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(3)瑠理香さんの魂「遺族とともにある」…遺族が死刑望むのは「当然」

法廷では検察官が論告を読み上げている。検察官は犯行結果が重大であることに続き、東城瑠理香さんが犯行を避けることができなかったことや遺族感情について述べていく。

検察官「犯行は日常生活の中で敢行され、避ける術はありませんでした」

東城さんは家賃が高くても安全に住める所を重視し、高層階のオートロックマンションに居住していた。帰宅する際にも、同居する姉と携帯電話で連絡を取り合っていた。安全に気を遣って生活していた東城さんですら犯行を避けることができなかったことを検察官は主張していく。

検察官「瑠理香さんに落ち度はありません! 責められるべき点は何ひとつありませんでした!」

検察官は涙を流しているのか、読み上げる時に鼻をすすったり、時折、目をパチパチさせていたが、東城さんの無念さを強調したいのか、一際大きな声をだした。

検察官「(犯行時間となる)帰宅時間も午後7時30分と遅くなく、注意深く生活していても避けることはできなかったのです。落ち度は全くなく、身を守る術がありませんでした。被告人の餌食になったとしかいいようがないのです」

続いて検察官は遺族の処罰感情について述べていく。これまでの公判で瑠理香さんの姉や母、友人らが証人として出廷し、星島貴徳被告に対し激しい怒りをぶつけている。論告では遺族の思いを織り交ぜて主張している。

検察官「遺族の処罰感情は峻烈であります」

体を震わせながらも夜を徹して警察の捜査に協力し、東城さんのことだけを考えて仕事も辞めた姉や、事件を聞きつけて駆けつけた両親。ひとつ置いて隣の部屋で殺され、遺体を損壊されていくことを止めることができなかった遺族の苦悩について述べられた。だが遺族の苦しみはそれだけではない。

検察官「遺族はいまだに死を受け入れられません。遺体と対面していないからです」

細かく切り刻まれ、トイレに流されたりごみ捨て場に捨てられた瑠理香さんの遺体。骨片や肉片が排水溝などから見つかり、DNA型鑑定で瑠理香さんのものと判明したが、遺族に返されたのはほんのわずかだった。母親は今も瑠理香さんが大きなバッグを抱えて「ただいま」と帰ってくると信じているという。

検察官「遺族は瑠理香さんが死亡したことを、現実のものとして受け止められないでいて、事件から9カ月経った今も帰りを待ちわびているのです。被告人は遺族に謝罪すらしていません。遺族の悲しみ、苦しみ、辛さは図り知れません」

検察官は事件を受けて姉が「何も信じられなくなった」と話していることや父親が「死にたい」と漏らしていることも明かした。

検察官「遺族は被告人の身勝手極まる犯行のために苦しみ続けています。この苦しみから目をそらしてはならないと思います」

今回の公判では量刑が最大の争点となっている。検察官は物言えぬ東城さんの無念さ、遺族の怒りを代弁していく。

検察官「理不尽な理由と残酷な殺し方で瑠理香さんを奪われた遺族の怒りは峻烈です。遺族のこの激しい怒りは十分に理解できます。被告人が死刑に処せされることを遺族が望むのは当然なのです」

検察官ははっきりとした口調で「死刑」という言葉を口にした。被告人席で背を丸めたままでいる星島被告は表情を変えないまま一点を見つめている。

検察官「誰も瑠理香さんの声を聞くことができません。瑠理香さんの魂は、今遺族とともにあります! 瑠理香さんが法廷に現れることも、自分の気持ちを伝えることもできないからこそ、遺族の気持ち、遺族の言葉を重く受け止めなければなりません」

身勝手な犯行で23年の生涯を終えることになり訳が分からないうちに未来を奪われた東城さん。その言葉は直接聞けないが遺族以上の無念さがあったことは想像にかたくない。検察官は涙を流しているのだろうか、顔を紅潮させて目をしばたいている。

検察官「法廷で自分の言い分を主張できる被告人に目を奪われ、遺族の素直な気持ちが軽視されるようなことは絶対にあってはならないと考えます」

遺族感情に続いて検察官は星島被告の証拠隠滅工作について述べる。

検察官「本件では徹底した犯跡隠蔽工作がなされました」

隠蔽工作では、遺体を損壊中に部屋を訪れた警察官にうそを言ったこと、夜中に遺体を損壊して日中は平然と出勤していたことが述べられた。

検察官「マスコミにも笑みを浮かべて対応し、瑠理香さんの父に会ったときも平然と話しかけて無関係を装いました。同僚にも『被害者の自作自演ではないか』とうそぶいて欺きました」

検察官は淡々と論告を読み上げてはいるが時折、言葉を詰まらせる。感情を移入しているようだ。

⇒(4)やけど痕「動機になりえず」…死刑判決事件と比較した論理展開の検察官