。

被害者1人でも死刑是認

 この事件では、犯人は被害者を殺害する前から、遺体を解剖して捨てることで被害者の存在を消し、完全犯罪を計画しています。こういった事件では、死体の損壊や遺棄といった行為を情状としても十分に考慮するべきです。この点で、過去の判決例でも同様の評価がされており、悪質性は高く評価されています。

 例えば、昭和54年に北九州市で発生したバラバラ殺人事件です。この事件では、犯人はあらかじめ被害者から金を強奪する方法や殺害後に始末する方法などを計画し、被害者を甘い言葉で誘い出しました。犯人は金の強奪に失敗すると、粘着テープで被害者の全身を縛って首を絞めて殺害し、首や手足を切断してフェリーから海に投げ捨てました。この事件は、昭和57年3月16日に福岡地裁小倉支部が死刑を言い渡し、59年3月14日に福岡高裁が控訴を棄却、63年4月15日に最高裁が上告を棄却して、死刑判決が確定しました。

 この事件で裁判所は、犯人がいわゆる完全犯罪を目指し、被害者を殺害して遺体を解体して遺棄するという計画を立て、実際にそれを実行した点をとらえて、被害者が1人で犯人にさしたる前科がないにもかかわらず死刑を是認しました。

 この事案のように、完全犯罪を企てていた殺人事件の場合、被害者が計画通りに“消され”、事件の存在が闇に葬られる蓋然性が高まるため、その犯情は著しく悪いものとして評価されなければなりません。

 星島被告が起こした事件において、星島被告は東城さんを殺す前の時点で、殺害後に解体して遺棄し、東城さんの存在を消すことを決意していました。

 そして、殺害した後は細かく切り刻み、星島被告はいつもと変わらない生活を続けながら、東城さんの存在を消す目的を遂げたのです。星島被告が行った遺体の解体と遺棄は、東城さんの失踪(しつそう)を第三者、あるいは東城さん自身のせいにして、発覚を防ごうとするもので卑劣です。また遺族の感情を著しく害し、社会にも悪影響を及ぼしました。

 この事件で、星島被告に対して殺人罪に定められた刑罰を適用する上で、星島被告が東城さんの遺体を徹底的に切り刻んでごみのように捨てた行為は、もっとも悪質な情状として考慮すべきです。

 星島被告は、幸せに暮らしていた前途ある1人の女性を、無残なやり方でこの世から消し去りました。

 東城さんは、自然豊かな長野市で姉妹やいとこに囲まれて、健やかに育てられました。高校時代から海外留学を目指し、英語を熱心に勉強していました。大学進学後は留学を実現させ、同大学出身者として初めて英語教員資格も取得し、大学は主席で卒業しました。留学費用も、自らの力で賄いました。勤め先の会社でもチームの一員として楽しく、一生懸命に仕事に取り組みました。わずか23歳。この若さで、星島被告の手によって1つしかない命を永久に奪われたのです。

⇒論告要旨(3)あまりにもむごい所業、万死に値する