第3回公判(2008.5.8)
(1)「だましたことは証拠上明らか」検察官、無罪主張を一蹴
“詐欺師”か、それとも“冤罪”の被害者か−。未公開株を取得額の3倍で知人男性に売り、3億7000万円をだまし取ったなどとして、詐欺と恐喝未遂の罪に問われたタレント、羽賀研二被告(46)=本名・當真(とうま)美喜男=の論告求刑公判が8日午後1時20分から大阪地裁(中川博之裁判長)で始まった。
大阪地裁で最も広い201号法廷。傍聴人の入場が続き、廷内はやや落ち着かない様子。弁護人4人、恐喝未遂の共犯として起訴された渡辺二郎被告(53)が入廷し、その後、羽賀被告が法廷に姿を現した。比較的穏やかな表情で、いつものように傍聴席に軽く会釈した後、正面で裁判長にゆっくりと一礼した。被告人席では、羽賀被告が裁判長側、渡辺被告が傍聴席側に着席した。
裁判長「それでは開廷します。渡辺被告については審理を分離していましたが、今回から併合審理といたします」
公判は冒頭、公判手続きの更新などが行われた。羽賀被告はこの日、黒いポロシャツの上に黒のジャケット、黒ジーンズといった黒一色の服装。髪も初公判のころは金髪が混じっていたが、黒髪に変わっている。
裁判長「渡辺被告について手続きの更新がありますので、前に」
裁判長に促され、証言台に進み出た渡辺被告。渡辺被告は黒スーツに水色のネクタイ姿だ。
裁判長「裁判官のメンバーが1人交代しましたが、これまでの主張でよかったですか」
渡辺被告「はい」
この後、羽賀被告が未公開株を取得した医療関連会社社長の調書を証拠採用する手続きが取られた。内容は、羽賀被告に未公開株を1株あたり40万円で売却した経緯などが述べられている。
裁判長「これで証拠調べを終了します。それでは、双方から意見をうかがいます。検察官からどうぞ」
男性検察官から論告の書面が裁判長、弁護側に配られる。羽賀被告は時折眉間を寄せる以外、ここまでは比較的落ち着いた様子。渡辺被告はネクタイの結び目をいじったり、足を小刻みに揺らしたりするなど落ち着きなく手続きの様子を眺めている。検察官が読み上げ始めた。冒頭、両被告が公判で繰り広げてきた無罪主張を一蹴した。
検察官「それでは意見を申し上げます。まず序論として、本件公訴事実は、法廷で取り調べ済みの証拠で証明は十分です。これについて、羽賀被告はだましたことはない、恐喝未遂についても無関係と否認。渡辺被告も恐喝未遂は無関係だと否認しています。しかし、いずれも証拠上明らかであります」